国立新美術館と香港M+の協働企画展『時代のプリズム:日本で生まれた美術表現 1989-2010』が9月開幕

展覧会『時代のプリズム:日本で生まれた美術表現 1989-2010』が9月3日から六本木・国立新美術館 企画展示室1Eで開催される。

同展は国立新美術館と香港にある現代視覚文化のグローバルミュージアムM+による初の協働企画展。昭和が終わり、平成が始まった1989年から2010年までに日本でどのような美術が生まれ、日本からどのような表現が発信されたのか、国内外の50を超えるアーティストの実践を検証する。

1980年代初頭以降の国際化の胎動を扱うプロローグに始まり、続くイントロダクションでは日本社会が大きな転機を迎えるなか1989年を転換点として登場した新しい批評性を持つ表現を紹介。以降の時代を3章のテーマにもとづくレンズを通して見つめていく。

1章「過去という亡霊」では戦争、被爆のトラウマ、戦後問題に向き合い続ける探求、2章「自己と他者と」では自他のまなざしの交換のなかでジェンダーや文化的アイデンティティを問う実践、3章「コミュニティの持つ未来」では既存のコミュニティとの関わりや新たな関係性の構築に可能性を探るプロジェクトを紹介。

この20年間の日本というプラットフォームを国内外の双方向的視点で捉えながら複数の歴史と文脈が共存する多元的な美術表現の姿を提示するという。

出展作家は会田誠、マシュー・バーニー、蔡國強、クリスト、フランソワ・キュルレ、ダムタイプ、福田美蘭、ドミニク・ゴンザレス=フォルステル、デイヴィッド・ハモンズ、ピエール・ユイグ、石内都、ジョアン・ジョナス、笠原恵実子、川俣正、風間サチコ、小泉明郎、イ・ブル、宮島達男、森万里子、森村泰昌、村上隆、長島有里枝、中原浩大、中村政人、奈良美智、西山美なコ、大竹伸朗、大岩オスカール、小沢剛、フィリップ・パレーノ、ナウィン・ラワンチャイクン、志賀理江子、島袋道浩、下道基行、曽根裕、サイモン・スターリング、ヒト・シュタイエル、トーマス・シュトゥルート、束芋、高嶺格、フィオナ・タン、照屋勇賢、リクリット・ティラヴァニャ、椿昇、フランツ・ヴェスト、西京人、山城知佳子、やなぎみわ、柳幸典、ヤノベケンジ、米田知子ほか。

【ドリアン・チョン(M+アーティスティックディレクター、チーフキュレーター)のコメント】
国立新美術館との今回のコラボレーションは、私たちM+の国際性に富んだコレクションや企画において、今後日本の現代美術をより広く、より深く扱うための重要な節目となるでしょう。
「時代のプリズム:日本で生まれた美術表現 1989-2010」が焦点を当てるのは、日本の文化と社会が大きな変革を迎えた、グローバル化の最初の20年です。現代アートが実り多い交流と対話の場として機能していたこの時期に対して、私たちは自信を持って新たな視点を提示します。国家という枠組みを超えた豊かな国際性の歴史を再提示するとともに、21世紀においてもより広い世界の中で対話を続けることの重要性について、考え直す機会を皆さまに提供したいと思っています。

【神谷幸江(国立新美術館学芸課長)のコメント】
日常に向けた眼差しを投射する、社会政治的なメッセージを帯びたアーティストたちの実践が、日本で、日本から、力強く独自性に富んだ美術表現を生みだした時代を、振り返ります。
このチャレンジを、香港・M+、東京・国立新美術館、アジアの2都市に根差す美術館の対話によって試み、複数の視点から、私たちをとりまく社会、政治、経済、テクノロジーがダイナミックに変化した、複雑な時代に立ち現れた美術表現を捉えます。

【タイトルについて】
本展のタイトル「時代のプリズム」(英語タイトルPrism of the Real)は、1989年から2010年までの日本で生まれた美術表現が、外からきた光を透過し波長成分に分解する、計測器具としての分光器=プリズムの役割を担ってきたことを意味しています。そこには、この「時代」を一面的なものとして捉えることはできないという思いが込められています。現代美術は、社会政治的な動向や情報を解釈し、取り入れるためのレンズであったと同時に、豊かな国際交流の時代において日本の文化的な伝統と実践をインスピレーションとし発信をうながすメディアでもありました。そして、日本のアーティストや海外から日本へとやってきたアーティストは、日本の文化や社会との関わりを通して世界を、現実を観察し、透徹した分析をほどこしたのです。このような意味で、本展では「プリズム」というキーワードを掲げつつ、日本の中で、そして日本を超えて生まれた表現の多様な構成要素を取り上げます。

時代のプリズム:日本で生まれた美術表現 1989-2010 | 企画展 | 国立新美術館 THE NATIONAL ART CENTER, TOKYO


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