今秋に公開される映画『聖の青春』の追加キャストが発表された。
同作は、幼少期から腎臓の難病「ネフローゼ」を患い、29歳で逝去した実在の棋士・村山聖を描いた大崎善生の同名小説が原作。羽生善治をはじめとする同世代の棋士との戦いや、彼を支える師匠、家族の姿を通して、命の危険を冒しながら将棋に没頭した村山の生涯を描く。これまでに主人公の村山役を松山ケンイチが演じることが明らかになっていた。
追加キャストとして発表されたのは、聖のライバル・羽生善治役の東出昌大。劇中で東出が身につけている眼鏡は、1996年に史上初の7冠独占達成時に羽生がかけていた眼鏡を譲り受けたもの。また松山と東出が実際の棋譜を覚えて臨んだ村山と羽生の対決シーンは、2時間半におよぶ長回しで撮影されたという。
さらに10代の村山を大阪に引き取り、共同生活を送りながら支えた師匠・森信雄役にリリー・フランキー、村山の母・トミ子役に竹下景子、弟弟子・江川貢役に染谷将太、病床の村山をサポートするプロ棋士・橘正一郎役に安田顕、東京に出てきた村山と交流するプロ棋士・荒崎学役に柄本時生、村山の父・伸一役に北見敏之、「東京の師匠」として村山を支える将棋連盟の職員・橋口陽二役に筒井道隆がキャスティングされている。
東出は羽生役を演じたことについて「先ず、羽生さんが七冠を獲った頃に、実際にご本人がお使いになられていた眼鏡をご本人からお借りできたことが、大変有り難く、幸運でした。あとは全て『見てからのお楽しみ』です」とコメント。また羽生は「村山さんの生き様を描いた聖の青春が映画化されると聞いて、彼の存在の大きさを感じました。自分も出てくるので気恥ずかしいところもありますが東出さんに演じて頂いたのはとても名誉な事だと思っています」と語っている。
東出昌大のコメント
この作品には、人生、青春、生きがい、誇り、尊い多くのものが映っています。
一人でも多くの方に観てもらいたい。月並みな事を言うようですが、切に思います。羽生善治のコメント
村山さんの生き様を描いた聖の青春が映画化されると聞いて、彼の存在の大きさを感じました。自分も出てくるので気恥ずかしいところもありますが東出さんに演じて頂いたのはとても名誉な事だと思っています。将棋を知らない人達にも楽しんで感じて観てほしいと思います。
森義隆監督のコメント
人類を代表する知性、しかもいまだ現役で棋界のトップを走る羽生さんを演じるということは、どんな俳優にとっても大きな重圧だと思います。しかし、東出昌大という俳優は、その重圧に負けない、本当に大きな器を持っていました。彼は、羽生さんへの心の底からの尊敬を足場にし、佇まい、所作、棋譜、精神性まで徹底した研究に研究を重ね、実際に羽生さんと対戦してきたプロ棋士たちも納得の若き羽生像を作り上げました。これまでの俳優東出昌大のキャリアにおいて、ベストアクトなのではないかと思っています。