クィア・シネマ研究者・菅野優香の初単著『クィア・シネマ 世界と時間に別の仕方で存在するために』が本日4月26日に刊行された。
ジェンダーやセクシュアリティー、人種、コミュニティーの規範や理想を強化し、教え込む教育的な役割も担ってきた映画。クィア・シネマはそこで生まれた「常識」や「当然」を疑うことによって慣れ親しんできたアイデンティティーやカテゴリーを問い直し、「異なる」欲望や「非規範」的な関係の可能性に導くものだという。
4部構成となる同書はアルフレッド・ヒッチコック、オードリー・ヘプバーン、ジュディ・ガーランド、グザヴィエ・ドラン、セリーヌ・シアマ、田中絹代、三池崇史、美輪明宏、原節子、高倉健といった作家やスター、作品のみならず観客やコミュニティーを縦横に論じる映画論。
第1部ではクィア・シネマの歴史や横断性、クィアの理論と歴史を俯瞰。第2部ではジュディ・ガーランドといった黄金期ハリウッドのスターから、グザヴィエ・ドラン、セリーヌ・シアマなど近年の監督まで、アメリカおよびフランスのスターや映画作家、映画作品の「わたしたちが知っているあり方とは『別』のあり方」を提示する。
第3部では美輪明宏、原節子、高倉健といった映画スターと、そのファンやファンコミュニティーを取り上げ、雑種性が強く表れた日本映画を扱う。第4部では1970年代のフェミニスト映画運動や日本で開催されるクィア・LGBT映画祭を掘り下げ、映画とコミュニティーの関係を地域性を絡めつつ論じる。
第1部のうちの2章と、黒人レズビアンをテーマにした初めての長編劇映画とされる『ウォーターメロン・ウーマン』を論じた章の計3本の書き下ろし論考を収録。英語で発表された美輪明宏論と原節子論の邦訳も収められている。
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