チェルノブイリ訪問契機に制作、ヤノベケンジが感知・発信する『大地のアンテナ』展

空間の放射線を視覚化したインスタレーション作品を展示するヤノベケンジの個展『アトムスーツ・プロジェクト:大地のアンテナ』が、7月2日から東京・白金の山本現代で開催される。

デビュー当時、終末的世界をサバイバルするための作品群を制作していたヤノベは、1991年に発生した美浜原発事故の危機感から、鉛と鉄でできた放射能防護服型作品『イエロー・スーツ』をはじめ、放射線量計測器ガイガーカウンターを用いた作品の制作を開始。以後も放射能や自然現象など、人類の制御がおよばない領域にあるエネルギーなどを素材とし、新世紀の幕開けと共にテーマをリバイバル(再生)に転換させ制作活動を続けている。

同展では、2001年の作品『アトムスーツ・プロジェクト:大地のアンテナ』を中心に展示。同作は、特殊な全身スーツ『アトムスーツ』を着用した等身大のヤノベケンジ人形と、数百体の小型アトムスーツ人形を用いたインスタレーション作品で、サバイバルとリバイバルのちょうど中間期に生まれた重要な作品だ。なお、ヤノベ自身によって制作された『アトムスーツ』は、ヤノベが1997年にチェルノブイリを訪れた際にも使用されたものと同型。放射性物質から人体を防護するための最低限の機能を備えており、眼球、生殖器、臓器などの重要器官部分にガイガーカウンターが装着されているという。

また、等身大のヤノベケンジ人形のモデルとなっているのは、平安時代に仏事の慣習を破ってまで民衆の救済に務めた破天荒な僧・空也上人の像だ。ヤノベはアーティストとしての自分のあり方を空也上人に重ね合わせて考えるようになり、同作のモデルとして選んだという。10年前に制作された作品ながら、今改めて向きあいたい作品と言えるだろう。

ヤノベケンジ個展
『アトムスーツ・プロジェクト:大地のアンテナ』

2011年7月2日(土)~7月30日(土)
会場:東京都 白金 山本現代
時間:11:00~19:00
休廊日:日、月曜、祝日
料金:無料

『オープニングレセプション』

2011年7月2日(土)18:00~20:00
会場:東京都 白金 山本現代

(画像上:アトムスーツ・プロジェクト Photo by Seiji Toyonaga ©Kenji Yanobe Courtesy of YAMAMOTO GENDAI、画像下:アトムスーツ・プロジェクト:大地のアンテナ 2001 installation size 180×420×148cm approx. 写真、プラスティック、ガイガー・ミュラー管、他 Photo by Greg Weit ©Kenji Yanobe Courtesy of YAMAMOTO GENDAI)

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