草間彌生の作品と称して、贋作を展示する展覧会が中国各地で開催
草間彌生の贋作を展示している展覧会について、一般財団法人草間彌生記念芸術財団が草間彌生と草間彌生美術館館長・建畠晢のコメントを発表した。
同財団は9月以降、中国・上海および湖南省長沙で『草间弥生×村上隆双联展』などと称して、草間彌生の贋作の展示する展覧会が開催されていた事実が判明したことを10月27日に発表していた。これらの展覧会は草間彌生および同財団の許可なく無断で行なわれ、草間彌生の作品と称して贋作を展示していたという。
これらの展覧会は主催者に中止を申し入れたことからすでに中止されているが、これ以前にも中国各地で同様の展覧会が無断で開催されていた模様で、さらに現在調査中のものもあるという。
財団は「このような行為は、芸術家の創造行為に対する重大な冒涜であり権利を侵害する行為であって、断じて許されるものではありません。弊財団はこれに強く抗議するものです」と抗議の声明を発表していた。
草間彌生「本当に残念でなりません」「私の芸術の真の姿を直接に皆さんの目で見てください」
草間彌生は中国での贋作展について「私の人生をかけた創造をかすめとり、誤った形で皆さんの目に触れている状況は、本当に残念でなりません」とし、このような展覧会の中止を呼びかけている。また「私の芸術の真の姿を直接に皆さんの目で見てください。こうした問題を乗り越えて、皆で偉大なる世界をつくっていくことこそが、絶大なる私の希望であります」と綴っている。全文は以下。
草間彌生のコメント
私の作品の偽物が中国各地で展示され、多くの人々が私の作品の展覧会だと思って訪れていると聞き、大変驚いています。
私の人生をかけた創造をかすめとり、誤った形で皆さんの目に触れている状況は、本当に残念でなりません。
中国のみなさん、そして全世界のみなさん、このような偽物の展覧会はすぐに中止してください。
そして、私の芸術の真の姿を直接に皆さんの目で見てください。
こうした問題を乗り越えて、皆で偉大なる世界をつくっていくことこそが、絶大なる私の希望であります。それを心より願っております。
草間彌生
昨年10月に開館した草間彌生美術館の館長・建畠晢も同様に遺憾の意を表明している。
草間彌生美術館館長・建畠晢のコメント
草間彌生芸術は、昨今、世界各地で展示され、彼女の愛をもって世界を救済しようという創作活動は老若男女を問わず幅広い支持を集めています。
そうした国際的な注目をあびている前衛芸術家の贋作、および贋作を展示した展覧会は、アーティストの著作権の著しい侵害であり、芸術全般の発展の阻害となるものです。
中国の芸術文化のさらなる発展のためにも、皆さまには著作権保護にご理解を賜り、こうした不正に関わられることのないよう、ここにお願い申し上げます。
草間彌生美術館 館長
建畠晢
財団は「今後も厳正な措置を講じていく」
一般財団法人草間彌生記念芸術財団は草間の真作と、中国で展示された贋作の写真を公開しているほか、深セン、青島、武漢、天津、上海、長沙、広州の各地で2017年11月から2018年10月にかけて行なわれていた贋作を含むと思われる展覧会の一覧も明らかにした。
同財団は「草間彌生及びその作品に関する一切の権利(著作権、著作者人格権、肖像権、パブリシティ権等)は、全て草間彌生が保有しており、草間彌生及び弊財団の許可なく、これらの権利を利用することはできません。草間彌生及び弊財団は、今後も、贋作の展示はもとより無断で草間彌生によるものであるかのように騙る展覧会を発見した場合には、芸術家としての名誉、尊厳及び権利を守るため、関連する法令に照らし、厳正な措置を講じていく所存です」と今後も同様の展覧会に対して厳しく対処していく考えを示している。
贋作を真作と偽って展示することは、作家の創造に対する冒涜であるのと同時に、草間の作品を楽しみに訪れるアートファンへの冒涜でもある。草間が言うように作家が作り出した「芸術の真の姿」を人々が楽しめるよう、このような展覧会の企画者の責任が正しく追及されることを願いたい。
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