松雪泰子×橋本愛×成海璃子『古都』、京都&パリで2組の母娘描く

映画『古都』が12月3日から全国で公開される。

1962年に刊行された川端康成の小説『古都』の現代版となる同作は、パリと京都を舞台に2組の母娘を描く作品。京都の室町で先祖代々続く佐田呉服店を継いで20年になる佐田千重子と大学生の娘・舞、千重子と生き別れた双子の妹で、京都のはずれにある北山杉の里で林業を営む中田苗子と娘の結衣の人生がパリで交錯するというあらすじだ。

娘に呉服屋の宿命を背負わせるべきか葛藤する千重子と、深刻な経営難に悩む苗子の2役を演じるのは松雪泰子。店を継ぐべきか葛藤しながら、日本文化を披露するイベントのためにパリに向かう舞役を橋本愛、美術の才能を活かしてパリに留学したが、他の学生との実力差に直面する結衣役を成海璃子が演じる。さらに蒼れいな、蒼あんな、葉山奨之、栗塚旭、伊原剛志、奥田瑛二らがキャストに名を連ねている。

メガホンを取るのは、ハリウッドで8年間にわたって映画制作を学んだほか、帰国後もアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督らの現場に参加したYuki Saito。同作ではオール京都ロケを敢行しており、劇中の茶道のシーンでは裏千家今日庵の全面協力によって貸し出された国宝級の道具が使用されているほか、橋本愛が着用した着物は5代目田畑喜八がデザインを担当した。また池坊専好の次期家元、妙心寺退蔵院の副住職・松山大耕らが出演している。なお同作は11月26日に京都で先行公開される。

松雪泰子のコメント

京都での撮影は、実際に室町で呉服屋さんをされてる方の町家をお借りしての撮影で、代々受け継がれる伝統を感じながらの撮影でした。
ある意味重圧にもなり得るその重みを背負って生きる千重子の生き様を感じる事が出来ました。
パリでの撮影は、凝縮した時間でしたが同じく伝統を大切にするその町並みは、古都というタイトルどおり、何処か京都との繋がりを感じながらの撮影でした。
お稽古は、一カ月間着付けや、裏千家のお茶の稽古、京言葉の稽古、京都の料理屋さんでの、稽古など重ねました。やはり、伝統を守る立場でそれを背負っている千重子には、非常に重要な要素でしたので毎日稽古を重ねました。今作は、古都の世界観をベースに千重子、苗子のそれぞれの子供たちとの母と娘、親子の物語り、オリジナルの古都を軸に未来に繋いで行く物語りです。
現代における、京都の現状。伝統を大切に守ることやその重圧、そして未来に繋いで行く事、そしてそれを担う娘の葛藤。かつての古都の時間軸から、現代にまで繋がりそして未来を紡いでいく物語りです。
母と娘そして、家族の想い、映像的にも京都の美しい風景やパリの街並みが美しく描かれ静かにゆっくりと、物語りが浸透していく、そんな作品です。

橋本愛のコメント

お茶、書道、座禅、日本舞踊と日本の文化や伝統芸能を学ぶことができてとても嬉しかったです。
一部パリロケがあったのですが、京都もパリもだいっすきな町。文化や芸術が大事に守られていて、どちらの土地にも、静かな自信とパワーを感じました。
川端さんの原作は二度映画化されてますが、今回はその先の、今の世代に継いだ新しい物語になりました。取り留めない、さらさら流れる水のような印象で、舞ちゃんを演じている上でも、水の感覚はずっとあって、ふわふわしていました。どんな仕上がりになっているのか、楽しみにしているところです。

成海璃子のコメント

撮影期間は一週間という短い時間でしたが、その分グッと集中して取り組むことができました。
現地のフランス人スタッフも素晴らしく、良い撮影現場だったと思います。

Yuki Saito監督のコメント

古き伝統をいかに次の世代に継承すべきか?季節の移ろいは変わらないのに、人の価値観は時代と共に変わっていきます。しかし、そのDNAレベルに刻まれた精神は揺るぎません。過去に2人の偉大な映画監督によって映画化された川端康成先生の原作をそのまま焼き増しするのではなく、今の時代を生きる自分の視点で、新しい「古都」に挑戦しました。この志しの元に集まった松雪さんはじめ最高のキャスト&クルーにより、日本の伝統・文化・精神を世界へ発信出来れば幸いです。

作品情報

『古都』

2016年11月26日(土)から京都で先行公開、12月3日(土)から全国公開

監督:Yuki Saito
脚本:眞武泰徳、梶本惠美、Yuki Saito
原作:川端康成『古都』(新潮文庫)
出演:
松雪泰子
橋本愛
成海璃子
蒼れいな
蒼あんな
葉山奨之
栗塚旭
迫田孝也
伊原剛志
奥田瑛二
配給:DLE

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