(メイン画像:展示風景『未来と芸術展:AI、ロボット、都市、生命―人は明日どう生きるのか』森美術館(東京)、2019-2020年 撮影:木奥惠三 画像提供:森美術館
まもなく2010年代が終わり、新たな年の始まりを迎えようとしている。美術館や博物館などの文化施設の中には、正月休みの期間も無休でオープンしている施設や年明け早々に開館する美術館もある。ここでは都内近郊を中心に、年末年始に行くことのできる10の美術館や博物館をピックアップ。1月半ばで終了してしまう展覧会や、お正月ならではの企画が用意されている施設もあるので、休みを利用して訪れてみてほしい。各館の開館情報の詳細は随時、施設のオフィシャルサイトで確認しよう。
森美術館やポーラ美術館は年末年始、休まず開館。チームラボボーダレスは開館時間が特別延長
森美術館
『未来と芸術展:AI、ロボット、都市、生命――人は明日どう生きるのか』
東京・六本木の森美術館で開催中の『未来と芸術展:AI、ロボット、都市、生命――人は明日どう生きるのか』は、年末年始を含め、会期中無休でオープン。本展はAIやバイオ技術、ロボット工学、ARといった最先端のテクノロジーと、その影響から生まれたアート、デザイン、建築を通して、近未来の都市、環境問題からライフスタイル、社会や人間のあり方を考察する展覧会だ。
「都市の新たな可能性」「ネオ・メタボリズム建築へ」「ライフスタイルとデザインの革新」「身体の拡張と倫理」「変容する社会と人間」の5つのセクションで構成された会場では、100点を超えるプロジェクトや作品が紹介されている。
イベント情報
『未来と芸術展:AI、ロボット、都市、生命――人は明日どう生きるのか』
2019年11月19日(火)~2020年3月29日(日)
会場:東京都 六本木 森美術館
時間:10:00~22:00(火曜は17:00まで、11月19日、12月31日、2月11日は22:00まで、最終入館は閉館の30分前まで)
料金:一般1,800円 高・大学生1,200円 4歳~中学生600円 65歳以上1,500円
ポーラ美術館
『シュルレアリスムと絵画―ダリ、エルンストと日本の「シュール」』
神奈川・箱根のポーラ美術館で開催されている『シュルレアリスムと絵画』展も会期中無休だ。本展では、この100年で変遷を遂げたシュルレアリスムの展開と、フランスから日本、アメリカ、アジアまでのシュルレアリスムの広がりを絵画や版画によって辿る。西洋におけるシュルレアリスムの運動からどのようにシュルレアリスム絵画が生まれたのか、さらに超現実主義から「シュール」と呼ばれる独自の表現への展開に焦点をあてる試みとなっている。
出展作家はサルバドール・ダリ、マックス・エルンスト、古賀春江、三岸好太郎、瑛九、吉原治良ら。またシュルレアリスムに通じる独自の表現への展開を示すものとして、現代美術家・束芋の作品や、成田亨による『ウルトラマン』の原画も展示。さらに資料としてつげ義春の漫画『ねじ式』も紹介される。
イベント情報
『シュルレアリスムと絵画―ダリ、エルンストと日本の「シュール」』
2019年12月15日(日)~2020年4月5日(日)
会場:神奈川県 箱根 ポーラ美術館
時間:9:00~17:00(入館は閉館の30分前まで)
料金:大人1,800円 65歳以上1,600円 大学・高校生1,300円
※中学生以下無料
森ビルデジタルアートミュージアム:エプソン チームラボボーダレス
常設展示の施設である東京・お台場のチームラボボーダレスは、通常の休館日(第2・第4火曜日)を除いて開館しており、12月21日から1月5日は特別延長期間として全日10:00~21:00までオープン。2018年に開館した同館は開館から1年で世界160以上の国と地域から約230万人が来館し、世界最大規模の年間来館者数を誇る美術館となった。来日した海外セレブがこぞって訪れる新たな観光スポットにもなっており、米『TIME』誌が選ぶ「World's Greatest Places 2019」の一つにも選出されている。
展示内容は常設だが「季節展示」として季節にあわせた期間限定の作品も登場している。当日券は売り切れている場合があるので、事前に日時指定のチケットを購入しておこう。
イベント情報
森ビルデジタルアートミュージアム:エプソン チームラボボーダレス
常設展示
会場:東京都 お台場 森ビルデジタルアートミュージアム:エプソン チームラボボーダレス
時間:平日10:00~19:00、土日、祝日10:00~21:00(12月21日~1月5日は全日10:00~21:00、入館は閉館の1時間前まで)
休館日:第2、第4火曜(12月24日は開館、1月は14日、21日が休館日、28日は開館、2月は17日~19日が休館日、11日、25日は開館)
3つの企画展を開催中の東京都現代美術館は1月2日から開館。上野の『ゴッホ展』や『ハプスブルク展』も
東京都現代美術館
『ダムタイプ|アクション+リフレクション』
『ミナ ペルホネン/皆川明 つづく』
『MOTアニュアル2019 Echo after Echo:仮の声、新しい影』
2019年3月にリニューアルオープンした東京・清澄白河の東京都現代美術館は12月28日から1月1日まで休館。『ダムタイプ|アクション+リフレクション』、『ミナ ペルホネン/皆川明 つづく』、『MOTアニュアル2019 Echo after Echo:仮の声、新しい影』の3つの展覧会を開催中だ。
結成35周年を迎えたメディアアーティストグループ、ダムタイプの個展『ダムタイプ|アクション+リフレクション』は大型インスタレーションによって構成される大規模展。中心的存在であった古橋悌二の没後も独自の表現を展開している高谷史郎や池田亮司らに加え、次世代のメンバーも得て活動を続けるダムタイプのあり方を包括的に見せる試みだ。2018年にフランスのポンピドゥー・センター・メッス分館で開催された個展の作品群や新作にパフォーマンスアーカイブなどを加えた内容となる。
『ミナ ペルホネン/皆川明 つづく』はデザイナーの皆川明が設立したブランド、ミナ ペルホネンの展覧会。皆川はブランドの前身となる「ミナ」を1995年に立ち上げ、展覧会会期中の2020年に25周年を迎える。「つづく」をキーワードにした本展では生地や衣服、インテリア、食器といったプロダクトをはじめ、デザインの原画、映像、印刷物、皆川の挿絵など、創作の背景を浮き彫りにする作品や資料もあわせて展示される。
1999年から行なわれている『MOTアニュアル』は、東京都現代美術館ならではの視点で日本の若手作家の作品を中心に紹介するグループ展。15回目となる今回はファッション、詩、写真、映像、音響、コラージュ、ペインティング、ドローイングといった多彩な手段を、「すでにある世界との応答の技術」として組み立て直し、現代の表現の最前線を提示する。出展作家にはTHE COPY TRAVELERS、PUGMENT、三宅砂織、吉増剛造プロジェクト|KOMAKUS + 鈴木余位、鈴木ヒラクといった世代も表現手法も様々なアーティストたちが名を連ねている。
なお上記の企画展を一度に鑑賞できるセット券も用意されている。
イベント情報
『ダムタイプ|アクション+リフレクション』
2019年11月16日(土)~2020年2月16日(日)
会場:東京都 清澄白河 東京都現代美術館
時間:10:00~18:00(展示室入場は閉館の30分前まで)
休館日:月曜(1月13日は開館)、12月28日~1月1日、1月14日
料金:一般1,400円 大学生・専門学校生・65歳以上1,000円 中高生500円
※小学生以下無料
『ミナ ペルホネン/皆川明 つづく』
2019年11月16日(土)~2020年2月16日(日)
会場:東京都 清澄白河 東京都現代美術館
時間:10:00~18:00(展示室入場は閉館の30分前まで)
休館日:月曜(1月13日は開館)、12月28日~1月1日、1月14日
料金:一般1,500円 大学生・専門学校生・65歳以上1,000円 中高生600円
※小学生以下無料
『MOTアニュアル2019 Echo after Echo:仮の声、新しい影』
2019年11月16日(土)~2020年2月16日(日)
会場:東京都 清澄白河 東京都現代美術館
時間:10:00~18:00(展示室入場は閉館の30分前まで)
休館日:月曜(1月13日は開館)、12月28日~1月1日、1月14日
料金:一般1,300円 大学生・専門学校生・65歳以上900円 中高生500円
※小学生以下無料
すみだ北斎美術館
『北斎没後170年記念 北斎 視覚のマジック 小布施・北斎館名品展』
東京・両国のすみだ北斎美術館は年内は12月28日まで、年始は1月2日から開館。2019年は葛飾北斎の没後170年にあたる年だった。長野にある信州小布施 北斎館の名品を紹介する本展では、「北斎 視覚のマジック」と題し、構図や形に不自然な構築的要素を加えているにもかかわらず不自然さを感じさせない作品を制作した北斎の魅力に迫る。
展示作品は前後期あわせて約130点。祭屋台天井絵『男浪』『鳳凰』や、北斎が放蕩の孫の悪魔祓いとして毎日描いたという獅子の絵の肉筆画『日新除魔』、さらには代表作の錦絵『冨嶽三十六景』も展示されている。
イベント情報
『北斎没後170年記念 北斎 視覚のマジック 小布施・北斎館名品展』
2019年11月19日(火)~2020年1月19日(日)
会場:東京都 両国 すみだ北斎美術館
時間:9:30~17:30(入館は17:00まで)
休館日:月曜(1月13日は開館)、12月29日~1月1日、1月14日
料金:一般1,200円 高校生・大学生900円 65歳以上900円 中学生400円 障がい者400円
※小学生以下無料
※前後期で一部展示替えを実施
上野の森美術館
『ゴッホ展』
2019年は伝記映画が日本公開されるなど話題を集めたゴッホの大規模展は、12月31日、1月1日を除いてオープンしている。本展では37年という短い生涯で画家として活動したのはわずか10年だというゴッホの画業に影響を与えた2つの出会い──「ハーグ派」「印象派」との出会い──に光を当てる。約40点のゴッホ作品に加え、ハーグ派と印象派を代表する巨匠たちの作品、ゴッホが手紙のなかで語った言葉なども紹介される。
展覧会のナビゲーターを務めるのは杉咲花。音声ガイドにも初挑戦している。さらに音声ガイドにはスペシャルコンテンツとしてゴッホの弟テオドルスが語る「ドラマ風ガイド」を収録。テオの声を声優の小野賢章が演じている。本展は東京展終了後、1月25日から兵庫・兵庫県立美術館に巡回する。
イベント情報
『ゴッホ展』
東京会場
2019年10月11日(金)~2020年1月13日(月・祝)
会場:東京都 上野の森美術館
時間:9:30~17:00(金、土曜は20:00まで、入場は閉館の30分前まで)
休館日:12月31日、1月1日
料金:一般1,800円 大高生1,600円 中小生1,000円
※小学生未満無料
兵庫会場
2020年1月25日(土)~3月29日(日)
会場:兵庫県 兵庫県立美術館
時間:10:00~18:00(金、土曜は20:00まで、入場は閉館の30分前まで)
休館日:月曜(祝日の場合は開館、翌火曜休館)
料金:一般1,700円 大学生1,300円 70歳以上850円
※高校生以下無料
国立西洋美術館
『日本・オーストリア友好150周年記念 ハプスブルク展 600年にわたる帝国コレクションの歴史』
東京・上野の国立西洋美術館は、年内は12月27日まで開館し、年明けは1月2日からオープン。『ハプスブルク展』には中世から数世紀にわたってヨーロッパに君臨したハプスブルク家の人々が、豊かな財とネットワークをいかして築いた膨大なコレクションから、絵画、版画、工芸品、タペストリー、武具など100点が集う。ハプスブルク家本流による収集品の主要部分を収蔵品の核とするウィーン美術史美術館の協力で実現した。
展示は5章、7セクションで構成。ハプスブルク家のコレクションの礎を築いた神聖ローマ皇帝マクシミリアン1世から、ウィーン美術史美術館の建設者でもあるフランツ・ヨーゼフ1世まで、時代ごとに収集の特色やコレクションに向けられた視線を浮き彫りにする。
イベント情報
『日本・オーストリア友好150周年記念 ハプスブルク展 600年にわたる帝国コレクションの歴史』
2019年10月19日(土)~2020年1月26日(日)
会場:東京都 上野 国立西洋美術館
時間:9:30~17:30(金、土曜は20:00まで、入館は閉館の30分前まで)
休館日:月曜(ただし1月13日は開館)、12月28日~1月1日、1月14日
料金:一般1,700円 大学生1,100円 高校生700円
※中学生以下無料
正月企画、冬休み企画を実施している美術館や博物館も。東京国立博物館は恒例の『博物館に初もうで』
横浜美術館
『オランジュリー美術館コレクション ルノワールとパリに恋した12人の画家たち』
横浜美術館は、年内は12月27日まで、年明けは1月3日から開館。『ルノワールとパリに恋した12人の画家たち』では、フランス・パリのオランジュリー美術館のコレクションから13人の画家による69点が来日している。出品作家はアルフレッド・シスレー、クロード・モネ、オーギュスト・ルノワール、ポール・セザンヌ、アンリ・ルソー、アンリ・マティス、パブロ・ピカソ、アメデオ・モディリアーニ、キース・ヴァン・ドンゲン、アンドレ・ドラン、マリー・ローランサン、モーリス・ユトリロ、シャイム・スーティン。音声ガイドのナビゲーターは上白石萌音が担当している。
本展では1月3日の来場者先着500名にクリアファイルをプレゼントする「お正月お年玉企画」も実施。マティスの作品『赤いキュロットのオダリスク』がデザインされたクリアファイルとなり、展覧会会場入り口で配布される。
イベント情報
『オランジュリー美術館コレクション ルノワールとパリに恋した12人の画家たち』
2019年9月21日(土)~2020年1月13日(月・祝)
会場:神奈川県 横浜美術館
時間:10:00~18:00(金、土曜は20:00まで、1月10日~12日は21:00まで、入館は閉館の30分前まで)
休館日:木曜(ただし12月26日は開館)、12月28日~1月2日
料金:一般1,700円 大学・高校生1,200円 中学生700円
三菱一号館美術館
『印象派からその先へ―世界に誇る吉野石膏コレクション展』
東京・丸の内の三菱一号館美術館の年末年始休館は12月31日、1月1日のみ。建材メーカーとして知られる吉野石膏株式会社が長年にわたって収集してきた作品で構成される西洋絵画のコレクションを日本で初めて本格的に紹介する『印象派からその先へ』展では、シャガールの油彩画やルノワールの初期から晩年までの重要な作品、モネ、ピサロ、シスレーら印象派の画家の風景画やピカソの珍しい風景画、さらにはルノワール、ドガ、カサットによるパステル画などが展示されている。
本展では12月25日から1月5日まで、小学生・中学生を対象にした「冬休み・びじゅつかんデビューキャンペーン」として、18歳以上の来場者1人につき、中学生以下1人の入場が無料になる企画を実施。さらに来場者が自由に記入できる「びじゅつかん デビューシート」も用意されている。
イベント情報
『印象派からその先へ―世界に誇る吉野石膏コレクション展』
2019年10月30日(水)~2020年1月20日(月)
会場:東京都 丸の内 三菱一号館美術館
時間:10:00~18:00(1月3日を除く金曜、第2水曜、会期最終週平日は21:00まで、入館は閉館の30分前まで)
休館日:12月31日、1月1日
料金:一般1,700円 高校・大学生1,000円 小・中学生500円
東京国立博物館
『博物館に初もうで』
東京・上野の東京国立博物館では、恒例の正月企画『博物館に初もうで』を1月2日から26日まで開催する。2020年の干支「子(ねずみ)」にちなんだ作品を特集する『博物館に初もうで 子・鼠・ねずみ』では、十二支の子をはじめ、大黒天の使いや子孫繁栄の象徴など、ねずみの様々な顔を紹介。江戸時代に流行したねずみ色の着物や猫との「共演」なども取り上げる。
さらに「新春名品紹介」として、長谷川等伯筆の『松林図屏風』を含む同館所蔵の国宝、重要文化財など様々な名品が公開されるほか、1月2日、3日は和太鼓や獅子舞といった日本の伝統芸能のイベントも行なわれる。なお東京国立博物館の2019年内の開館は12月25日まで。
イベント情報
『博物館に初もうで』
2020年1月2日(木)~1月26日(日)
会場:東京都 上野 東京国立博物館
時間:9:30~17:00(金、土曜は21:00まで)
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