武田砂鉄の著書『紋切型社会――言葉で固まる現代を解きほぐす』が、4月25日に刊行される。
「cakes」「CINRA.NET」「LITERA」「マイナビニュース」といったウェブサイトや『TRASH UP!!』などの雑誌に連載を持つライターの武田砂鉄。出版社勤務を経て、昨年秋からフリーで活動している。
初の著書となる『紋切型社会――言葉で固まる現代を解きほぐす』では、世間に溢れる「紋切型」のフレーズを切り口に、そうした言葉が汎用される背景にある思考や閉塞的な現代社会の状況を批評。「育ててくれてありがとう」「全米が泣いた」「会うといい人だよ」「逆にこちらが励まされました」といった20のフレーズが取り上げられている。また、帯には重松清、白井聡の推薦文が記載されている。
なお、5月下旬から6月にかけて、都内で同書の刊行記念イベントが予定されているという。
武田砂鉄のコメント
今という時代は、素直に意見することを怖がりすぎていると思います。意見する空間が広がれば広がるほど個々人の意気込みに歯止めがかかる、という逆転現象が起きています。シェアされる言葉ばかりを慎重に選び抜くことで、言葉が窮屈に凝り固まっています。それは決してネガティブな言葉だけではなく、積極的に用いられる言葉にしても同様です。社会や文化を躍動させるための言葉は常に個々人の着想に寄り添ってきたはずですが、それがあるフォーマットに押し込められ、紋切型でつまらないものになっている、という疑いがあります。今回、20の言葉を並べましたが、手垢まみれの言葉と向き合うことは、たくさんの自由な表現を発生させるフィールドを整え直すことにもつながると思います。面白いことを面白いと言うためには、つまらないことをつまらないと言う必要もあると思っています。お読みいただければ、必ずや何がしかの感情が高ぶる一冊になったと自負しています。お手にとっていただけると嬉しいです。