池波正太郎の時代小説『鬼平犯科帳』がテレビアニメ化されることがわかった。
『鬼平犯科帳』は江戸を舞台に、罪人を取り締まる「火付盗賊改方」という役職に就いた長谷川平蔵が、悪人たちを裁いていく姿を描いた作品。1967年に第1作目が発表されて以降、1989年までに135作が発表されており、これまでに漫画化や実写ドラマ化、映画化、舞台化などもされている。
アニメ版のタイトルは『鬼平』。プロデュースは、アニメーション制作会社MAPPA会長でスタジオM2代表の丸山正雄、監督とキャラクターデザインは宮繁之が務める。放送時期は『鬼平犯科帳』の誕生50周年を迎える2017年を予定している。
また今回の発表にあわせて、長身で現代風の「鬼平」のビジュアルが公開された。
池波作品としても初のアニメ化となる同作について、オフィス池波は「連載開始から約50年、いまなお読み継がれている『鬼平犯科帳』がこの節目に初アニメ化ということで、驚きとともに大変期待しております。アニメにしかできない新しい鬼平の世界を表現していただきたいと思っております」とのコメントを発表している。
丸山正雄のコメント
アニメに携わって約半世紀、時代劇と言われるタイトルに出会えたのはりんたろう、村野守美の「佐武と市捕物控」、杉井ギサブローと組んだ手塚治虫原作の「陽だまりの樹」、川尻善昭の傑作「獣兵衞忍風帖」…5本の指に足るぐらいでしかない。
それが今回、十年に一回のチャンスが巡って来て、本格的時代劇をアニメでやれることになった。「鬼平犯科帳」である。
困ったことに私は根っからの池波ファン、取り立てて鬼平ファンである。正直言ってプレッシャーはある。本当に我々でいいのか?
しかし、十年に一回いや二十年に一回のチャンスを逃すことはできなかった。実写とも違うアニメならでのエンターテイメントに挑戦出来るはずだ。
先ず鬼平ですが最初は初老で作ってみたが、アニメキャラとしては少し若さを強調してみました。無論、落着きと原作テイストのおおらかさも。監督でもある宮繁之のキャラクターデザインで決まりです。
江戸の街もリアルでありながらも美術的な美しいものに、音楽は田中公平and日本一のベイシスト川村竜によるジャズの雰囲気で!
原作を損なうこと無く、ただ原作をなぞるだけではない、アニメとしての魅力をどこまで出せるか!勝負です。
格調高いオーソドックスな時代劇、且つ時代劇だからできるケレン味。
しっかりした時代考証を抑えつつも、モダンでオシャレなセンス。むろんダイナミックな動き!そして破天荒な見せ場も。
相反するものを止揚して、美しい、どこにもない世界を目指します。
「長谷川さまの為ならこの命少しも惜しくはありません」と、宮監督は小房の粂八のように、あっちは年齢からして彦十さながら、鬼平の魅力に取り憑かれた我々は、厳しく悪を追い詰めながら、人情の機微を優しくみつめることを追い続けた池波正太郎の世界をまっすぐに見据えて行けたらと、何より誰もが愉しめるまっとうなエンターテインメントを今しか出来ない時代劇「鬼平」がやれたらとひたすら願っています。