現在休館中のブリヂストン美術館が館名を「アーティゾン美術館」に変更する。あわせて新美術館のコンセプトや概要が発表された。
新美術館建設のため、2015年5月から長期休館しているブリヂストン美術館。株式会社ブリヂストンの創業者である石橋正二郎が1952年に東京・京橋のブリヂストンビル内に開設した。印象派や20世紀絵画を中心とする西洋の近現代美術、明治以降の日本洋画を収蔵しており、石橋正二郎が石橋財団に寄贈した美術品がコレクションの核をなしている。
「ART」+「HORIZON」の造語。新たな方向を目指す決意表明
60年以上の伝統を持つブリヂストン美術館は、2019年7月から「アーティゾン美術館(ARTIZON MUSUEM)」に改名し、2020年1月に開館する。
アーティゾン(ARTIZON)は「ART」と「HORIZON(地平)」を組み合わせた造語で、同美術館が新たな方向へ踏む出す決意の表れであり、運営する公益財団法人石橋財団の基本理念である「世の人々の楽しみと幸福の為に」を実践するべく、新たな美術館を目指していくという。
新美術館の館名については下記のようなステートメントが発表されている。
目の前に、過去から現在までの様々なアート作品が広がっている。 視線が及ぶ果てでは、新しい作品が現在進行形で創造されつつある。 そのさらに向こうからは、まだ見ぬ作品が姿を現そうとしている。 1952年の開館当時、ブリヂストン美術館は石橋コレクションを公開するとともに、同時代の欧米の作品を広く紹介する役割も担っていた。 新しい美術館も、過去から現在までアートの世界を見渡すことができ、アートの夢や未来を予感させ、創造性の胎動が感じられる場を目指したい。
新たな館名は「多様性」「先取性」「開放性」「国際性」の4つの基準から命名された。「先取性」には「『印象派』中心のイメージから脱却し、新しい時代の夜明けを感じさせる」とのねらいが込められている。「アーティゾン美術館」の名は2019年7月1日から使用される。
新美術館のコンセプトは「創造の体感」。展示室は約2倍に
新たな館名を携えて2020年1月に開館するアーティゾン美術館は「創造の体感 」をコンセプトに据える。
これまでに培ってきた伝統を引き継ぎながら、古美術、日本近代洋画、印象派、20世紀美術、現代美術まで視野を広げ、美術品の鑑賞だけでなく、「創造を体感し、創造を支える場」の提供を目指す。
新美術館は2019年に竣工予定の23階建ての高層ビル「ミュージアムタワー京橋」の低層部(1階~6階)に入居する。展示室は4階から6階の3フロアにおよび、その面積は旧美術館の約2倍だ。
館内には最新の照明設備や空調設備、古美術室を設置。さらに現代美術の展示に対応できるよう、天井高は約4.2メートル、1フロアの展示面積は約700平方メートルとなる。1階にはミュージアムカフェ、2階にはミュージアムショップ、3階にはレクチャールームも備える。
開館記念展は、展示作品の1割以上が新収蔵作品
開館記念展では新美術館の展示室3フロアを全て使用し、約2800点の石橋財団コレクションの中から選び抜かれた名品約200点が展示される。本展では、展示作品の約1割以上を新収蔵作品が占める予定だ。
さらに2020年4月からは、2019年に開幕する『第58回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展』の帰国展を開催する。『第58回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展』の日本館展示は服部浩之がキュレーターを務める『Cosmo-Eggs | 宇宙の卵』展が行なわれる予定で、参加作家には下道基行、安野太郎、石倉敏明、能作文徳らが名を連ねている。
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