映画『灼熱』が11月から東京・渋谷のシアター・イメージフォーラムほか全国で順次公開される。
『第68回カンヌ国際映画祭』で「ある視点」部門審査員賞を受賞した同作は、クロアチアのユーゴスラビアからの分離独立を巡って1991年に起きたクロアチア人とセルビア人との民族対立を背景にした作品。紛争によって敵同士となったセルビア人の女性とクロアチア人の青年の関係を軸に、紛争が勃発した1991年、終結後の2001年、平和が戻った2011年の10年ごとに展開される3つのラブストーリーが描かれる。
同作では、紛敵同士になり悲運を辿る1991年のイェレナとイヴァン、互いの民族を憎みながらも激しく惹かれ合う2001年のナタシャとアンテ、過去の憎しみを乗り越えようとする2011年のマリヤとルカを描く異なる3つの物語を、それぞれ同じ俳優たちが演じる。主演のティハナ・ラゾヴィッチは、過去にダニエル・クレイグやメラニー・ロラン、キャリー・マリガンらも選ばれている『シューティングスター賞』に今年選出された。
メガホンを取ったのは、10代の時に紛争を経験したクロアチア出身のダリボル・マタニッチ監督。マタニッチは「私たちはいま、SNSを通じて世界中で毎日のように憎しみの感情を目にします。誰かに対して憎しみの感情を抱くのは、本当に幸せな事なのでしょうか」と語っている。