坂口恭平×折坂悠太 相思相愛の歌い人。歌の共通点は子供ウケ?

ガットギターと独特な歌唱法による弾き語りが話題を呼び、小山田壮平や後藤正文らが賛辞を寄せるシンガーソングライターの折坂悠太。作家、建築家、画家と様々な顔を持つ異才であり、音楽家としても活動する坂口恭平。坂口が折坂のファンになったことをきっかけに二人は接近し、坂口のライブに折坂がゲスト出演するなど、徐々に親交を深めてきた。

そんな二人が2018年1月に発表するそれぞれの新作、折坂の『ざわめき』と、坂口の『アポロン』は、共に初のバンド録音。しかし両者とも、いわゆるシンガーソングライターがプロダクションを豪華にするためにバンド編成にチャレンジするのとは異なり、自らが内側に抱えるものをより純粋な形で発露するために今回の形態を選んだのだと言っていいだろう。スタイルは異なれども、確かに響き合う二人の対話を楽しんでいただきたい。

俺の音楽のベースは童謡で、自分が今歌ってる歌のコード進行は、その頃から変わってないからね(笑)。(坂口)

—お二人の出会いは、坂口さんが折坂くんのファンになったのがきっかけだそうですね。

折坂:僕を含めたシンガーソングライター三人(折坂の他に、やく、松井文)でやってる「のろしレコード」というレーベルを九龍ジョーさん(主にポップカルチャーを中心に執筆するライター、編集者)が面白がってくれて、Twitterにそれぞれのライブ動画を上げてくれたりしていたんです。それで坂口さんも知っていただいたんですよね?

坂口:そうだね。YouTubeで“きゅびずむ”の動画を見たのかな。フォークシンガーだって聞いてたんだけど、実際に見てみたら、俺はそういう感じがあんまりしなかった。ギターの弾き方とか、どっちかっていうとブラジルっぽくて、ジルベルト・ジルとジョルジ・ベンが一緒に一日で録ったやつ(『Gil e Jorge』、1975年発表のアルバム)をふと思い出したり。

折坂:僕もジルベルト・ジルは好きで、坂口さんがTwitterとかで紹介していらっしゃる音楽を見ると、「やっぱり、これも聴いていらしたんだ」って思うことがよくあります。

—実際に、ガットギターと独特の歌唱法という折坂くんのスタイルはどのように築かれたものなのでしょうか?

折坂:弾き語りは簡素なスタイルだと思うんですけど、「バックバンドが抜けた」みたいな音にはしたくなくて。ギターだっていろんな音が出せるし、ギターと自分で完結したものをやりたいと思ったんですよね。ブラジル音楽は、そういうスタイルをやる上で参考になると思って、興味を持ったんです。

折坂悠太
折坂悠太

坂口:俺は折坂くんを見て、「俺が弾きたい感じだな」って思ったの。自分もこういうのやりたいんだけど、俺は技術がなくて(笑)。

—坂口さんはBeckお好きなんですよね? 折坂くんにも初期Beckの感じがあるというか、「Beckが日本から出てきたらこんな感じだったかも」とか思って。

坂口:俺は『One Foot in the Grave』(1994年)ばっかり聴いてた。

折坂:あ、僕もそればっかり(笑)。

—やっぱり、通じる部分があるんですね。

坂口:俺、昔はBeckとかを真似してずっとギターループばっかりしてたんですよ。あと、リッチー・ヘヴンス(1941年生まれ、ニューヨーク出身のフォークシンガー)にハマった時期があって、オープンチューニングで弾きながら即興で日本語の歌を歌うことをやってた。20歳くらいのときに、それで一度下北沢SHELTER(ライブハウス)のオーディション受けたんだけど、「君、ここじゃないよ」って言われて……勘違いしてたんだろうね(笑)。

坂口恭平
坂口恭平

—坂口さんにとって音楽は、文筆や建築とは別のアウトプットなのでしょうか? それとも、すべてがフラットだと言えますか?

坂口:音楽が原点ではあるかもしれないですね。小学校にガットギターと、『みんなのうた』みたいな歌にコード進行の書いてある楽譜があって。俺、“気球に乗ってどこまでも”って曲が好きで、それを女の子に弾いたら意外とウケがよかったから、それで盛り上げるみたいなことばっかりやってた(笑)。だから、俺の音楽のベースは『みんなのうた』に載ってるような童謡で、実際に自分が今歌ってる歌のコード進行は、その頃から変わってなくて(笑)。

—折坂くんの楽曲にも童謡っぽい雰囲気がありますよね。

折坂:僕も一番最初にギターで弾いたのは「春のうららの~」(“花”)でした(笑)。さっきループっておっしゃってましたけど、僕、坂口さんが2017年1月のWWWでのワンマンライブ(『アポロン』でもバックを務めた寺尾紗穂、厚海義朗、菅沼雄太を従えて開催した『現実キャンプ』)で一番最後にやられてたTHE BLUE HEARTSの“TRAIN-TRAIN”にすごく感激して。あれもループだったじゃないですか? 僕は結構展開させるタイプだから、作り方は結構違うんだろうなって思いますね。

左から:坂口恭平、折坂悠太

音楽家になりたいとは思ってなくて……ホント何やってたんだろうね?(笑)(坂口)

—折坂くんの音楽の原体験はどんなものですか?

折坂:僕は音楽をやりたいというよりも、漠然と人前に出て何かをやりたいという気持ちが小さい頃からあって。でも性格は内向的というか、「自分はこうです」って表すのが苦手なタイプだったから、学芸会とかになるとイキイキするんだけど、それ以外はずっと静かな子で。

—10代の頃から地元のお祭りに参加していたというのを別のインタビューで拝見しました。

折坂:地元の柏市が青森の姉妹都市で、夏になるとねぶたのパレードがあるんですよ。そのパレードには今も参加してるんですけど、性格がシャイだから、「踊ってみんなで楽しくなろう」っていうよりは、「一人で踊ってる」みたいな感じで。

体の中にあるいろんな要素で成り立ってるものを奮い立たせるというか……自分の内側から作ったものを一人で表現しようと思ったときに、弾き語りっていう形態がハマったのかな。最初はずっとMTRで宅録していて、一人で暗い歌を作ってました。

左から:坂口恭平、折坂悠太

坂口:俺もなぜかずっと宅録してたんだよね。気になるメロディーがフッと入ってくると、そこに日本語を当てはめて歌うという作業をずっとやってた。

大学のときは早稲田のモダンジャズ研究会に遊びに行って、みんなに演奏してもらって俺が歌うということをやってたんだよね。すごく長い長編詩みたいなのを歌って、それを録音して、家に帰って文字起こししてた。「これどうするんだろう?」って思いながら(笑)。

—音楽家になりたいと思っていたわけではない?

坂口:それは思ってなくて……ホント何やってたんだろうね?(笑) そもそも自分で意識して誰かの曲を好きになったのって、人生の中でほとんどなくて。「バックグラウンドは?」って聞かれてもホント困るの。俺が好きになったものって、全部突発的だから。

—文脈で聴いたり、体系立てて聴いてきたわけではないと。

折坂:それは僕も同じですね。文脈で聴いて、なおかつ、その人自身もその文脈に加わっていく感じっていうのはすごく憧れるんですけど、僕もその感じはあんまりないんです。

左から:坂口恭平、折坂悠太

自分が認知できてないところから生まれてきた言葉が、結局一番強い。(折坂)

—それぞれの作詞の仕方についてもお伺いしたいです。

坂口:俺の場合はやっぱり突発的で、ときどきピーンと来たときに書くんだけど、それって普段は「来ない」ってことなわけよ。だから凪のときはヤバくて、ほとんど頭動かないし、創造性もまるでない感じが一瞬する。でも、そういうときに意外と言葉が出てきたりもして。

そのタイミングって、自分でもほとんど感知できないんだけど、結局、気分が上がって獲得しようが、落ちて獲得しようが、獲得したものは同じなんだよね。だから、歌詞で悩んだことはほぼない。まあ、超単純な歌詞しか書いてないっていうのもあるけど(笑)、俺の中では素直な歌じゃないとあんまり面白くないんだろうね。

坂口恭平

折坂:自分が認知できてないところから生まれてきた言葉が結局一番強いっていうのは、僕も歌詞を作りながら思うことです。ただ僕は「来た!」みたいなことがあんまりないから、普段は頑張って書いていて。

でも、ときどきパッと出てくることがあって、そういう言葉はすごく残るんですよね。歌ってるときも、この言葉を歌うために、前奏からAメロ、Bメロ、サビがあるんだなって感じることがあります。

—坂口さんの歌は基本的に同じ歌詞の繰り返しですよね。ごく一般的に言えば、一番と二番で変えるのが普通だったりするけど、そこも特に意識することなく、素直に作ったらこうなる?

坂口:まあ、俺はホントに何のこだわりもなくて、ただ「出てきてる」ってだけだから、「二番」って絶対できないはずなのよ。「これができたから、じゃあ二番を作ろう」っていう思考回路じゃないところで創作してる。その方が単純に面白いんだよね。

本でいうと、普通はプロットが必要なわけだけど、ホントにそっちの方がグッと来るかというと、そうでもないわけじゃん? プロットがないと作品になりにくいから、普通はバランスを取るんだろうけど……俺の場合はできるだけ素の状態でやれるようにしたいのかなって。

折坂:僕は逆にものすごくプロットを作るタイプなんですけど、そこにパッと出た素直なものをどう埋め込むかを考えていて。

「こうすれば深く感情移入させられる」みたいなノウハウって、あるじゃないですか? それはそれでアリだと思うんですけど、そういうことをするには、自分の認知の外から来るような言葉とか感情が原動力になってないと意味がない。それをいかにプロットに組み込めるかが大事なんだろうなって思うんです。

折坂悠太

坂口:そういうことって俺はできないことだから、折坂くんの歌を聴いていいなって思ったのかも。それができるのは折坂くんの技術だしね。俺の場合はそれができないし、そもそもそういう人間じゃないんだろうけど……でも、それなのにCDが出ちゃうっていう。面白いよね(笑)。

坂口さんは「自分は音楽家じゃない」っておっしゃいますけど、どんなライブよりも「音楽だな」って感じる。(折坂)

—同時期に出るお二人の新作が、どちらも初のバンド録音だというのはタイミング的にも面白いと思いました。ただ、どちらもいわゆるシンガーソングライターがプロダクションを豪華にするためにバンド録音をしたというだけの作品ではないように思います。それぞれにとっての「一人」と「バンド」の意味合いの違いを話していただけますか?

折坂:僕の場合、一人で弾き語りをやってるときって、音楽全体をつかさどるのは自分の身体しかないから、衝動的にやりたい気持ちにどこかで制限をかけながら、ギリギリでせめぎ合ってるのが面白いと思っていて。バンドでやる場合は、そこを誰かに委ねられる部分もあるじゃないですか?

こう言うとスピリチュアルな感じですけど……降りてくる感情とか、自分の中から込み上げてくるものをより高めることができるのは、一人でやってるときよりも、むしろバンドなんじゃないかなって。人の手を介して、より自分が個体としてどういう風に表現できるかに興味があったんです。

折坂悠太『ざわめき』ジャケット
折坂悠太『ざわめき』ジャケット(Amazonで見る)

—前作『たむけ』(2016年)のリリース後からバンド形態でのライブがスタートして、その延長線上に今回の『ざわめき』があるわけですよね。

折坂:これまでは、僕が一人で作った曲をバンドに再現してもらう形だったんですけど、今回はバンド形態でしかできない曲を形に残したかったから、アレンジもある程度メンバーに任せていて。iPhoneで録った弾き語りを投げて、ホーンやピアノのアレンジを考えてもらう、ということをやっていたので、自分の枠を超えたものになっていると思います。そういうものを作ってみたかったんですよね。

—坂口さんはいかがですか?

坂口:俺はこれまでもずっと一人で「これとこれを一緒にしたら面白いんじゃないか」みたいな妄想をしていて。だから、もともと「一人で弾き語りやってる」って感じもあんまりなくて、そのイメージを立体的にしたらこうなりますっていう。

—メンバーは寺尾紗穂(シンガーソングライター)さん、厚海義朗さん(ベーシスト、ceroのサポート等)、菅沼雄太さん(ドラマー、坂本慎太郎のサポート等)と素晴らしい顔ぶれで、言ってみれば、これも坂口さんの妄想を具現化したものだと。

坂口恭平
“かみさま”(バンドセットのライブバージョン)を試聴する(SoundCloudで聴く)

坂口:俺、2004年か2005年からしばらくオリジナルは作ってなかったんですよ。でも寺尾さんが歌った“魔子よ魔子よ”を聴いて、「俺だったらこうする」と思って、それがきっかけで、また歌を作り始めたんだよね。

厚海くんは、昔俺にいのちの電話(坂口が自殺抑止活動の一環として開設している電話)をかけてきて、「バンドしたいんですけど」って言ってたらしいのね。そのときはまったくバンドする気なかったから断ったんだけど、そのうちceroのサポートで会ったときにその話を聞いて。菅沼さんは坂本(慎太郎)さんのドラム叩いてるのとか聴いてたから、この三人でやったら面白そうだなって思ったんですよね。

—折坂くんは『アポロン』を聴いてどんな印象を持ちましたか?

折坂:坂口さんの声のすごさを再確認しました。寺尾さんのコーラスが入っても食われない人って、そうそういないですから(笑)。二人同時に出して、存在感がありつつ、ちゃんと調和も取れてて、すごい声の持ち主だなって。根源的な、脈々と湧き出るものが声にすごく出てるなと思いました。

坂口恭平『アポロン』ジャケット
坂口恭平『アポロン』ジャケット(Amazonで見る)

坂口:今回、一番最後の曲(“月のうた”)だけ前みたいに即興で作ったものをあとから書き起こした曲なのね。これも簡単なループなんだけど、途中で「見えた!」って感じて、その瞬間ばかりを求めて歌い続けたというか……シャブ中に近いよね(笑)。だって、その瞬間が最高なわけじゃん?

左から:坂口恭平、折坂悠太
“月の歌”(ソロバージョン)を聴く(SoundCloudで聴く)

折坂:坂口さんのライブを観ててすごく思うのは、坂口さんは「自分は音楽家じゃない」っておっしゃいますけど、僕が観てきたどんなライブよりも「音楽だな」って感じることで。音楽家にはできない場の作り方ができるというか。

坂口さんってスロースターターじゃないですか(笑)。最初から「坂口さん来た!」って感じじゃなくて、「ほうほう」ってずっと聴いてると、最後には総立ちみたいな、すごい多幸感が漂ってる。だから、さっきおっしゃった即興で言葉が出てくる感覚に、ライブ自体も近いのかなって。

坂口:そうね、あの瞬間は幸せだよね。だから、いつも音楽に出会って自分で驚いてるだけ(笑)。

坂口恭平

折坂:それをステージ上でやられてるのがすごいなって。あのスロースタートで、だんだん盛り上がっていく感じが、音源化したらどうなるんだろうと思ったけど、アルバムを聴いてもライブのときに近い感じがしました。

坂口:バンドメンバーがみんな上手いからね(笑)。ライブのときも練習1回だけだったし、今回もレコーディング前に1回だけ確認して、全部1日で録って。みんなすごいけど、俺も一緒になって音楽やれてたとは思うかな。

何かが起こる前のざわめきみたいなものをずっと感じているんです。(折坂)

—では逆に、坂口さんが『ざわめき』を聴いた感想を聞かせてください。

坂口:俺は“芍薬”が好きなんだよね。自分の曲の良し悪しは子供の反応でチェックするんだけど、うちの子供も折坂くんが好きで、曲聴いて曲名わかるから(笑)。

—難しい曲名も多いのに(笑)。“芍薬”はボーカルが非常にエモーショナルだし、<朝はきぬ>というフレーズが繰り返されていて、新たな始まりを感じさせます。それは「初のバンド録音」ということにもつながるのかなって。

折坂:バンドを始めることに関しては、そこまで「これが新機軸」って感じはなくて、未だに自分は弾き語りの人だと思ってるし、表現の形態として別個のものって感じなんです。

<朝はきぬ>って言葉に表れているのは……全体を通じてそうなんですけど、今の自分を取り巻く周りの環境とか、世の中の流れとかに、鬱屈したものを感じることが多くて、それを打破したい気持ちとか、「それでもこうでありたい」っていう思いかもしれない。

折坂悠太

—“ざわめき”という曲があって、アルバムのタイトルにもなっていますが、つまりはこれも「社会のざわめき」みたいなイメージでしょうか?

折坂:何かが起こる前のざわめきみたいなものをずっと感じているんですけど、それが何なのかは……。今は「狭間」みたいな感じがするんですよね。「こうであってほしい」って誰かに言うよりかは、ザワザワした気持ちを持ちながら生活してるけど「自分はどうだろうか」ってところで書いた曲で。だから、自分に対して書いたものが、アルバム全体を通して多いかもしれない。

—坂口さんにとって、社会のムードと創作の関係は現状いかがですか?

坂口:社会の前に俺は自分のことでパニックになってるからね(笑)。まあ、「~が悪い」とか、何やかんや言うことは簡単だけど、「でも、ホントにそうなのか?」って考えるようにはなったかも。今までの仕事はある程度わかりやすく伝えるものが多かったけど、そこにちょっとストップをかけて、「ホントにこれが悪いのか?」って考えるようになった。

そうなると、「これは何を言ってるんですか?」って聞かれるんだけど、今の俺はキャッチフレーズみたいにわかりやすく発信するんじゃなくて、感じてることを今の意識で判断せずに、違う風景にすることをやってるというか。小説とか絵においては、そんな感覚があるかな。ただ、歌に関して言うと……ただ思ったことを歌ってるだけなんだよね(笑)。

—やはり、坂口さんにとって音楽は一番素直な表現なんでしょうね。

坂口:そうね、武器ではないね。でも不思議と一番リアリティがあったりする……と思う反面、俺はただの思いつき人間だっていうのも同時にある(笑)。

坂口恭平
”カレー屋”(ソロバージョン)を試聴する(SoundCloudで聴く)

折坂:思ってることをキャッチコピーにするんじゃなくて、風景に置き換えるっておっしゃいましたけど、まさに僕の音楽もそれに近いんですよね。だから、「誰に対してこの歌をどうしたい」じゃなくて、自分の描く絵として残しておきたくて、そこに関してはかなり気張ってるかもしれない。

坂口:俺の歌詞は明確だからさ。マエケン(前野健太)には「誰に書いた歌詞だとか言うな」って言われたけど(笑)、それくらい素直で、何もてらってない。

折坂:坂口さんの曲を聴くと、歌ってることの他に付随する意味みたいなものを感じないんですよね。大体の歌って、歌ってること以外に別の意味が入ってくるし、僕もそういうのやりたくなっちゃうんです。でも坂口さんの歌は、いい意味でパッと出てきた素のまんまの言葉だから、ホントにそのことについてしか歌ってない。

そういう歌って実はあんまりなくて、だからこそ純な力があるんだと思います。「子供に聴かせてチェックする」っておっしゃってましたけど、子供は察知する力が強いと思うから、雑味のある歌を受け付けないんじゃないかな。

左から:坂口恭平、折坂悠太

—今の話は最初に話した童謡の話にも通じるように思うし、形は違えども、その「雑味のなさ」がお二人の歌の魅力であるように思います。坂口さんのお子さんが折坂くんの歌に反応するというのも、そういうことかなって。

坂口:俺の歌はメッセージなんて何もなくて、ただ「すげえぞ」っていう、何かを見てびっくりする感じに近いのかもしれない。うーん……でもやっぱり、アルバムの話ってどう言ったらいいかわかんない。俺にとってはホントに「出ちゃった」ってものだからさ(笑)。

リリース情報
折坂悠太
『ざわめき』(CD)

2018年1月17日(水)発売
価格:1,620円(税込)
ORSK-003

1. 芍薬
2. 茜
3. 口無し
4. 呼び名
5. ざわめき

坂口恭平
『アポロン』(CD)

2018年1月24日(水)発売
価格:2,808円(税込)
PECF-1146

1. カレー屋
2. ゴルフ
3. 春のせい
4. 休みの日
5. あの声
6. かみさま
7. 春の亡霊
8. 声
9. 月のうた

ライブ情報
折坂悠太
『「ざわめき」発売記念ライブ』

2018年2月16日(金)
東京都 渋谷 TSUTAYA O-nest
出演:
折坂悠太(合奏)+ざわめき重奏
あだち麗三郎クワルテッット
井手健介

2018年3月18日(日)
会場:茨城県 千年一日珈琲焙煎所

『弾き語り投げ銭ツアー2018』

2018年2月26日(月)
会場:香川県 高松 umie

2018年2月27日(火)
会場:高知県 Slowhand Mojo

2018年2月28日(水)
会場:愛媛県 WaItz&de'

2018年3月1日(木)
会場:徳島県 14g

2018年3月4日(日)
会場:福岡県 北九州・UMIE+

2018年3月5日(月)
会場:福岡県 TAG STÅ

2018年3月6日(火)
会場:佐賀県 CIEMA

2018年3月7日(水)
会場:熊本県 Sazae

2018年4月6日(金)
会場:広島県 LOG

2018年4月7日(土)
会場:島根県 松江・Green's Baby

2018年4月8日(日)
会場:鳥取県 Y PUB & HOSTEL TOTTORI

2018年4月10日(火)
会場:岡山県 ラウンジ・カド

2018年4月11日(水)
会場:兵庫県 神戸・BRUGGE

2018年4月13日(金)
会場:大阪府 martha

2018年4月14日(土)
会場:岐阜県 南原食堂

2018年4月15日(日)
会場:静岡県 浜松・手打ち蕎麦 naru

坂口恭平
『1st Studio Album リリースツアー「アポロン」』

2018年2月14日(水)
会場:東京都 渋谷 WWW
ゲストアクト:東郷清丸

2018年3月30日(金)
会場:大阪府 CONPASS
ゲストアクト:後日発表

2018年3月31日(土)
会場:愛知県 名古屋 金山ブラジルコーヒー
ゲストアクト:シラオカ

※全公演、坂口恭平と村人たち(Pf.寺尾紗穂、Ba.厚海義朗、Dr.菅沼雄太)で出演

プロフィール
折坂悠太
折坂悠太 (おりさか ゆうた)

平成元年、鳥取生まれのシンガーソングライター。幼少期をロシアやイランで過ごし、帰国後は千葉県に移る。2013年よりギター弾き語りでライヴ活動を開始。2014年、自主製作ミニアルバム『あけぼの』を発表。2015年、レーベル「のろしレコード」の立ち上げに参加。2016年には自主1stアルバム『たむけ』をリリース。その後は合奏(バンド)編成でのライヴも行う。2017年8月18日には、合奏編成にて初のワンマンライヴとなる『合奏わんまん』を代官山晴れたら空に豆まいてにて行い、チケットは完売。同日より合奏編成で録音した会場限定盤『なつのべlive recording H29.07.02』を販売開始する。独特の歌唱法にして、ブルーズ、民族音楽、ジャズなどにも通じたセンスを持ち合わせながら、ポップスとして消化した稀有なシンガー。

坂口恭平(さかぐち きょうへい)

1978年、熊本県生まれ。作家、建築家、音楽家、画家。2001年、早稲田大学理工学部建築学科卒業。2008年、『TOKYO 0円ハウス0円生活』で文筆家デビュー。2011年、東日本大震災がきっかけとなり「新政府内閣総理大臣」に就任。2014年、『幻年時代』で第35回熊日出版文化賞、『徘徊タクシー』で第27回三島由紀夫賞候補に。2016年、『家族の哲学』で第57回熊日文学賞を受賞。2018年、初のスタジオアルバムで音楽界へ。



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