GRAPEVINEとコラボレーションするダンサー、康本雅子
CINRA.NETが主催する音楽イベント『CROSSING CARNIVAL'18』の開催が4月22日(日)に迫るなか、第5弾出演者が発表された。そのうちの1人、ダンサーの康本雅子はGRAPEVINEのステージにゲスト出演することが決まっている。
GRAPEVINEについてはCINRA.NETの音楽記事読者ならばおなじみかと思うが(参考記事:GRAPEVINEが語るデビューからの20年。ヒット、転機、そして今)、「康本雅子って誰?」という人は意外と多い気がする。ということで、同イベントを120%楽しんでいただけるよう、ここではできるだけコンパクトに康本について紹介していこう。
東京で一大コンテンポラリーダンスブームが巻き起こった時代の「寵児」
彼女が最初に脚光を集めたのは、2000年代初頭。音楽家・批評家の桜井圭介が主催するイベント『吾妻橋ダンスクロッシング』などを軸にして、東京で一大コンテンポラリーダンスブームが巻き起こった時代の「寵児」として康本は登場した。康本のアスリートのように長い手足は、ダンサーとしての資質を担保する有効な武器だが、それ以上に驚異的だったのは独特なリズム感だった。
美術大学を中退しアジア、オーストラリアを放浪していた康本は、その道程でアフリカンダンスに出会い、なかば衝動的にアフリカへ飛んだ。そこで習得した獣のようにしなやかで緩急のあるグルーヴは、つんのめりつつも絶妙に拍を刻み続けるレゲエ、ファンク、アフロビートを想起させた。もともとダンスと音楽は切り離せないものだが、康本は、限りなく音楽に近いダンスを具現化できる人として観衆の前に現れたのだった。
ミスチル、一青窈、かせきさいだぁらのMVで振り付けも手がけてきた
2004年頃からは、Mr.Children『箒星』(2005年)、一青窈『指切り』(2006年)、かせきさいだぁ『CIDERが止まらない』(2011年)など、MVの振り付けを多数手がけ、隆盛期を迎えつつある現在の音楽×コンテンポラリーダンスの潮流の礎を築いた。
出産と子育てでしばらくはスローペースな活動が続いたが、ここ数年で本格的に再始動。オオルタイチやASA-CHAN&巡礼との共演作、子どもとの生活を題材にした新作長編『子ら子ら』(2017年)も発表している。
最初に書いたように、今回はGRAPEVINEとのコラボになるわけだが、個人的に「これは相性かなりよいのでは!?」と期待している。ブルース色の強い彼らの楽曲には、どこか土俗的で演歌のような節回しと猥雑さがある。
これは康本にも通じるポイントで、ほとんど形態模写に近いような具体的で明快なイメージ(動物や手遊びなど)を突然挟んだと思うと、また液体のように柔軟で抽象度の高いムーブメントへと戻っていったりする。その気持ちのよい「あべこべさ」は、都会的なコンテンポラリーの洗練よりも、太古に棲息した野獣の粗暴さを感じさせるからだ。ライブ当日は、どんなステージになるのか。これはもう期待するしかないのでは!
- イベント情報
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- 『CROSSING CARNIVAL'18』
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2018年4月22日(日)
会場:東京都 渋谷 TSUTAYA O-EAST、TSUTAYA O-WEST、TSUTAYA O-nest、duo MUSIC EXCHANGE
出演:
KOHH
Chara×韻シストBAND
GRAPEVINE(ゲスト:康本雅子)
大森靖子(Crossing:world's end girlfriend)
藤井隆
おとぎ話(新作の完全再現ライブ)
前野健太
Awesome City Club feat. Jiro Endo
world's end girlfriend × Have a Nice Day!
THE NOVEMBERS(ゲスト:志磨遼平(ドレスコーズ))
GAGLE(ゲスト:鎮座DOPENESS、KGE THE SHADOWMEN)
DADARAY
WONK
Tempalay
King Gnu
LILI LIMIT(Crossing:牧野正幸)
Emerald(ゲスト:環ROY)
料金:前売6,000円 当日6,500円(共にドリンク別)
- プロフィール
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- 康本雅子 (やすもと まさこ)
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1999年よりダンサー活動を始め、01年より自身の振付作品を創り始める。これまでに自作品を国内12都市とイタリア、韓国、マレーシア、タイ、インドネシア、バルセロナ、NYにて公演。ダンス公演のみならず、演劇、音楽、映像、ファッション界等、多岐に渡るジャンルにおいて活動する。12年から福岡へ、15年からは京都へ移住。地元の企業や小学校へのWSなど、地域に根差した活動も行う。
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