選挙をポジティブなものに。「センキョ割」を広める学生実施委員会が目指すこと

『第50回衆議院議員総選挙』が10月27日に投票日を迎える。

2021年10月に行われた第49回衆議院議員総選挙では投票率が55.93%にとどまるなど、選挙に行く人が少ない現状が続くなかで、投票所でもらえる投票証明書を見せるとお店で割引やサービスが受けられる「選挙割」の制度が広がりつつある。

今回は、そうした選挙割の普及活動を行なう「センキョ割学生実施委員会」の草野愛梨さんにメールでインタビュー。

活動を続ける理由やカルチャー系企業の参加に感じていること、学生団体だからこその苦労とポジティブな面について話を聞いた。

選挙をクリスマスのようなポジティブなものに

─活動はいつからはじまったのでしょうか?

この活動のはじまりとして把握している元祖選挙割は、2007年に早稲田商店街の有志の店舗が実施した選挙割だと思います。2012年の時点で公職選挙法に基づくルール設定をしつつ継続して全国に波及させる目的を持った実施団体がなかったため、社会貢献活動の一環としてスタートしました。

12年の歴史はありますが、選挙に興味がない人にも興味を持ってもらうという趣旨は変わらずに続けております。

─センキョ割学生実施委員会では、具体的にどのような活動を行なっているのでしょうか?

ご協力いただける店舗様を増やすために手紙やメールを出したりするだけでなく、直接店舗様のもとへ、お願いにもお伺いしています。

選挙の日程が決まると、いままでご参加いただいた店舗様に今回もご参加いただけるようお願いの電話やメールをし、参加いただける企業様、店舗様にビラやポスターを送付し、情報更新にご協力いただいたうえで公式サイトに掲載しています。

くわえてSNSでの広報活動にも取り組み、インタビューを受けることもあります。かなり作業量はありますが、ただ学生をしているだけでは味わえないことも多く、充実しています!

─「センキョ割」の普及を目指す理由や背景について教えてください。

この活動は特定の政治家や政党を推しているわけではないので、純粋に選挙に行くきっかけになることを目的としています。

選挙はすごく楽しいことではないかもしれませんが、行かない人を減らすことの「きっかけ」になればと思っています。

ポジティブなイメージで国民文化に定着したクリスマスのように、選挙をめぐる雰囲気を変えられればと考えていて、そのために選挙に行くことを強制されるよりも、少しでもポジティブに捉えていただけたほうが、選挙に行こうと思えるのではないか、と日々活動しています。

─「センキョ割」を実施した企業や団体の方、「センキョ割」を利用した人からはどのような反響がありましたか?

参加してくださった店舗の方と直接話す機会はそう多くはありませんが、何度も参加してくださっているのをみると良かったと思います。最近ではメディアで見て登録してくださる店舗様も増え、広がりを感じています。

また、「ものすごいプロモーション効果だったよ」「CSR効果も絶大だった」「従業員にも選挙啓発できたよ」「学生さんと定期的に話すなかでアルバイトにきてもらえるようになったよ」「地域活動で学生さんから年配まで連携しやすくなった」など、さまざまなフィードバックをいただき、多角的な効果をも実感しています。

「カルチャーの『かっこいい』『イケてる』というイメージを選挙や投票にも重ねたい」

─渋谷のライブハウスであるWWW / WWW Xなど、カルチャー系の団体も「センキョ割」に参加していますが、どのような基準で参加団体を選んだり、探したりしているのでしょうか?

WWW / WWW Xさんは現在も活動を続けているメンバーが音楽好きという経緯から、スペースシャワーネットワークの社長さんに連携できるかたちはないかと自筆のお手紙を出したことがきっかけです。

もともと音楽やカルチャーは表現の意味合いが強いと感じており、選挙や投票も自分の意思を表現するという意味では共通項があると思っていたことに加え、音楽やアート、カルチャーが「かっこいい」「イケてる」というイメージが強いように、選挙や投票にも同じようなワクワクするイメージを重ねたいと感じ、お声がけさせていただきました。

お声がけする基準のようなものはないですが、しいて言うなら「選挙に行く人がワクワクできるか」「お得になって選挙にいきたいと思うか」を中心に、ちょこっと学生メンバーの趣味も入りつつお声がけさせていただいております。

興味を持っていただけて、こちらで定めている公職選挙法に触れないためのルールを守っていただける店舗企業様はつねに大募集ですのでお気軽にお問い合わせ、ご登録いただければと思います。

─公式サイトなどのクオリティも高く、学生団体であることに驚く人も多いのではないかと思います。学生だからこその大変さや苦労、もしくはポジティブな面があれば教えてください。

学生だからこそ大変なことは、圧倒的に大学や高校との両立です。本分は勉強になるので、その合間を縫って作業を進めています。アルバイトなどもメンバーの多くがしているため、まとまった時間が取れないのが現状ですが、集まれるときは同じ世代同士、和気あいあいと活動できているところはとても良い面だと思っています。

─最後に、今後の展望や新たに行ないたい活動があればお聞きしたいです

将来は、選挙をもっと身近に感じてもらいたいです。そのためにセンキョ割が一人でも多くの人の選挙に行くきっかけになればと思います。最終目標はセンキョ割がなくても誰もが選挙に行ける社会ですが、いまは選挙に触れる人が増えることを目指して進めていくつもりです。個人的には、何かしらのイベントとのコラボが増えたらもっと盛り上がるのではないかと思っております。



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