昨年は『Everybody!!』が35万枚以上の売り上げを記録し、そのリリースツアーは、ファイナルのメットライフドーム2days公演を含めて20万人を動員した。そうしてデビューからたったの5年弱で、名実ともに「みんなの歌」へと駆け上がったWANIMAだが、その状況とは裏腹に、今年3月にリリースされた4thシングル『Good Job!!』では<このままじゃ終われないから>(“アゲイン”)という切迫した言葉が歌われ、劇場版『ONE PIECE STAMPEDE』の主題歌となった“GONG”には、<生まれてきたこと恨んでいた時も あったけれど>という、KENTAの歌に滲んできた痛みの根源を感じさせる言葉が曝け出されていた。より一層巨大化していく状況と歌の輪の中にあって、さらに深く自身の人生に向き合い告白する歌を放ってきたのが2019年のWANIMAだった。
その歌に宿ってきた異様なほどの「痛み」と、痛みを知るからこそ人に寄り添おうとする「優しさ」。それらすべての原風景になっているであろう故郷・天草への凱旋ライブが行われたことをはじめ、彼らにとっての原点を再確認するように走ってきたWANIMA。10月23日にリリースされ、2作連続となる週間チャート1位を獲得した2ndアルバム『COMINATCHA!!』(カミナッチャ!!)までの軌跡を総ざらいすることで、改めてWANIMAの歌の本質を探った。
故郷・天草のライブを前に改めて見つめ直した「WANIMAの歌が宿す情景」
2019年7月6日。3月にリリースした4thシングル『Good Job!!』のリリースパーティーとして、KENTAとKO-SHINの生まれ故郷である熊本県・天草でライブが開催された。
この『“WANIMA 天草の乱~「﨑津集落」世界遺産登録1周年~”』が行われた本渡町広瀬で暮らしているのは約3210人とのことだが、なんとこの日のライブに訪れたのは、1万5000人。普段は草原と海だけが広がる大矢崎緑地公園に、天草中はもちろん、本州からもラスタカラーを身につけたリスナーが多く集った。しかも本公演のタイトル通り、天草の﨑津集落が世界遺産に登録されてからの1周年を記念したライブということもあって、ステージエリアの外には地元の有志によって運営される入場無料のお祭り広場までが開かれていた。WANIMAの歌が日本中の人にとっての拠り所になったことは言うまでもないが、その歌・存在は天草中の人にとっての誇りでもあるのだと感じさせる、「のどかなお祭り騒ぎ」が早い時間から繰り広げられていた。
交通の便から見て、天草は非常に出にくい場所だ。しかしそこに1万人もの観衆が集ったのは、WANIMAの歌の核心には強烈な「故郷への想い」があることを理解している人が多かったからだろう。
その「故郷への想い」とはなんなのか。たとえばWANIMAの名が知れ渡るきっかけになった“1106”。KENTAの育て親であった祖父が亡くなったことをきっかけに創られたこの歌が、天草の情景そのままの雄大なメロディを宿していたことが表していた通り、KENTAの大きな歌は、常に還るべき場所を想い、あるいは目指すようにして生まれてくることが多かった。
そこに綴られた<想うように歌えばいいと>というラインはKENTAが亡き祖父にかけられたという言葉だが、その言葉が彼の心の拠り所になってきたからこそ、WANIMAがunBORDEとのタッグ結成を飾った“CHARM”では「今度はWANIMAの歌があなたの還る場所になる」という覚悟が大きなメロディへと繋がり、“シグナル”の<好きにやって駄目なら戻って来い>という突き抜けたエールが生まれた。実際、以前彼らにインタビューした際、KENTAは「いつも天草を思って、忘れないように歌っている」と話してくれたことがある。WANIMAの歌に宿る郷愁と土着感の背景には、故郷――つまり自分を形成した日々を忘れないという想いがある。人を選ばぬ「みんなの歌」として受け入れられていくのもきっと、その歌に誰もが己の故郷を想起したり、自身の人生をそのまま重ねたりするからなのだと思う。
WANIMA『Everybody!!』を聴く(Apple Musicはこちら)
そして、WANIMAが「心の故郷」を歌い続けるのはなぜか。故郷を象徴にした「生きてきた道のり」の上に、未だ拭えぬ巨大な痛みと闇と傷が残り続けているからだ。その痛みに軋む心を癒したくて、「壊れてしまった何か」を元の形にしたくて、溢れてきた涙の数々も肯定したくて、その傷を花火のようなメロディで打ち上げて、供養するように彼らは歌う。逆に言えば、痛みの土砂降りに耐えてきた道のりこそが、ひたすら前へ走る強さと自負になってWANIMAの歌を支えているのだと思う。今や彼らを代表するアンセムになった“ともに”が<どれだけ過去が暗くて辛くても>から始まるように、最新曲である“夏のどこかへ”でも<悲しみ脱ぎ捨て 何度も / 誰よりも照らせ太陽>と切り出すように、WANIMAの笑顔と明るさの奥にあるのは、楽観でもでもなんでもなく、未だ得体の知れない傷だらけの過去をこれからの人生によって超え、赦そうとする心なのだ。
「WANIMAの歌が人を選ばない理由」が伝わった天草公演
では具体的に、天草でのライブから書いていく。この日は朝早くから観客が詰めかけ、「聖地巡礼」をする人が多かったという。ここで言う聖地とは“アゲイン”のMVに登場する「パチンコ大和」のことで、「パチンコ大和」と言えば、KENTAとKO-SHINが高校の学園祭をきっかけにバンドを結成したのち、潰れた店の内部を自ら改修してバンドの練習スタジオ代わりに使っていた場所だ。そんなWANIMAの始まりを象徴する「大和」を3人が再び改修して音を鳴らす様がそのまま“アゲイン”のMVには収められていたわけだが、つまり「原点を作り直す覚悟」をもって鳴らされてきたのが今年のWANIMAの楽曲たちだった。
彼らのデッカい笑顔を一見し、元気な3人組というイメージを持つ人は多いだろう。それに、2015年の“ともに”以降はテレビをはじめとしたマスのフィールドにも進撃を開始したこともあって、明るさと笑顔を入り口に彼らに触れたリスナーのほうが今は多いかもしれない。数百人規模のライブハウスでも2日で7万人を動員したドームでも、場所に関係なく生身のコミュニケーションで全国を沸かせるライブバンドのままお茶の間にも受け入れられる存在自体が彼らの世代で稀有なわけだが、現場もテレビも100%でかっさらって急激に駆け上がったことで、WANIMAのイメージと歌の核心のズレに対する3人の葛藤が大きくなったであろうことは、想像に難くない。
熊本の県花をタイトルにして、群れずに一輪で咲く花の姿を人生に重ねたシンプルなバラード“りんどう”が『Everybody!!』以降に生まれたことも象徴的だし、<懐かしくて もう一度 / 焼き付いて離れない><封じ込めた記憶に火を着けて>と歌う“アゲイン”も、そして満を持しての天草凱旋も、WANIMAが歌い続ける理由と本質を改めてストレートに伝えたいという想いから生まれたものなのだと思う。
彼らは、決して「大丈夫」と無根拠な優しさで人を救おうとしているのではない。毎日を必死に生きる人と同じように、心を痛めた過去に向き合ってその向こう側へ飛ぼうと、生き抜くための祈りを捧げ続けているのだ。WANIMAがパンクやレゲエ、ヒップホップの要素を取り入れた音楽を鳴らしているのも、それらが、その時代その場所の人が逼迫した環境を生き抜くために生み出した音楽であることを心で理解しているからなのだと思う。「エロかっこいい歌」の数々ももちろんそう。どんな欲望も生きるためのエネルギーにしなければいけなかった、そんな人生の塊なのである。
そんな意味と感慨を携えて見たのが天草でのライブだった。天草の立地上、初めてWANIMAをーーというか爆音でのライブ自体を見る人が多いであろうこの日だったが、それでも観客がとにかく歌う、歌う。『Are You Coming?』から『JUICE UP!!』のツアーにかけて子連れの観客が一気に増えたWANIMAだが、改めて、子供も大人も、おじいちゃんもおばあちゃんも選ばないメロディの力を実感する。バラバラな人がバラバラなまま、ただ自分の主題歌を歌うようにして歌いまくるだけ。たったそれだけだが、ここまで綴ってきたWANIMAの歌の本質――誰もが抱える痛みや葛藤を持ち寄って、それを天高く打ち上げて人生を赦していくための場所が、まさに目前に広がっていた。上記した“りんどう”、そして“1106”、KENTAが18歳で上京する際に創られた“THANX”など、ここ天草を起点にして自分の生きてきた道・生きていく意志を叩き込んだ歌とメロディが、海と草原に重なってより一層雄大に響き渡る。「歌の還る場所」を見たという意味でも、自分の人生の歌のようにしてWANIMAを歌う人々にとっての感慨に満ちた光景としても、感動的だった。
「正直、天草にはあんまりいい思い出がなくて。18年をここで過ごしたけど、逃げるようにして東京に出ました。だけど、これまで出会ってきた人や、今日来てくれている媒体の人や、PIZZA OF DEATHの人にも『天草いいところだね』って言ってもらえて。天草を離れて初めて、天草のいいところがわかりました。今日天草に来てくれた人達にもずっと歌い続けるし、これからもたくさんの人に歌を届けたい」(KENTA)
ライブ中に語られたKENTAの言葉は、あまりに正直なものだった。彼の歌に滲むたくさんの痛みを感じさせる「天草にはいい思い出がなくて」という言葉には、この凱旋に対しての複雑さも感じた。しかし今この天草で歌えたことに最も救われたのは彼ら自身だっただろう。目の前の人に向き合って精一杯歌い、精一杯鳴らし、精一杯近くまで行って、すべてを歌に込めるだけ。そんな「変わらぬWANIMA」が込められた18曲だったし、今も変わらず、自分達が生まれて生きてきた日々に誠実であるために歌い続けるのだと伝えるようなライブだった。痛みも傷も忘れないことで、一人ひとりが毎日を必死に生きていることを自分のことのように思える。だから、個々が寄り添って生きることを心から願えるのがWANIMAの歌なのである。
こうしてWANIMAが自身の原点に向き合い続けた1年だったからこそ、これらのライブに先んじて彼らが各ストリーミングサービスで全ディスコグラフィを解放したことも重要なファクターになってくる。ここでも各配信サービスのチャートを独占するなど彼らの勢いを改めて見せつけられる事となったのだが、ストリーミングサービス解禁の際にKENTAがコメントを出していた通り、手に取れるもの・想いを込めた作品として伝わっていくことを望んできたこれまでがあった上で(音楽は人の内側から湧き上がってくるものだと常々語ってくれている彼が、フィジカルな作品にこだわるのもよくわかる)、「より多くの人に聴いてもらいたい」という想いがこの選択に繋がったのは間違いないし、それは状況を拡大していくこと以上に、上記したようなWANIMAの歌の本質を感じてほしいという願いによるアクションだったのだと思う。深く深く自身の歌の原初に還り、人生を曝け出していく歌。だからこそ「イメージ」ではなく歌そのものとして伝わっていくことを望む。これらのアクションが、今年1年に懸ける想いを表すものだったのは間違いないだろう。
さらなるWANIMAの覚悟が響いた『Summer Trap!!』と、「ナガシマスパーランド」でのリリースパーティーでソリッドに変貌したライブ
情報としては書く順序が逆になってしまったが、『Good Job!!』のリリースパーティーは、北海道・札幌・幕張でもそれぞれ野外に特設ステージを組んで行われた。ということで7月15日の幕張公演も拝見したのだが、こちらはなんとS2O JAPANとのコラボレーションで行われ、『WANIMA X S2O JAPAN Good Job!! Release Party~カオス!! ギネス!? 日本初!!~ in 幕張海浜公園』と銘打って100万リットルの放水×超爆音によるライブとなった。
観るまでは想像もできなかったが、ただびしょ濡れになって騒ぐ・楽しむ・はしゃぐ以上に、日常ではありえない「びしょ濡れ」の中でこそ、誰もがタガを外し自分を解放して、心に溜め込んだしんどさや苦しみをドーンと打ち上げていく様が目にも心にもはっきりと映るライブになっていた。その光景がなにしろWANIMAだったし、アンコールラストに“花火”が置かれていたこともあって、終演後には本物の花火がぶっ放された。その“花火”こそまさに、自身の少年時代を想起して、黙って耐えた痛みを花火にして打ち上げようとする祈りが刻まれた歌だ。終演後の花火に重ねたこと以上に、こうして心の暗部もすべて曝け出して歌い、人と向き合い、寄り添って生きていくことで一瞬だとしても自分の生きてきた印を天高く打ち上げられるのだという証明が、狂騒の中に深い余韻として残るライブだった。
WANIMAの歌の原初と「笑顔の奥にある切実な祈り」を改めて感じた天草公演。これまでWANIMAのライブで生まれてきた一人ひとりの大合唱・心の解放がより巨大な形で表出した幕張公演。人を選ばぬ場所でありながら、生きてきたことを後悔しないために苦しみと痛みに向き合う歌を歌うのだと改めて腹を括った様が、ふたつのライブからは伝わってきた。
その上で、7月17日にリリースされた最新シングル『Summer Trap!!』である。“夏のどこかへ”のMVでは、夏祭りへ遊びに出かける少年3人と、同曲を鳴らすWANIMA3人が縁日の中で戯れる様子が描かれる。そして夏を全力で満喫する少年3人が、実はWANIMA3人の少年期を映したものだったーーという結末。言ってみればベタなストーリーを描いたものだが、「あの頃」の自分たちに向けて<この歌は君がこんな僕にくれた / 言葉や思いが全部 忘れずに / 間違わずに届きますように>と放たれる歌に、WANIMAの歌がどこへ向かうのか、WANIMAの歌がなにを背景にして生まれるのか……そのすべてがパンパンに詰まっているように感じれられる。
どうすることもできない現実と痛みに耐え続けた少年期こそが、今歌を歌っている理由なのだとストレートに綴った歌という印象を受けるが、KENTAが“夏の面影”や“花火”といった曲を通して描いてきたのは、なによりもあの頃の自分を救いたいという願いであり、どんなことにも耐えて生きてきた人生と今の自分を畦道の上で繋ごうとする気持ちなのではないか。そういう意味では、“夏のどこかへ”はメッセージソングでありながらも、彼らの全力の生き様の背景が改めて伝わってくる1曲だ。
そしてもう1曲。劇場版『ONE PIECE STAMPEDE』の主題歌となった“GONG”について。こちらは“夏のどこかへ”とは表情が異なり、ソリッドな8ビートが軸となってドシリとした歌が真顔のまま飛んでくるナンバーだ。『ONE PIECE STAMPEDE』の世界をそのまま想起させる歌詞の内容でありながらWANIMA3人の世代としても、『ONE PIECE』は青春期から今に至るまでともにあった作品のはずで、その共鳴によって、歌の中で自然と彼ら自身の人生が引きずり出されたのかもしれない。仲間を増やして生きていくこと、仲間が増えた今だからこそ改めて伝えたい想い。それが、この歌の核心なのだと思う。
仲間を増やし、どんなに苦しい過去も笑顔で打ち上げていけば、どんな痛みもどんな苦しみも受け入れて赦していけるんじゃないかーーその願いが一切歪曲せず伝わるように。それだけのために、笑顔の奥にある人生の扉をより一層大きく開いた歌。“アゲイン”、故郷の天草で見せたライブ。人生への悔恨すら曝け出した“GONG”。そして、母親代わりだった祖母を亡くしたことを受けて、改めて自分の人生そのものを歌った“Mom”。この1年の道のりを振り返ると、WANIMAは「みんなの歌」としてメッセージを届ける以上に、「WANIMA」を歌い続けてきたのだと気づく。
そして、そんな道のりが結実したとでも言えばいいのか、10月5日に見た『Summer Trap!!』リリースパーティーでのライブがとんでもなく素晴らしかった。三重と名古屋の県境に位置する「ナガシマスパーランド 芝生広場特設ステージ」を貸し切って開催されたライブだったのだが、少年期の自分と語り合うようにして歌を綴ってきたこれまでの道のりと、遊園地という「子供心の居場所」が重なるという意味でも感動的だったし、たった1日のリリースパーティーであることも全身全霊のライブに拍車をかけただろう。既存のアリーナやライブハウスではなく、その日限りの場所を作り出すというライブ自体も、「何もなかったからこそ夢も生きる力も自分で創っていくしかなかった」と何度も語ってきた彼らの歌に通ずるものだ。そして何より、そのエンターテインな演出やロケーション以上に、歌そのものを届けるという腹の括り方が強烈に伝わってくるライブだった。
とにかく演出や脚色を削いで、曲と歌だけで持っていく。特に前述した“Mom”を本編ラストに披露する際、それまでの表情を一変させたKENTAが「ずっと、(祖母を亡くした現実と)向き合うのが怖かった! でも、今日は婆ちゃんに届くように!」と天に向かって叫んだ場面は、WANIMAの歌がどこへ向かって放たれているものなのかを彼ら自身が今しっかりと掴んでいることの証明だっただろう。どんなに苦しい記憶があっても生きてきた道を忘れない。その記憶を歌に刻みつけていくことで、いつかそれを赦せる日がくる。そんな日を迎えるために、誰もが大声で歌えるメロディで痛みを打ち上げるーーまさにそんな「祈り」を捧げるような歌唱には、畏怖を覚えるほどの没入感があった。
その高ぶりのまま客席へと飛び込んだ彼の姿は、「みんなのWANIMA」を飛び越えて、清濁全部を併せ飲み、人生賭けて未来を願う彼らの歌の切実さをそのまま表していた。エンターテインな一面以上に、ライブバンドとしてという覚悟以上に、ただひたすら自分の人生を乗っけて歌うという意味での原点回帰がこのライブの端々には鳴っていた。そこが何より素晴らしかったし、ここまで拡大した状況にあっても一切変わらない彼らの核そのものを改めて感じる一夜だった。アンコールでは、開演前に遊園地内で行われていた「大声選手権」(「開催します!」の音量を競うもの)でワースト3位にランクインした3人をステージまで上げ、楽曲リクエストを聞くという一幕もあった。たびたび開催されてきたリクエストコーナーだが、観客をステージに上げてともに歌うのはこれまでになかったことだ。それだけ、WANIMA自身が歌と人の距離を近くに感じられていることの表れがあのシーンだったのだと思う。
原点への回帰と、状況が拡大するからこそより深く自身の闇も痛みも曝け出してきた歌。そして、目の前のあなたへのメッセージであると同時に、自身の少年期を救うための歌として響き渡った楽曲の数々――いわば、これまで以上にWANIMAというバンドの役割と本質に向き合わざるを得なかったのがこのタームであり、10月23日にリリースされるた2ndアルバム『COMINATCHA!!』なのだろう。
ここまで書いて改めて思う。WANIMAはどれだけ自分たちの歌が広がろうとも、一切の安住や安定を感じず、満たされてこなかったバンドだ。それはなぜか。多くの人と歌うこと、誰もに認められることで存在証明を果たすこと……それらを歌の目的にしてこなかったバンドだからだ。きっと、そこまで駆け上がることで癒されるものがあるはずだと願い続けた時期もあっただろう。しかし今の彼らの歌は、何よりも自分の人生そのものに向かっている。そのことを実感する作品たちと、ライブの数々だった。
笑顔の裏に隠した心の軋み、そこでぶっ壊れた何かを元通りにする日まで戦いは続く。その日々と、自身が歌い続ける理由に対する一旦の答えが『COMINATCHA!!』だ。より一層切実に歌の中で告白されるようになった人生の痕と、それらをさらに高く打ち上げていく太陽のメロディ。今を必死気に生きる人すべてにとっての「人生のサウンドトラック」になるよう作り上げられた同作を、今はじっくりと噛み締めたい。
なお、同作のツアーを前に、CINRA.NETではWANIMAのインタビューも公開する。深く深くWANIMAの深奥を覗いた語録を楽しみにしていてほしい。
- リリース情報
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- WANIMA
『COMINATCHA!!』初回限定版(CD+DVD+フォトブック) -
2019年10月23日(水)発売
価格:4,400円(税込)
WPZL-31671/2[CD]
1. JOY
2. 夏のどこかへ
3. Like a Fire
4. BOUNCE
5. GONG
6. 宝物
7. シャララ
8. BROTHER
9. Drive
10. Baby Sniper
11. 渚の泡沫
12. ここに
13. りんどう
14. アゲイン
15. GET DOWN[DVD]
『1 CHANCE DISC』
「Good Job!! Release Party」の面影@県立幕張海浜公園S2O JAPAN特設会場
1. オドルヨル
2. ANSWER
3. リベンジ
4. エル
5. ともに
6. 花火
- WANIMA
- プロフィール
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- WANIMA (わにま)
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KENTA(Vo,Ba)、KO-SHIN(Gt,Cho)、FUJI(Dr,Cho)による、熊本県出身の3ピースロックバンド。2010年結成。2014年10月、PIZZA OF DEATH RECORDSから『Can Not Behaved!!』でデビュー。2017年5月よりunBORDEとタッグを組み、2018年1月にリリースしたメジャー1stフルアルバム『Everybody!!』は35万枚を超えるセールスを記録。同作のツアーファイナルでは、メットライフドーム2daysで7万人を動員した。2019年3月6日にシングル『Good Job!!』をリリース、さらに7月17日には『Summer Trap!!』を発表し、10月23日には2ndアルバム『COMINATCHA!!』をリリース。この作品で「Everybody!!」に続き2作連続オリコンチャート週間1位を獲得。
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