軽井沢の新名所。日本初、藤田嗣治だけの美術館「軽井沢安東美術館」が10月8日オープン

軽井沢安東美術館が、10月8日に開館する。

同美術館は、レオナール・フジタこと藤田嗣治の作品だけを収蔵、常設展示する日本初の美術館。投資ファンド会長でもある安東泰志が同館の代表を務め、安東とその妻・恵が長年収集し、自邸に飾ってきた藤田の作品約180点を所蔵している。安東は私財を投じて同館を建設した。館長は水野昌美が務める。設計は武富恭美(株式会社ディーディーティー一級建築士事務所)。

オープン記念企画ではほぼすべての収蔵作品を展示。撮影可能な展示室も

オープン記念企画では、約180点の収蔵作品の中からほぼすべての収蔵作品を展示し、同館コレクションの全貌を概観できる機会になるとのこと。またフランスの藤田財団の全面協力のもと、「展示室5」では写真撮影も可能とした。

展示のコンセプトとして「渡仏~スタイルの模索から乳白色の下地へ」「旅する画家~中南米、日本、ニューヨーク」「ふたたびパリへ~信仰への道」「少女と猫の世界」という4つのテーマを掲げ、藤田が生涯描き続けたモチーフである「少女」「猫」「聖母子」の絵画を中心に、初期の風景画、乳白色の裸婦画などを紹介する。

藤田嗣治とは?フランスに愛された画家

1886年に東京で生まれた藤田嗣治は、画家を志して1913年に渡仏。芸術家たちが集まったパリのモンパルナスに居を構え、アメデオ・モディリアーニ、シャイム・スーティン、パブロ・ピカソ、ジャン・コクトーらと親交を温めた。徐々に評判を高め、フランスで人気画家となった藤田は1925年にレジオン・ドヌール勲章を贈られるなど、評価を確固たるものとした。その後、南米に長期滞在し、日本に帰国。第二次世界大戦の混乱に翻弄されながらパリと行き来をし、1955年にフランスに帰化し、1957年にレジオン・ドヌール勲章シュバリエ章を贈られた。1959年にはカトリックの洗礼を受け、名を「レオナール・フジタ」とした。1968年にがんのため死去。81歳だった。2015年にはオダギリジョーが藤田役を演じた映画『FOUJITA』が公開され、2018年には没後50年を記念する大規模な回顧展が東京都美術館、京都国立近代美術館で開催。日本国内でも再評価の機運が高まっている。

軽井沢安東美術館の建物について。コンセプトは「自宅のような美術館」

同館の収蔵作品の多くは、安東夫妻が自宅の壁にかけて鑑賞してきたもの。来館者にも同じようにくつろいだ環境で作品を観てもらいたいという想いから、安東邸を再現するというコンセプトで館内を構成している。

また1階には、通常時はワーケーションスペースとしても利用できる「サロン・ル・ダミエ」を設けている。このサロンでは定期的なコンサートも開催予定とのこと。なお同館では1899年製のニューヨーク・スタインウェイのピアノも所蔵しているという。

開館を記念して世界文化社から公式図録が刊行。館内では美術館のオリジナルグッズも販売される。

さらに館内には「HARIO」直営のカフェがオープン。HARIOの器具で淹れたコーヒーや紅茶を楽しむことができるほか、美術館限定デザインを含む「HARIO Lampwork Factory」のガラスアクセサリーも販売する。

同館の近隣には大きな池や広々とした芝生がある矢ケ崎公園や、ドラマ『カルテット』にも登場した軽井沢大賀ホールがある。閑静で広々とした街並みも同館を訪れる楽しみとなりそうだ。

開館時間は、4月から10月まで10:00~17:00、11月から3月まで10:00~16:00。開館日の10月8日は13:00~17:00となる。入館は閉館の30分前まで。休館日は水曜(祝日の場合は翌平日)、年末年始、2月下旬。入館料は一般2,000円 、高校生以下1,000円、未就学児無料。

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