映画『日本のいちばん長い日』が、8月から全国で公開される。
半藤一利のノンフィクション書籍『日本のいちばん長い日 決定版』を原作にした同作。1967年に岡本喜八監督による同名映画が公開されているが、今回は半藤が昭和天皇と共に終戦に導いた鈴木貫太郎元首相の姿を描いたノンフィクション『聖断』の要素を加えて映画化される。
物語の舞台は、太平洋戦争末期にポツダム宣言受諾の要求や原爆投下を受け、降伏と本土決戦の間で揺れる日本。決断に苦悩する阿南惟幾陸軍大臣や、昭和天皇、鈴木貫太郎首相、迫水久常書記官、終戦に反対してクーデターを計画をする畑中健二少佐ら若手将校の姿を通して、終戦の舞台裏を描く。
戦争完遂を支持する陸軍のトップとして決断を迫られ、苦悩する主人公の阿南陸相を演じるのは役所広司。さらに昭和天皇を本木雅弘、当時の首相・鈴木貫太郎を山崎努、閣議を見守ることしかできない内閣書記官長・迫水久常を堤真一、終戦に反対し、降伏を国民に伝える玉音放送を中止すべく、皇居やラジオ局の占拠を企てる畑中少佐を松坂桃李が演じる。監督・脚本を手掛けるのは、『クライマーズ・ハイ』『わが母の記』や、2015年5月公開の『駆込み女と駆込み男』などで知られる原田眞人。
役所広司のコメント
原田監督作品への久しぶりの参加となりました。 今回演じさせていただいた、阿南という人物は、戦時下の陸軍トップとして部下を愛し、部下にも慕われ、天皇への一途な忠誠心も持つ一方、家族も大切にした魅力的な人でした。各個人それぞれの「家族」、そして天皇を中心とした日本という「家族」、その「家族」というテーマに重きを置いて描かれていることが、この作品の最大の魅力ではないでしょうか。 山崎努さんとの共演は長年の夢が実現しました。本木雅弘さん、堤真一さん、松坂桃李さん、原田組常連の俳優さんに加え、多くのフレッシュな俳優さんが、ドキュメンタリーの如くリアリティをもって魅力的に演じています。完成がとても楽しみです。
原田眞人監督のコメント
今回は「THE EMPEROR IN AUGUST」という英語タイトルをつけました。1945年8月に昭和天皇が語られた一言一言が、今を生きる自分の心に深く突き刺さるからです。あの8月、天皇が自分の言葉で語り始めなければ、若き日の両親は国土防衛戦に巻き込まれ、命を落としていたでしょう。半藤先生の幾多の終戦にまつわる著作を何回も読み、天皇の勇気を支えたのが終戦内閣の鈴木貫太郎首相と阿南惟幾陸相のふたりであるとも確信しました。昭和天皇はあの8月まですべての家族の「家長」でありました。年齢的には、この三人は貫太郎さんを家長とする長男と次男の家族でもあり、そこに映画の根っこを置きました。映画「日本のいちばん長い日」は、幾重にも交錯する家族の、存亡を賭けた4ヶ月のドラマです。
作品情報
『日本のいちばん長い日』
2015年8月から全国で公開
監督・脚本:原田眞人
原作:半藤一利『日本のいちばん長い日 決定版』(文春文庫)
出演:
役所広司
本木雅弘
松坂桃李
堤真一
山崎努
配給:松竹、アスミックエース