メイン画像:©2024 ANTIPODE FILMS. YABAYAY MEDIA
映画『ノー・アザー・ランド 故郷は他にない』に寄せた著名人コメント、本編映像が到着した。
『第97回アカデミー賞』長編ドキュメンタリー賞にノミネートされた同作は、イスラエル軍による破壊行為と占領が今まさに進行しているヨルダン川西岸のパレスチナ人居住地区「マサーフェル・ヤッタ」の現状をカメラに収め世界に発信することで占領を終結させ故郷の村を守ろうとするパレスチナ人青年バーセル・アドラーと、彼に協力しようとその地にやってきたイスラエル人青年ユヴァル・アブラハームの活動を、2023年10月までの4年間にわたって記録したドキュメンタリー。
バーセルとユヴァルがパレスチナ人とイスラエル人という立場を越えて対話を重ね理解し合うことで生まれる友情、故郷の自由を願い強大な力に立ち向かい続ける人々の姿も映し出される。監督は彼らを含むパレスチナとイスラエルの若き映像作家兼活動家の4人が共同で務めた。
本編映像は、2020年にマサーフェル・ヤッタで起こったある事件の一端を捉えたもの。住民たちがイスラエル軍と入植者による退去命令や破壊行為に抵抗しようと夜中のうちに家屋の建設を進めていたが、それが見つかってしまうシーンや、ユヴァルがカメラを手に「国の暴挙を見逃せない」と抗議する場面、イスラエル側による一発の銃声が鳴り響く様子が映し出されている。
バーセル・アドラー監督は『アカデミー賞』にノミネートされた2日後の1月26日、「映画がアカデミー賞にノミネートされて2日後の今、入植者たちが私のコミュニティであるマサーフェル・ヤッタに侵入し、家々に火をつけて破壊しています。ノミネートされたことは光栄ですが、トランプ米大統領が入植者に対する制裁を解除したその一方で、私たちは抹殺されかけています。ハリウッドの人々は気にかけているでしょうか? どうか黙っていないでください」という訴えを、家々から煙が上がる様子を記録した動画とともにXに投稿した。
同作は2月6日時点で11の観客賞をはじめ62の賞を獲得しているが、アメリカ国内では政治的な事情から劇場公開しようと手を挙げる配給会社がないまま、制作陣自らの働きかけにより1月31日にニューヨークの1館で劇場公開がスタート。1月31日~2月2日の3日間で、全公開作の中でスクリーンアベレージ1位という成績を見せる中、バーセル・アドラー監督は2月7日より米国内20都市で自主上映を始めるとX上で発表した。
『ノー・アザー・ランド 故郷は他にない』は2月21日よりTOHOシネマズ シャンテ、シネ・リーブル池袋ほか全国で公開される。
【仲野太賀のコメント】
知識や情報だけで人の痛みなどわかるはずがない。この映画に少しでも興味を持った人がいるのなら、迷わずに見てほしい。
パレスチナの現状を決死の覚悟で届けようとした、命懸けの記録をどうか心に留めてほしい。
【奈良美智のコメント】
当たり前だがリハーサルも撮り直しも無いドキュメンタリーだ。スクリーンに映し出されるのは、常に直面する余地の無い選択の数々と厳しい現実。観る者の心に葛藤や希望が乱雑に入り込んできて息が苦しくなるだろう。しかし、それは彼らの「故郷」における現実に違いないのだ。
【有働由美子のコメント】
2018年夏私はイスラエル兵から銃口を向けられた。立ち退きを迫られたパレスチナ側で撮影していた。それだけの理由で。この映像に映る全てをしっかり受け止めたい。
【空音央のコメント】
映画は教えてくれる。イスラエルの暴力の本質は占領だ。私達も無関係ではない。実際、私達の年金もイスラエルに投資されている。怒りを感じたら行動しよう。映画でバーセルが言う「水1滴ではダメでもしずくが続けば変わる」私達もしずくになろう。パレスチナが解放されるまで。
【岩井俊二のコメント】
住居を破壊し、井戸にセメントを流し込む入植者達の理不尽。
観る側にも相当な苦痛を強いる。だからこそ観るべき映画だ。
【森達也のコメント】
理不尽で無慈悲な虐殺や戦争はガザだけではない。パレスチナの民の受難と絶望。僕たちは目撃し続けている。それなのに状況はもう何十年も変わらない。この映画は告発であると同時に希望も示す。一人でも多くの人に観てもらいたい。そして声をあげてほしい。
【想田和弘のコメント】
余計な装飾や解説を排した、無骨ともいえる生の映像。
そこに映し出された、パレスチナのあまりにも過酷な現実。
あの「10月7日」以前にして、このありさまだ。
何とかしなくてはいけない。
しかしいったい何ができるのか。
パレスチナ人とイスラエル人の映画作家の間に芽生えた友情と理解と信頼だけが、一筋の光のように思える。
【奇妙礼太郎のコメント】
僕は彼らをあっという間に忘れて暮らす。
そういう残酷さがこの映画のすぐそばにある。
そこから先を委ねられている。
【安田菜津紀(Dialogue for People)のコメント】
パレスチナの人々の土地を、尊厳を、そして命を、根こそぎ奪い去る、占領の不条理が、この映画に凝縮されている。
これを民族浄化と呼ばず、なんと呼べるだろう。そして、問われる。この悲鳴に、無視を決め込む世界でいいのか――。
【金平茂紀のコメント】
イスラエル軍のブルドーザーが人々の営みを容赦なく破壊していく。ここまで人間は非道になれるのか。と同時に、それに抗う彼我の友情がある。私たちはただの観客か? 黙っていていいはずはない。
【増田ユリヤのコメント】
パレスチナとイスラエルの和平は実現不可能なのか。幾度となく潰えた希望を、今だからこそバーセルとユヴァルの友情に託したい。
【ISOのコメント】
報道で見かける「占領」という言葉の向こうに存在する、生存権を剥奪される人々の姿を知る。その第一歩のための命懸けの襷。エンドロールの先で、更に悪化する占領と虐殺に世界はどのような態度を取るのか。監督たちの眼差しはこちら側に向けられている。どうか、知ってほしい。
【町山智浩のコメント】
ヨルダン川西岸で暮らすパレスチナの人々の家を破壊するイスラエル軍。子どもが泣こうと容赦せず、抵抗する者を銃撃する。あまりに絶望的な状況を撮り続ける監督とユダヤ人ジャーナリストの友情に小さな希望が。
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