Bean(カカオ豆)の選別から、Bar(板チョコ)になるまでの全ての工程を、一貫して行うチョコレートの製法・Bean to Bar。たとえ同じ品種のカカオ豆を使っていても、店ごとの製法や収穫の時期によって香りが全く変わります。今回、東京を拠点に独自のスタイルでBean to Barカルチャーを発信する5店を紹介。知れば知るほどのめり込んでしまうBean to Barの世界をお楽しみください。
※本記事は『HereNow』にて過去に掲載された記事です。
【世田谷・深沢】xocol STONE GROUND XOCOLATE
世田谷区深沢の深沢坂上というバス停付近にある、閑静なエリアにひっそりと佇むチョコレートショップが『xocol(ショコル)STONE GROUND XOCOLATE』。店内は2~3人も入ればぎゅうぎゅうになってしまうほどのコンパクトなお店ですが、隣接している工房から漂うカカオ豆の芳ばしい香りを味わいながら、店主の君島香奈子さんによって手作りでつくられたチョコレートやお菓子を味わうことができます。
『xocol』の看板商品は、時間をかけて挽いたカカオ豆に砂糖を加えたただけのシンプルなコイン型チョコレート「美しい鳥 QUETZAL(ケツァール)」。産地別に6種類用意されており、詰め合わせのBOX(写真は52枚入り2,350円)が人気となっています。
通常のチョコレートだけではなく、厳選されたカカオの味がダイレクトに楽しめるドリンクも展開していて、中でも君島さんのオススメは、「ショコラトル&ギモーヴ」(400円)。濃厚なチョコレートドリンクにラズベリーの酸味とギモーヴ(マシュマロ)のまろみが合わさった絶品のドリンクです。
君島さんがBean to Barチョコレートを作ろうと思ったのは、カカオの産地、フィリピンを旅行したときに、現地でこの濃厚なチョコレートドリンクを飲んだのがきっかけだそう。他にもナッツやドライフツーツなどを入れ込んだチョコレートをサラミ型にした「SALAME BOUQUET(サラミブーケ)」など、ユニークで美味しいチョコレートやお菓子に出会える、温かみを感じるお店です。
【蔵前】Dandelion Chocolate Factory & Cafe Kuramae
蔵前駅からすぐ、国際通りを1本入った公園の目の前にあるガラス張りの大きなお店『Dandelion Chocolate Factory & Cafe Kuramae』は、サンフランシスコ発祥のBean to Barチョコレートメーカー『Dandelion Chocolate(ダンデライオン・チョコレート)』の海外初出店のお店。
店舗にはファクトリーにカフェが併設されており、ハウスメイドのお菓子を食べたりチョコレートを選びながら、チョコレートがカカオ豆から板チョコになるまでの工程を開放的な空間で眺めることができます。
ファクトリーの見学ツアーや、2階にあるワークショップスペースを利用した様々なクラスも開催。取材当日もファクトリー内を見学させていただきましたが、様々なバックグラウンドを持ち、ダンデライオン・チョコレートの魅力に惹かれて集結したスタッフが、それぞれプロフェッショナルにチョコレートをつくりあげていました。なお11月18日(金)には、この日本人チームのみでクリエイションを行った初のオリジナルチョコレートバーが販売されました。
チョコレートの他にも、広報の芹沢茉澄さんのオススメするが「パプアニューギニア・スモア」(450円)。アメリカではおなじみのマシュマロを焼いたお菓子なのですが、注文後にトーストしてくれて、チョコレートガナッシュとのマッチングがたまらない逸品です。またほうじ茶を使った蔵前オリジナル「クラマエホットチョコレート」(630円)は、チョコレートとほうじ茶の相性は驚くほど良く、すっきりとした味わいが日本人好みの一杯となっています。
【世田谷・三宿】CRAFT CHOCOLATE WORKS
三軒茶屋駅もしくは池尻大橋駅から徒歩約10分。世田谷公園付近の三宿通り沿いに所在する『CRAFT CHOCOLATE WORKS』は、元バリスタで、パテシエの竹内誠太さんが運営するチョコレートショップ。ガラス張りの窓からは、木目調のテーブルに和テイストのモチーフを中心としたカラフルなパッケージのチョコレートが並べられているのが目に入り、前を通ると思わず立ち止まって中を覗いてしまいます。
チョコレートは味や香りの解説のメモを見ながら、ひとつひとつ試食ができて、スタッフの方からも直接アドバイスをもらえます。毎日お店でもプライベートでもチョコレートを食べるという竹内さんは、「例えば雨の日なら“ブラジル”のような重厚感のあるもの、暑い日なら“ニカラグア(チュノ)”のようにフレッシュなもの」と気候や気分によってチョコレートを食べ分けるとのこと。
『CRAFT CHOCOLATE WORKS』でのもうひとつのお楽しみは、ジャージーソフトクリーム(カカオ/700円・税込み)。オープン時から出そうと決めていたというソフトクリームは、香川県の大山牧場から直接仕入れている無添加の原料を使用。カカオニブがトッピングされたカカオ風味のソフトが口いっぱいに広がり、冬でも恋しくなる美味しさです。
【中目黒】green bean to bar CHOCOLATE
中目黒駅から池尻大橋方面へ目黒川沿いに少し歩き、人の流れがゆったりしたあたりに、鮮やかなブルーの外観が目を引くお店が『green bean to bar CHOCOLATE』。併設された奥のファクトリーで作られる、Bean to Barチョコレートや一口サイズのボンボンショコラ、ケーキや焼き菓子などを展開するチョコレートショップです。
Bean to Barチョコレートショップでは珍しい、ボンボンショコラは種類豊富に展開。「ボンボンショコラ テイスティング」(1000円)は、原料のカカオニブスからガナッシュ2種、プラリネ1種、ドライフルーツ&ナッツが乗ったものまでと、ボンボンショコラワールドを存分に楽しむことができます。また小腹が空いたときは「ビーントゥバースコーン」(260円)を。カカオの豊かな風味で、半分も食べればお腹いっぱいなるコストパフォーマンスの高い逸品です。
他ではちょっと珍しい「ハウスブレンドカカオティー」(280円)は、カカオ豆の殻の部分で淹れたティー。カカオの香りがするのにすっきりとした飲み口で、濃厚なチョコレートや焼き菓子と合わせるのにピッタリ。
「チョコレートドリンクが飲みたい!」という方には、心も体も温まる3種類のチョコレートドリンク(各540円)を。5種類のスパイスが配合されたお湯割りの「spicy」は、刺激的な味わいで、シャキッとしたいときにオススメです。
【渋谷・富ヶ谷】Minimal 富ヶ谷本店
渋谷区・富ヶ谷の交差点付近、山手通り沿いの広々とした歩道に面した『Minimal 富ヶ谷本店』は、日本のBean to Barチョコレートの先駆者的なお店。シンプルにパッケージングされた板チョコは、ナッツのような甘いコクのある「NUTTY」、果実のような爽やかな味わいの「FRUITY」、ハーブやスパイスの香りが個性的な「SAVORY」の大きく3つのラインに別れ、さらに各ラインを4つの特徴で分類した展開をしているので、自分の好みやその日の気分にピッタリの一枚が見つかるでしょう。
取材日には「SAVORY– HERBAL」(1080円)をセレクト。原料はカカオ豆と砂糖だけにも関わらず、ハーブのような香りが噛むごとに口の中に漂い、甘さにより温まるいつものチョコレートとは別格のリラックス感が。そして店長の全 博聖さんのオススメは「Minimal Flight 2016 – カカオ産地世界一周の旅-」(5940円)。その名の通り、世界のカカオ豆産地ごとのチョコレートが味わえる、Bean to Barファンにはたまらないセットです。各産地のカカオ豆のフレーバーをイメージして描かれたパッケージのデザインもおしゃれでギフト向きとなっています。
また、カカオ豆のフレーバーの変化を楽しみたい方には、「Coffee with Chocolate」 (種類は時期によって変動/400円)を。この日は「NUTTY-CHOCOLATY」とコスタリカ産のコーヒーをいただきましたが、アーモンドのような香ばしいチョコレートが、酸味のあるコーヒーとマッチしていて、オレンジピールが挟まったビスケットを彷彿とせる味わいに導かれました。
- フィードバック 12
-
新たな発見や感動を得ることはできましたか?
-