批評家の東浩紀による初の単独長編小説『クォンタム・ファミリーズ』が、12月18日に新潮社より刊行される予定だ。
本作は、壊れた家族の絆を取り戻すため、並行世界を遡る量子家族の物語。2035年から届いたメールがすべての始まりとなり、高度情報化社会、アリゾナの砂漠、量子脳計算機科学、35歳問題、幼い娘、ショッピングモール、そして世界の終わりといったテーマを包含した壮大な作品となっている。
なお、東浩紀は自身のTwitterで、本作の内容を以下のように紹介している。「内容は村上春樹+CLANNAD+「存在論的、郵便的」のマッドSFと言ったところでしょうか。普通にエンタメとして読めるようになっている(前衛的実験はしていない)のですが、そしてけっこうまじめに家族愛がテーマなのですが、読む人が読めば元ネタがそうなっていることはわかります」。
東は、1999年に最初の著書として評論『存在論的、郵便的』を刊行して以来、批評やサブカルチャーシーン等において絶大な影響力を発揮してきた。そんな彼がゼロ年代のラストに放つ、批評から小説への新境地をぜひとも一読しておきたい。
なお、12月7日発売の文芸誌『新潮』1月号には、東浩紀と平野啓一郎の対談「情報革命期の純文学」が収録される。2人の作品をよりよく理解するために、ぜひチェックしておきたいところだ。