ハグやキスをすることで有名だったジョン・ラセター
トイ・ストーリー』『カーズ』 などの作品を監督し、『アナと雪の女王』 をはじめとする数々のアニメーション作品で製作総指揮を務めたジョン・ラセターが、セクハラの発覚によって6か月間休職することがわかった。
ジョン・ラセター By Eric Charbonneau (From the photographer, Eric Charbonneau) [CC BY-SA 3.0 (https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0)], via Wikimedia Commons
ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオおよびピクサー・アニメーション・スタジオのチーフクリエイティブオフィサー(COO)であるジョン・ラセター。アメリカの映画メディア『ハリウッド・レポーター』によると、ラセターは従業員や業界の人々を「ハグ」することで有名で、さらには身体を掴んだり、キスしたり、人の身体について何か言ったりすることで知られていたという。
報道を受けてラセターは従業員に向けて声明を発表。自らの行為を「過ち」だと認め、「皆さんを失望させたことを深くお詫びします。特に望まないハグや、いかなる形であれ一線を超えた行為を受けた人々に謝罪したい」と綴った。
ディズニーはラセターの声明を「率直で誠意がこもった謝罪」だとし、彼の休職を支持するとコメントしている。
ラセターの行為を告発する証言が次々と
ディズニーやピクサーの関係者などがラセターの評判を語った『ハリウッド・レポーター』の記事には、数々の生々しい証言が掲載されている。
「ピクサーの女性たちは、ラセターに会ったらキスを避けるために、素早く顔を動かすようになっていた」「ラセターが足に手を乗っけてこないように『the Lasseter』と呼ばれる動きを使っている人もいた」「2人の女性の間に立ったラセターの写真が不自然にトリミングされていたので、同僚に聞いたら『そうせざるを得なかったんだ。どこに彼の手があったと思う?』という返事が返ってきた」。ラセターの行為は1度の過ちなどではなく、常態化していたことがうかがえる。
『トイ・ストーリー4』脚本家が降板「女性や非白人に平等な機会を与えていない」
2019年公開予定の『トイ・ストーリー4』の脚本家に起用されていた女優のラシダ・ジョーンズとウィル・マコーマック(映画『セレステ∞ジェシー』の脚本家コンビ)は降板を発表。
当初はラセターのセクハラ問題が原因とされていたが、ラシダ・ジョーンズはこれを否定し、降板の理由は「クリエイティブな面での、そしてより重要な部分ですが価値観の違い」と『ニューヨーク・タイムズ』に寄せた声明で明かしている。
さらにジョーンズはピクサーが女性や非白人に平等な活躍の機会を与えていないことを指摘し、ピクサーにより多様性に富んだ、そしてより多くの女性の作家やリーダーを支え、雇用を促進することを求めた。
『アナ雪』続編や『Mr.インクレディブル』続編など公開予定作はどうなる?
ジョン・ラセターは『トイ・ストーリー』『トイ・ストーリー2』『カーズ』『バグズ・ライフ』で監督を務め、『モンスターズ・インク』『ファインディング・ニモ』『Mr.インクレディブル』『アナと雪の女王』『ベイマックス』『ズートピア』『モアナと伝説の海』などの作品に製作総指揮として関わってきた。
さらに本日11月22日から全米公開される『COCO』(日本では『リメンバー・ミー』の邦題で3月公開)や、来年本国で公開の『Mr.インクレディブル』の続編、2019年公開予定の『アナと雪の女王』の続編、『トイ・ストーリー4』といった作品が控えている。
ハリウッドのプロデューサーであるハーヴェイ・ワインスタインへのセクハラ告発に端を発し、相次ぐ映画人による性的嫌がらせ行為の発覚。「作品と作り手は別物」という議論もしばしばなされるが、子どもに夢を与える数々の作品を送り出してきたクリエイターの行為はそう簡単に看過できるものではないはずだ。
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