若手作家が自分の作品やコンセプトをプレゼン。アーツカウンシル東京の支援プログラム『TAAP』

東京都での創造活動をサポートする「アーツカウンシル東京」による新しい支援制度、『Tokyo Artist Accelerator Program(トーキョー・アーティスト・アクセラレーター・プログラム』の第1期成果発表「TAAP Live 2024」が、11月9日(土)~12日(火)にかけて開催される。

通称TAAP(タープ)と呼ばれる本プログラム。美術・映像分野の若手アーティストを対象に、アーティスト自身が作品を語るプレゼンテーション力を磨くことに焦点をあて、制作支援金とスペシャリストによる継続的なメンタリングなどを提供している。

2023年に選出された支援アーティストは、あおいうに、天草ミオ、伊阪柊、臼井仁美、佐藤浩一、高野徹、寺田健人、MOYAN、山内祥太、李和晋の総勢10人。彼らが東京・京橋にオープンする芸術文化拠点「TODA BUILDING」4階のTODA HALLに集結し、ステージ上でのプレゼンテーションや、作品制作について展示を行なう。

「アーティストのプレゼン」に注目した支援プログラム、TAAPとは?

TAAP(タープ)は、2023年から東京都とアーツカウンシル東京がスタートした新しい支援プログラムだ。若手アーティストを公募し、自身の作品について語るプレゼン力とコンセプト強化の両面からサポートすることを目指している。

作品を創造するアーティストが、なぜプレゼン力を磨く必要があるのか? と思うかもしれないが、そこにはアート関係者など多様なステークホルダーに直接プレゼンする機会を創出することで、東京から世界へと、アーティストの国際的な飛躍を支援する狙いがあるという。

アーツカウンシル東京の担当者は、「海外のアーティストや美大生と関わると、アーティスト自身が、自身の作品やコンセプト、それにまつわる考えなどを明瞭に、また堂々と語られることが多いです」と語る。

「海外での活躍を意識している場合、作品をつくるための技術や技法の習得や向上だけでなく、自身で作品やコンセプトを、周囲に伝わるように、言語化することも必要と感じています」

選ばれたアーティストには制作支援金(495,000円)が支給され、さらに、ギャラリストやアーティスト、キュレーターなどで構成するメンターによる8か月のメンタリングプログラムが提供される。

また、3か月に1回、合計2回の中間報告会で選考委員にプレゼンテーションを行い、内容などについて継続的にアドバイスを受けられるため、プレゼンテーションやコンセプトをブラッシュアップすることができる。

第1期は10人のアーティストが8か月の支援プログラムに参加

第1期となる2023年は63人から応募があり、書類選考と本選考(プレゼンテーション)を経て、10人の気鋭アーティストが選ばれた。

あおいうに、天草ミオ、伊阪柊、臼井仁美、佐藤浩一、高野徹、寺田健人、MOYAN、山内祥太、李和晋

メンターは天野太郎(東京オペラシティアートギャラリー チーフキュレーター)、粟田大輔(美術批評)、江幡京子(アーティスト/創形美術学校講師)、小林真比古(biscuit gallery 代表)、藤元由記子(株式会社ブックエンド代表取締役/NPO法人アート&ソサイエティ研究センター理事)が務め、芸術文化関係者とのネットワーキングもサポートしたという。

第2回中間報告会の様子
第2回中間報告会の様子
第1回中間報告会の様子

8か月にわたる支援プログラムは、支援アーティストにとって、活動の転換点になったのではないかという。

「8か月のメンターとのメンタリング、また、中間報告会での選考委員とのやりとりを通して、アーティストは、選考時にプレゼンテーションしていた、自身の制作活動における課題や、プログラムを受けるなかで見つけた課題に取り組んでいました。

分野や制作の背景、経歴も違う各アーティストたちが、それぞれに変化と成長をしていました。いままで築いてきた作品や作風、実績があるにも関わらず、他の方の意見や、ものの見方を取り入れ、柔軟に変化しようという姿は勇敢にも感じました。それは、本プログラムの支援内容に、アートのスペシャリストを幅広く選考委員・メンターとしてお招きしていること、支援金の用途を限定しないことなど、柔軟性があってのことかと思います」(アーツカウンシル東京担当者)

TODA BUILDINGで成果を発表

そして、11月9日(土)から12日(火)にTODA BUILDINGで開催される『TAAP Live 2024』では、10人のアーティストが一堂に集い、10分間のプレゼンテーションと現在進行中の作品制作、リサーチについて展示を行なう。

会場では選考委員やメンターからのアドバイスの様子も公開されるという。

プレゼンテーションは9日(土)と10日(日)に実施される予定で、入場は無料、予約は不要という。さらに、アーティストのプレゼンテーションの内容とともにそのコンセプトや活動等を展示するワーク・イン・プログレスも行なわれる。

プレゼンテーションの日程

2024年11月9日(土)、11月10日(日) 13:00~16:30

※詳しいタイムテーブルは公式サイトで確認できる。
※プレゼンテーションは日本語で実施。

ワーク・イン・プログレスの日程

2024年11月 9日(土)、11月10日(日) 11:00~19:00  最終入場:18:30
2024年11月12日(火) 11:00~15:00  最終入場:14:30

※11月11日(月)は招待者のみ。

8か月のメンタリングを経て、若手アーティストは来場者に向けてどんなことを語りかけるのか、ぜひ直接目撃してほしい。

第2期アーティストの公募を開始。締め切りは11月27日

また、TAAPでは、10月中旬から第2期の支援アーティストを公募している。

日本在住で東京のアート市場での活躍を希望していること、2025年に実施する交流会やメンタリング、成果発表に参加可能であること、都内で作品を公開(個展等)する活動を初めて実施してから3年以上10年未満、または活動実績が5回以上10回以内であることなどが条件となっている。

応募の締め切りは2024年11月27日(水)17:00までで、選考委員は以下のとおり。

上田 杏菜(公益財団法人石橋財団 アーティゾン美術館 学芸員)
鷹野 隆大(写真家/東京造形大学 教授)
田口 美和(タグチアートコレクション 共同代表/サンパウロ・ビエンナーレ インターナショナル アドバイザリーボード メンバー)
細井 眞子(TARO NASUギャラリー ディレクター)
山口 栄一(一般社団法人アートパワーズジャパン 代表理事/公益社団法人経済同友会 スポーツとアートによる社会の再生委員会 委員長)

申し込み方法など、詳しい情報はTAAPの公式サイトに掲載されている。

INFORMATION

『TAAP Live 2024』実施概要

日時:2024年11月9日(土)~12日(火)※11月11日(月)は招待者のみ
場所:TODA HALL & CONFERENCE TOKYO HALL A
   〒104-0031 東京都中央区京橋一丁目7番1号 TODA BUILDING 4階

◼登壇者:『Tokyo Artist Accelerator Program(TAAP)』第1期支援アーティスト
あおいうに、天草ミオ、伊阪柊、臼井仁美、佐藤浩一、高野徹、寺田健人、MOYAN、山内祥太、李和晋(予定)

「Tokyo Artist Accelerator Program(TAAP)」第2期支援アーティスト募集

応募受付期間:2024年10月16日(水)10:00~2024年11月27日(水)17:00


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