「結婚の自由をすべての人に」裁判、大阪地裁が同性カップルの訴えを退ける

法律上、同性同士の結婚を認めないのは憲法に違反するとして、京都や愛知など3府県の同性カップルが国を訴えた『結婚の自由をすべての人に』関西訴訟で、大阪地裁(土井文美裁判長)は6月20日午後、婚姻の平等を求めてきた原告側の訴えを、すべて棄却した。

原告側の「同性同士の結婚を認めないのは『婚姻の自由』や『法の下の平等』に違反する」との主張を退け、同性婚を認めない民法や戸籍法の規定は「合憲」だと判断。同性婚を認めない現行法を「法の下の平等を定めた憲法14条に反する」と判断した昨年3月の札幌地裁判決とは異なる消極的な判断に、原告団や支援者からため息が漏れた。

どんな裁判なのか?

2019年2月、結婚の平等(同性婚)の実現に向けて、全国各地で同性カップルらが国を一斉提訴した『結婚の自由をすべての人に』訴訟。

現在は東京、名古屋、大阪、福岡の4地裁と札幌高裁で裁判が続いている。一連の裁判のうち、大阪地裁に提起された「関西訴訟」は2例目の判決となった。

関西訴訟の原告は京都府の坂田麻智さん(43)とテレサさん(39)、香川県の田中昭全さん(44)と川田有希さん(37)ら3組の同性カップル。

法律上の性別が同じふたりの結婚を認めない現行法は、憲法24条で保障される「婚姻の自由」を侵害し、14条の「法の下の平等」に反していると主張。また、長期間にわたって立法措置を怠った立法不作為の責任があるとして、国家賠償法に基づく賠償を求めていた。

これに対し国側は、憲法24条が定めた「婚姻は両性の合意のみ」で成立するとの点について「男女を表すことが明らかであり、同性間の婚姻を想定していない」などと反論。憲法14条については「同性婚を想定していないのだから、異性婚と同性婚に差が生じることを憲法は容認している」とし、原告側と全面的に争う姿勢を示していた。

国の主張を追認するような判決

判決要旨によると、憲法24条1項で「両性の合意」や「夫婦」との文言が用いられていることから「婚姻が男女から成ることを意味するものと解釈するのが通常の文理解釈」と指摘。憲法24条の「婚姻の自由」は異性間にのみ及ぶものーーとの見解を示した。

また、同性カップルが社会のなかで公に認知されて共同生活を営むことのできる利益を「公認に係る利益」として、それを実現するには「現行の婚姻制度の対象に同性カップルを含めるだけでなく、新たな婚姻類似の法的承認の制度を創設するなどの方法も可能」と判断。

現行の婚姻制度とは別に、同性カップルを対象とした類似制度の創設について言及した。

「同じ結婚制度という枠にカウントしてほしい」。原告が語った落胆

国の主張を追認するような大阪地裁の判決を受け、原告団や集まった支援者たちからは落胆の声が漏れた。

坂田麻智さんは、目に涙を浮かべながら「変えることのできない性的指向で差別的扱いを受けていることを、判決は合憲としました。非常に憤りを感じていますし、残念でなりません。判決では類似の制度を作る方法もあると言っていましたが、私たちが求めているのは婚姻の平等であり、同じ結婚制度という枠にカウントしてほしいということ。類似の制度では私たちはまた区別されてしまいます」と判決を批判した。

原告団の三輪晃義弁護士は「同性間で結婚できない問題を、裁判所が判断することを回避した消極的な判決だと思う。我々の世代で差別を終わらせなければならないとの思いを正面から受け止めてもらえなかったのは非常に残念です」と語り、大阪高裁に控訴する考えを示した。



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