鹿野淳に訊く、日本のフェスの課題、『VIVA LA ROCK』の理想

ロックフェス『VIVA LA ROCK』が、5月3日から3日間にわたって開催される。質の高いブッキングや、都心からほど近いロケーションの利便性などもあって、すでに「春フェスの定番」というポジションを確立した印象だが、4年目を迎える今年は、また新たな一歩を示す年となりそうだ。

注目すべきは3日間のラインナップ。例年以上に1日ごとの色分けがはっきりしている印象だが、なかでも2日目は非常に興味深い。サカナクションや東京スカパラダイスオーケストラに混じって、Suchmos、cero、ぼくのりりっくのぼうよみ、D.A.N.、yahyelなど、いわゆる「邦楽ロックフェス」の既存のイメージに当てはまらない若手が多数並んでいるのだ。

このラインナップには、主催者である鹿野淳の問題意識が明確に反映されている。ロッキング・オン時代に『JAPAN』の編集長を務めてこの国のロックジャーナリズムをリードし、退社後に創刊した『MUSICA』が今年10周年を迎えるなか、彼は今の音楽シーンをどのように見つめ、『VIVA LA ROCK』でどんな未来を描こうとしているのだろうか?

『ビバラ』は「ロック」の位置付けを明確にするフェスでありたい。

―まずは『VIVA LA ROCK(以下、『ビバラ』)』を3年間開催して感じた手応えと、そのなかで見えた課題、あるいは問題意識について話していただけますか?

鹿野:フェスを始めるにあたって、パートナーのディスクガレージと明確な約束事をしていて、それは「もし赤字でも、3年間は続けよう」っていうことだったんです。つまり、実際やって赤字になって、ビビッてやめるくらいだったら最初からやめようと。フェスってそれくらいリスクの高い事業だと思ってるんですけど、すごくラッキーだったのが、1年目から事業として成立したんですよね。

―1年目から、黒字を出すことができたと。

鹿野:音楽ファンが読んでくれるであろう記事で、あんまり収益の話をしてもしょうがないですけど、うちもディスクガレージも決して協賛企業をつけるのに長けた会社ではないので、つまりはみんなが買ってくれた実券が収益のほとんど全てなんです。去年は1日2万5千ものチケットが両日ともソールドアウトして、春にそれだけ呼べるフェスはなかなかないので、そのポジションに行けたのは、大ラッキーだったなって正直に感じています。

『VIVA LA ROCK 2016』の風景
『VIVA LA ROCK 2016』の風景

―成功の要因をどのように分析していますか?

鹿野:そもそも『ビバラ』は2014年から始まった後進フェスなので、成功する可能性が限られていると思ったので、開催前にコンセプトを絞り込んだんです。それは大きく2つあって、ひとつはこれまで大きなフェスがなかった埼玉県という場所と徹底的に向かい合うフェスにすること。

これに関しては結果が出ていて、過去3年間でお客さんの埼玉県率がどんどん上がって、去年は東京都のチケット購買を超えたんです。このフェスはチケットを100%埼玉人が買いさらってしまうっていうのをひとつの目標にしているので(笑)、それはすごくよかったなって。

鹿野淳
鹿野淳

―もうひとつのコンセプトとは?

鹿野:2010年を過ぎてフェスが多様化し、2万人以上集客するフェスが「メガフェス」という言葉に括られるなか、『ビバラ』は「ロック」の位置付けを明確にするフェスでありたいと思いました。むしろそういうフェスが少ないとも思ったからでもあります。

ただ、これに関しての手応えはイマイチわからない。他のフェスに比べて、ブッキングしない類のアーティスト――例えばわかりやすい例を挙げるならアイドルなんですけど、その線引きがこのフェスの色味にはなってると思うんですね。ただ、それがウェルカムなのか、もしくは、それによってマイノリティなフェスだと思われてるのか、もはや僕らにはわからなくて。

―「ロックの位置付けを明確にする」というコンセプトについて、もう少し具体的に話していただけますか?

鹿野:つまりは、「今年のロックはこういうものですよ」っていうのを、ちゃんとミュージアム化して見せたいんです。ただフェスのブッキングって、必ずしも自分の初期の理想通りにいくわけではないので、今言ったことの自己実現度は初期設定として考えると100%にはならない。結果素晴らしいアーティストと音楽が集まるので、その意味では「100点」なんですけどね。

そうなったときに、最高に今なロックミュージアムというコンセプトがちゃんと打ち立てられているのか、何より、それがちゃんと届いているのか、そこは難しいと日々感じてます。「便利な場所でやっている、春の名物の音楽フェス」って思われてるだけでも全然ラッキーなんですけど、今はもう一歩踏み込んだところにいきたいと思ってるんですよね。集まってくれるアーティストや音楽、そして参加してくれる音楽ファンのためにも。

鹿野淳

フェスっていうのは、いろんなジャンルがあるのを見せて、広げる場所であるべきだと思うんです。

―鹿野さんが「ロック」にこだわるのは、「『MUSICA』という雑誌がロックを主眼とした雑誌だから」と言えますか?

鹿野:音楽メディアが根幹を握っているフェスなんだったら、そのフェスは音楽メディアであるべきだと思っています。このフェスを足掛かりに、コンサート事業を始めようと思っているわけではなくて、あくまでメディアとしてありたいわけです。『ビバラ』っていうフェスが、ちゃんと今の時代の音楽を探せる場所でありたいんですよね。

フェスという場所がアーティストとお客さんにとって単に都合のいい場所であるだけではなく、ちゃんと今の時代に聴いてもらいたい、聴かれるべき音楽を提示して、自分が好きな音楽以外のものもキャッチして帰ってもらいたい。非常にエゴが内在したフェスだったりもするんです。

―そうしたエゴもありつつ、コンセプトが届いているのか、手応えがイマイチわからないと。その原因を、紐解いていきたいですね。

鹿野:主催者側として個人的に歯がゆいのが、今「フェスロック」っていう音楽のジャンルがどうやらあるらしいってことなんですよね。

それがどういうものか調査したところ、フェス向きで、盛り上がれて、みなさんにとって記号性の高い、コーラスの場所、手を挙げる場所、ステップを踏む場所があり、そういったものが複合して、空間として一体感を持てる。そういう音楽が「フェスロック」と呼ばれていて、実際朝の情報バラエティーとかで「フェスシーンを中心に活躍している」みたいな紹介のされ方をしている。フェスをプロデュースする者としても音楽メディアの人間としても正直、これはどうかと思うんです。

鹿野が発行人を務める『MUSICA』2017年4月号
鹿野が発行人を務める『MUSICA』2017年4月号(Amazonで見る

―どこが一番の問題だとお考えですか?

鹿野:フェスっていうのは音楽のジャンルを作る場所じゃなくて、音楽のなかにはいろんなジャンルや世界があるっていうのを見せて広げる場所であり、マップであるべきだと思うんです。なのにフェス自体がジャンルになってしまうと、結果的にバンドの音楽を閉じさせていく本質的な原因になっていく可能性さえあるんじゃないかと思っていて。僕は、それを本気でほどきたいんですよね。

日本の音楽にも久しぶりに欧米の動きが反映されてきて、そういうバンドがちゃんと評価されるようになり始めている。

―ここまでの話を踏まえて、注目したいのは2日目のラインナップです。今年は例年以上に3日間の色分けがはっきりしているように感じますが、2日目はさきほどおっしゃられた「フェスロック」的ではない、新しい世代のアーティストが多数ブッキングされていますよね。

鹿野:時代は緩やかに変わっていると思っていて、それはリスナーもわかってると思うんです。例えば、2年前くらいから「シティポップブーム」という言葉が生まれて、そのなかから、フェスやライブハウスで盛り上がりやすい音楽とは違うものが東京を中心に出てきた。これはある意味、4つ打ちダンスロックと言われた均一的なロックへの反動だと思うし、世界の音楽シーンでは、竿を持ってる音楽自体(ギターやベースなどの楽器のこと)がホントになくなってきてますよね。

―その反映でもあると。

鹿野:よく日本のロックはガラパゴス化が極まっていると言われてたけど、日本の音楽にも久しぶりに欧米の動きが反映されてきて、そういう音楽を10年前からやっていたceroのようなバンドがちゃんと評価されるようになった。今はそういう時代で、なおかつ、そこがもう一歩二歩上に行くチャンスって、今年と来年にかかってるんじゃないかと思っていて。

cero(『VIVA LA ROCK 2017』5月4日出演)

―つまり、2日目のラインナップはそれを実際に形として提示したということですね。

鹿野:はい。そういうバンドが主役になる場所が、これだけのフェス王国のなかで、『フジロック』や『サマソニ』のような洋楽的フェス以外でも、ちゃんとあるべきだと思うんです。『GREENROOM FESTIVAL』とかもあるけど、今のところこの国のフェス事情で言うと、専門的な分野のフェスとして見られていると思うし。

さいたまスーパーアリーナという利便性の高い場所でやっている、若い人が1~2人でも来やすいフェスが、そういう音楽をプレゼンテーションすることによって、若い人たちがそういう音楽に触れて、ハマって、音楽の新しい遊び方を知る日になり得ればいいなって、ある意味非常に夢を見てるんです。

―cero、Suchmos、D.A.N.、yahyelなど、まさに今おっしゃったことが明確に反映されたラインナップですもんね。

鹿野:そのなかに、フェスシーンにもまたがりながら、バンドシーンの音楽の構造を抜本的に変えたサカナクションもいる。これくらい固めないとダメだと思ったんです。こうやってインタビューしていただけると、僕の考えていることを体系立ててお話しできるんですけど、実際に来るお客さんがみんな説明を聞いてくるわけじゃないし、当日渡すタイムテーブルに何千字も今話していることを書くべきではないと思うから、フェスのブッキングを見て、そして現場で実感してほしい。そのためには、これくらい明確に1日のなかに集まってもらわないと、わかってもらえないんじゃないかと思ったんですよね。

D.A.N.(『VIVA LA ROCK 2017』5月4日出演)

メディアの存続の仕方を模索しないといけないっていうのは、このフェスを立ち上げた頃からずっと考えていること。

―これは問題提起としてあえて訊いてみたいのですが、「フェスロック」的な流れと、2日目のラインナップに象徴される新しい世代のバンドに乖離が起きてしまったのは、既存のロックフェス文化の限界であり、日本のロックフェス文化を築いた大本が『ロッキング・オン』であることを考えれば、既存のロックジャーナリズムの限界であるようにも思います。

もちろん、鹿野さんは『MUSICA』で新たなトライをして、ロックジャーナリズムを更新してきたと思うのですが、もともと『ROCKIN'ON JAPAN』の編集長であり、『ROCK IN JAPAN FESTIVAL』の立ち上げに携わっていることを踏まえて、現状をどのように感じていらっしゃるのかお伺いしたいです。

鹿野:非常に繊細に話さなければいけないんですけど(笑)、まずひとつ言えるのは、マネジメント、レコード会社とトライアングルを作って、そこで相互利益を出すという体系を作ったのは、『ロッキング・オン』というメディアの功績だと思っています。それはロッキング・オンを卒業して、自分がやってきたことを体系立てたときに何となくわかったことで、今『MUSICA』でやっていることも、それに近いとは思います。

鹿野淳

鹿野:ただ、『JAPAN』でやっていたときは、音楽よりも音楽家の人生や人柄にフォーカスを当てて、音楽自体が見えなくなるジャーナリズムを僕自身が軸になって作ってしまったと思ったので、その自己反省を踏まえ、『MUSICA』では音楽家よりも音楽自体を語れるメディアを作りたいと思って、10年前に始めたんです。「ちょっとぶれたかな」とか「行き過ぎたかな」っていうことはありつつ、その根本は今も変わっていないつもりです。

―なるほど。

鹿野:その上で、難しい時代になったと思うのは、もうレコード会社からお金(広告)をもらう時代ではなくなってきたんだなってことで、その限界は音楽サイトとかを見ていても感じるんですよね。収益性をレコード会社以外からも取って来ないと、メディアで収益をあげるのは難しい。紙メディアの世界も、ある意味そうなんです。まあ根本的なメディア活動という意味でいくと、とても健全な現状なんですけどね。

鹿野淳

鹿野:でも『MUSICA』は、例えばKANA-BOONやSHISHAMOをいち早く輩出したメディアでありつつ、Suchmosやyahyelを紙メディアのなかではいち早く紹介して、メンタリティーではなくあくまでも優れた音楽を批評しながら応援する意識も綴っていくメディアであり続けたい。この両方を同じように扱うのはわかりにくいと言われようとも、そこには意義もマーケットもあると思ってるし、どちらか片方をやるんだったら、それはただでさえ音楽メディア自体が専門分野なのに、もっと間口の狭いメディアになってしまう。

yahyel(『VIVA LA ROCK 2017』5月4日出演)

―そこに対しては、ベットし続けたいと。

鹿野:はい。レコード会社からのお金に頼り切って、そこからお金が出てこなくなるのを嘆いているのはあまりにも体質が古いし、そもそも自殺行為ですからね。そこ以外の収益性の作り方、メディアの存続の仕方を模索しないといけないっていうのは、このフェスを立ち上げた頃からずっと考えていることです。

時代は塗り変わっていくと同時に、一定の周期で回っているとも思っている。

―さきほど「既存のロックジャーナリズムの限界」という問題提起をさせてもらったひとつのきっかけが、先日CINRA.NETにアップされたドレスコーズのインタビュー記事(ドレスコーズ志磨遼平が、長髪に別れを告げた理由を語る)です。そのなかで志磨さんは「音楽メディアのテンプレート化」をひとつの問題として挙げていたのですが、これと似た感覚を持っている若い世代は多いように思います。もしくは、それをハナから必要としなくなっているというか。

鹿野:僕は時代は塗り変わっていくと同時に、一定の周期で回っているとも思っているんです。今の話に乗せてみると、例えば1980年代にバンドブームがあって、新宿を中心にラジカルというか、奇天烈な音楽が流行った。電気グルーヴの前身の「人生」とか、筋肉少女帯の大槻ケンヂとか、あの人たちは高いIQや批評精神を持っていたから、ジャーナリズムは彼らを扱いやすかったし、彼らもジャーナリズムを必要として、上手く関係性が作られていた。

鹿野淳

鹿野:その一方で、奥田民生のような、何をやるわけでもなく、楽曲も誰でも書けそうなんだけど、でも絶対に誰も書けない究極にハイブリッドな平々凡々としたフリをしている優れた音楽家が出てくると、ときにジャーナリズムを凌駕してしまう。そういうものがせめぎ合ってシーンが作られていくのは、すごく健全なことだと思うんです。

―今起こっているジャーナリズムに対する議論も、移り変わりの周期が来たことの表れだと。

鹿野:2日目のラインナップで言うと、今の時代これだけネットやSNSが出てきて、選択肢が増えているにもかかわらず、それを活かしてない音楽が多過ぎないか? っていう意識を持ち、それをちゃんと形にしていこうって人たちが出てきたのは、やっぱり時代へのカウンターであり、必然だと思うんです。

そういうなかで、Suchmosが今年極端にブレイクした理由のひとつとして、「あの音楽性でありながら、フロントマンにYONCEというスターがいる」っていうのは明確ですよね。一時期の小沢健二さんがそうであったように、誰かがアイコンとしてお茶の間に出てきたときに、またさらに新たなカウンターが生まれる。そういう意味で、今はまた輪廻の過程にいて、今年がその一番面白い時期なんじゃないかっていう感覚なんです。

Suchmos(『VIVA LA ROCK 2017』5月4日出演)

―では、そういった状況に対して、『MUSICA』としてはどう向き合っていこうとお考えですか?

鹿野:ここまで話してきたように、現在の状況を音楽メディアとしてキャッチはできてるつもりなんだけど、もっと音楽メディア自体がかっこよくならないといけないっていう自覚は編集部全体であります。Suchmosは好きだけど、『ビバラ』に行こうとは思わないし、『MUSICA』を読もうと思わない人がいたとすれば、それはそのフェスや雑誌をかっこいいと思わないからですよね。それはあまりにも悔しいし、でも実際にそういう部分はあると自覚しています。

例えば、YONCEの着てるアディダスのジャージみたいに『MUSICA』がかっこいいものに見えたら、きっと買って読んでくれるわけじゃないですか? もしそう思われてないとしたら、それはとてもマズイ。我々が推したい、聴いてもらいたいアーティストのリスナーとハグできていない状況が、こちら側の編集性やデザイン性やライティング性にあるなら、そこは直していかないといけない。その点に関しては、危機感を持ってやっているつもりです。

鹿野淳

返ってきた答えの半数以上が「(フェスは)多すぎない」だったんですよ。フェスが好きっていう人が、この国には今もとても多い。

―『ビバラ』の今年のロゴはグラフィティー風で、これはさきほどおっしゃったことに関連して、デザイン性の面で新たなアプローチをしたということでしょうか?

鹿野:そうとも言えるんですけど、埼玉県ってヒップホップが強いんです。『サイタマノラッパー』って映画もあるし、『フリースタイルダンジョン』に出てるDOTAMAくんとかもいるし。だから、あれは埼玉愛の表れです(笑)。

『VIVA LA ROCK 2017』ロゴ
『VIVA LA ROCK 2017』ロゴ

鹿野:埼玉ってすごく面白くて。東京と群馬・栃木の間にあるわけですけど、単純にそのブレンドではなくて、それぞれの感性がちゃんとぶつかり合って、カオスになってるんですよ。そういう場所で2日目のようなブッキングを成功させることができれば、東京や神奈川に新たな風を送れるんじゃないかっていう、希望的観測も持ってるんです。

―今の話はすごく示唆的に感じるというか、今の日本のフェスに対して「どこもラインナップが同じ」っていう指摘があって、要は既得権益を守ろうとして囲い込んでしまうような状態だと思うんですね。

でも、それって経済的にもクリエイティブの面でもマイナスの連鎖を起こしてしまう危険性を孕んでいて、そうじゃなくて、さっきの埼玉の話のように、外側と緩やかに繋がってる方が未来がある。鹿野さんが「ほどきたい」とおっしゃったのはそういうことだと思うし、2日目のラインナップはその実践でもあるというか。

鹿野:でもね、それは結構難しいとも思うんだ。音楽業界の体力が下がっているなかで、フェスっていうマーケットは利益を上げる場所としてとても大きなものになっている現状があるから、その利益の取り合いはものすごくシビアなんだよね。ただ、これまで3年やってきて、一回やり切った感があるというか、このフェスの第一期を勉強させてもらえたので、今年から始まる第二期では、もっと踏み込んでいきたいとは思ってる。

―最初にもおっしゃったように、フェスは興行だから、当然その運営はすごくシビアに考える必要がある。逆に言えば、そうであるにもかかわらず、今年大きなチャレンジをしているんだということは伝わってほしいと思います。

鹿野:ありがとうございます。先日サカナクションの山口一郎くんと、一般リスナーの方から意見を公募して、ディスカッションする番組(『サカナクションのNFパンチ』と『MUSICA』の山口一郎連載の連動企画)の収録をしたんですけど、そのときのテーマのひとつが「フェス、多すぎない?」だったんです。で、返ってきた答えの半数以上が「多すぎない」だったんですよ。

けして今のフェスの状況がオッケーというわけではなく、「もっといろんな表情のフェスがあってほしい」っていうのもありつつ、でもやっぱりフェスっていうものが好きだっていう人がこの国にはとても多いんですよね。ビジネス的な理由だけじゃなくて、音楽リスナーにとって必要な場所としてフェスが今も認知されている。

サカナクション(『VIVA LA ROCK 2017』5月4日出演)

―なるほど。

鹿野:ただ、この状況が続くのは東京オリンピックの前後くらいまでだと個人的には思っていて。それまでにちゃんとフェスとしてのアイデンティティーを築いておかないと、そこから先は淘汰されるフェスの一つになると思うんです。願わくば、『ビバラ』はいい音楽を提示できるフェスとして、淘汰されることなく残っていたい。そこもシビアに考えながら、今準備をしているところです。

―4年目で新たな季節に突入したこと、2020年という区切りが見えたこと、そして、新たな音楽シーンが築かれつつあること。いろんなタイミングが合致して、今年のチャレンジが行われるというわけですね。

鹿野:ブッキングって、ある意味、妄想を現実にすることで、そこにどういう景色を作って、そこに参加した人がその後に音楽リスナーとしてどういうアクションを起こすか、どんなメッセージを発信するかが大事だと思うから、今年のこの流れをぜひ成功させたい。「邦楽のロックフェスはダサい」と思ってる人がいたら、そういう人の受け皿にもなれるような場所を絶対に作るから、ぜひ遊びに来てほしいです。

イベント情報
『VIVA LA ROCK 2017』

2017年5月3日(水・祝)~5月5日(金・祝)
会場:埼玉県 さいたまスーパーアリーナ
5月3日出演:
アルカラ
THE ORAL CIGARETTES
KANA-BOON
KEYTALK
クリープハイプ
Getting Better(片平実、神啓文、斎藤雄)
go!go!vanillas
SHISHAMO
SiM
SUPER BEAVER
パノラマパナマタウン
04 Limited Sazabys
BRADIO
BLUE ENCOUNT
フレデリック
Base Ball Bear
PELICAN FANCLUB
ポルカドットスティングレイ
yonige
LAMP IN TERREN
LEGO BIG MORL
Lenny code fiction
and more
5月4日出演:
雨のパレード
Creepy Nuts(R-指定&DJ松永)
Gotch & The Good New Times
サカナクション
Suchmos
シンリズム
水曜日のカンパネラ
SKY-HI
菅原卓郎(9mm Parabellum Bullet)
SPECIAL OTHERS
cero
DADARAY
D.A.N.
DJピエール中野(凛として時雨)
DJやついいちろう(エレキコミック)
DENIMS
東京スカパラダイスオーケストラ
VIVA LA J-ROCK ANTHEMS
フレンズ
THE BAWDIES
ぼくのりりっくのぼうよみ
yahyel
UNISON SQUARE GARDEN
lovefilm
and more
5月5日出演:
Ivy to Fraudulent Game
ACIDMAN
175R
UVERworld
打首獄門同好会
Age Factory
ENTH
Ken Yokoyama
G-FREAK FACTORY
DJダイノジ
10-FEET
Dragon Ash
NUBO
爆弾ジョニー
the band apart
BIGMAMA
HEY-SMITH
Bentham
My Hair is Bad
MONOEYES
MOROHA
ヤバイTシャツ屋さん
ROTTENGRAFFTY
LONGMAN
and more
料金:1日券10,000円 2日券18,000円 3日券(5月3日~5月5日)24,000円 4日券(5月3日~5月6日)30,000円

プロフィール
鹿野淳 (しかの あつし)

1964年、東京都生まれ。2007年に音楽専門誌『MUSICA』を創刊。これまでに『ROCKIN'ON JAPAN』』、『BUZZ』、サッカー誌『STAR SOCCER』の編集長を歴任。各メディアで自由に音楽を語り注目を集め、音楽メディア人養成学校「音小屋」を開講。2010年には東京初のロックフェス『ROCKS TOKYO』、2014年にはさいたま初の大規模ロックフェス『VIVA LA ROCK』を立ち上げるなど、イベントプロデュースも手がける。



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