Bjorkが映画界でのセクハラ被害を告白「監督やスタッフが容認・助長している」
映画プロデューサーのハーヴェイ・ワインスタインによるセクシャルハラスメントをハリウッドの女優が次々に告発する中、Bjorkが自身が過去に映画界で受けた被害についてFacebookページで告白した。
BjorkはFacebookの投稿の中で「ネット上で声を挙げる多くの女性たちにインスピレーションを受け、私とデンマーク人の映画監督についての経験を話します」と前置きしたうえで次のように述べている。
「私が女優の仕事を始めた時、自分の『性的な嫌がらせを受ける取るに足らない存在』としての屈辱と役割、そして監督や多くのスタッフたちがそれを容認し、助長していることがはっきりとわかりました。監督が起用した女優を好き勝手に触り、嫌がらせすることは当たり前のことで、映画界はそれを容認していることに気がついたのです」。
さらに「私が何度も拒むと彼は不機嫌になって私を罰し、私が堅物であるかのような雰囲気を彼のチーム内に作り出した」とも告白。またBjorkは自分自身の強さや仲間たちの存在、演技の世界に野心がなかったことから数年でこの出来事を乗り越えられたとしながら、この映画監督と仕事をしたほかの女優たちのことを心配し、最後には「この声明が世界中の女優と俳優のサポートになることを祈ります。こんなことはもうやめよう。変化の波はきています」と結んでいる。
Bjorkは2000年にデンマーク出身のラース・フォン・トリアー監督の映画『ダンサー・イン・ザ・ダーク』に主演している。
Bjorkは過去にも音楽業界にはびこる性差別を非難
Bjorkは昨年にも音楽業界における女性差別についての声明をFacebookで発表。
自身のDJプレイについて、「パフォーマンス」しているわけでもデスクの後ろに「隠れている」わけでもないことをいくつかのメディアが理解していないこと、男性に対してはそんな反応は示さないことを指摘し、セクシズムだと非難した。
さらに「音楽業界において、女性は彼氏について歌うシンガーソングライターになることは認められているけど、歌のテーマを原子や宇宙、アクディビズム、マニアックで数学的なビートエディットみたいな、愛する人について歌う以外のことをしたら批判される」と綴り、「2017年を変化の年にしよう!全てのガールズに多様性の権利を!」と呼びかけていた。
発端はハリウッド大物プロデューサーに対する相次ぐセクハラ被害告発
一方、Bjorkを触発したと思われるハーヴェイ・ワインスタインのセクハラ事件は、ハリウッドで多くの女優・俳優・ジャーナリストらを巻き込む大騒動に発展している。
弟のボブ・ワインスタインと共に設立したミラマックス社で、『パルプ・フィクション』『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』『恋におちたシェイクスピア』など数々の作品を送り出してきたハーヴェイ・ワインスタインは、この事件が明るみに出たのちに、自身の会社ザ・ワインスタイン・カンパニーを解雇された。さらには『アカデミー賞』を主催する映画芸術科学アカデミーは、ワインスタインを除名すると発表。この決定を下したアカデミーの役員にはトム・ハンクスやウーピー・ゴールドバーグら参加している。
これまでにワインスタインからのセクハラを告白した女優にはグウィネス・パルトロウ、アンジェリーナ・ジョリー、ローズ・マッゴーワン、レア・セドゥ、カーラ・デルヴィーニュらが名を連ね、レア・セドゥは英ガーディアン、カーラ・デルヴィーニュは自身のInstagramでそれぞれワインスタインに迫られた自身の経験を長文で生々しく綴った。
さらにワインスタインや彼のセクハラを容認していた関係者を糾弾するツイートをしていたローズ・マッゴーワンのTwitterが一時期凍結されたことを受け、10月13日には「#WomenBoycottTwitter」のハッシュタグで、24時間の間Twitterをボイコットしようという動きが世界中の女性たちに広まった。Twitter社はマッゴーワンのアカウント凍結は、彼女のツイートに個人の電話番号が含まれていたためと説明しており、その後、求めていない性的な誘惑や同意なしのヌード、ヘイトシンボル、暴力的なグループ、暴力を美化したツイートに対する新たな規定を設けると発表した。
ハリウッドの男性陣も声を挙げる――ウディ・アレンは擁護?タランティーノは「しばらく時間がほしい」
また男性こそが立ち上がるべきだという声も多くの男性俳優たちから挙がっている。ワインスタイン・カンパニーが手掛けた『ブルーバレンタイン』に出演しているライアン・ゴズリングは、「ハーヴェイ・ワインスタインと僕も仕事をしてきたが、このセクシャルハラスメントという酷い出来事を見過ごしていた自分に失望している」「本当の責任が果たされ、変化が起きる時まで男性は女性と立ち上がり、共にあるべきだ」とTwitterに投稿した。
一方で自身も幼児性愛の疑惑があるウディ・アレンはBBCの取材に対して「巻き込まれた女性たちには悲劇的なこと」としながら「彼の人生がめちゃくちゃになってかわいそう。この件に勝者はいない」などと発言(彼の息子ローナン・ファローは、アレンの幼児性愛疑惑を告発し、現在もワインスタイン告発の記事を書いている)。
またアンバー・タンブリンがSNSで公開したクエンティン・タランティーノのメッセージには「25年間の友人だったワインスタインについて明らかになったことに、ショックを受け、心を痛めている。僕の痛みや感情、怒り、思い出を整理するのにあと数日間必要だ。そうしたらこのことについて公に話す」と記されている。
Bjorkやアンジェリーナ・ジョリーなど、自立して強いイメージのある女性も権力を持った男性を前に性的な嫌がらせを受けていたことはショッキングな事実だ。自分の身に起きたこのような出来事を公にするのは、想像もつかない勇気を要するだろう。だからこそ1人の告発が伝播し、他の女性たちを動かしたのかもしれない。だがこれだけ多くの女性が被害に遭い、それが長らく黙殺されてきたことを考えると、ワインスタインの一件も氷山の一角に過ぎないのではと思わされる(事実ワインスタインの事件を発端に、ベン・アフレックによる過去のセクハラ行為が発覚)。誰か1人をスケープゴートにして罰し、ことを鎮静化させるのではなく、この一件がエンタメ業界全体が性差別の問題に真摯に取り組む契機となってほしい。男性中心の業界でかき消されてきた声なき声に、今こそ光が当たることを願う。
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