

avengers in sci-fi
『jupiter jupiter』
発売日:2009年12月2日
価格:1,890円(税込)
VICL-63479 / Victor
1. Universe Universe
2. Hyper Space Music
3. Ursa Minor
4. Radio Earth
5. Monkey Bites The Sun
6. Symphony Of The End

待ち合わせ場所にちょっと遅れて登場したタロウ氏。「ゆりかもめに乗ると宇宙を感じますよね。だって無人で運転してるんですよ」と、今日はやけに上機嫌だ。どうやら最寄りのテレコムセンター駅まで来るのに「ゆりかもめ」(東京臨海地区を結ぶ無人電車)を使ったらしく、早くも持ち前の探究心に火がついてしまった様子。
ちなみにavengers in sci-fiの近況はというと、昨年12月のメジャー・デビュー作『jupiter jupiter』リリース以降、『スペースシャワー列伝 JAPAN TOUR 2010』や年末の『COUNTDOWN JAPAN 09/10』をはじめ、各所からイベントに引っ張りだこ。忙しい年末年始を過ごし、3月19日からは全国7カ所で『Crazy Gonna Spacy Tour』を開催予定。「テーマは宇宙旅行。地上にいながら宇宙を感じる、人類の歴史に新たな1ページを刻む夜になります」(by タロウ氏)。たったの3000円前後で宇宙を旅できると思えば安いものだ。

さぁ、本題へ戻ろう。日本科学未来館は2001年に開館(館長は宇宙飛行士の毛利衛さん)。宇宙、地球、人間という大きな視野で科学技術を捉え、「技術革新と未来」「情報科学技術と社会」「生命の科学と人間」「地球環境とフロンティア」の4つをテーマとする常設展示、日本初の全天周超高精細立体視映像システム「Atmos」やギネス認定プラネタリウム「MEGASTAR-II cosmos」を持ったドームシアターガイアなど、最先端に触れられる世界でも有数の科学館である。

その展示量はとても1日では見てまわれないほど充実しているため、今回はドームシアターガイアで今話題の3Dプラネタリウム作品『バースデイ〜宇宙とわたしをつなぐもの〜』と、常設展示の中から「地球環境とフロンティア」のゾーンを見学した。入館料は大人600円。年会費1200円の友の会に入会すれば、1年間何度でも入場できる

まずは6階にあるドームシアターガイアへ。今回見る『バースデイ』は、前述のAtmosとMEGASTAR-II cosmosの両方を用いた作品で、専用のゴーグル(メガネの上からも着用可)をかけて3D映像として見ることができるプログラム。プラネタリウムを超高精細な立体映像で見れるのは、世界でもハワイのイミロア天文教育センターと、ここ日本科学未来館だけ。「3D映像って、小さい頃に赤と青のメガネをかけて見た記憶があるんですけど、星が飛び出して見えたりするんですかね〜」とウキウキするタロウ氏。この後、世界最先端技術のすごさに驚愕するのであった。

シアターのスクリーンは半球型で、斜め前方から上に向かって180度が見渡せる。スクリーンが見やすいように、イスはすべてリクライニング機能付きだ。上映開始のアナウンスが流れ、場内が暗くなる。「うっかり寝ちゃいそうですね」なんてタロウ氏が冗談を言う側から、早くも後方から男性のいびきが…。そのくらい快適ってことです(笑)。
『バースデイ』は、私たちが見慣れた日常の空間と、壮大なスケールの宇宙とをつないでいく物語。地球はどのようにして生まれたのか、宇宙はどのようにして生まれたのか、そして私たちは…。すべては物質を構成する最小単位「素粒子」によって生成され、重力によってつながっていく。しかしそれだけでは解き明かせない宇宙の謎、いまだ見ることの出来ない正体不明の物質「ダークマター」とは?

ナレーションを務めるのは、俳優・デザイナーとして活躍するARATA。音楽はインナー・サイエンス、タイトル映像は山口崇司(d.v.d)、音楽協力にはレイ・ハラカミのクレジットも。知る人ぞ知るキャスティングは、むしろ本気度の高さが伺える。
何よりすごいのは、Atmosで映し出される3D映像だ。ハイビジョンの約8倍という超高精細で映し出されたそれは、タロウ氏も思わず手を伸ばして、立体的に映し出された星を掴もうとするほど。7.1chサラウンドの音響と合わさると、まるで宇宙の中に浮いているような感覚になる。上映終了後のタロウ氏の言葉がそのすごさを如実に物語る。「いやー、ビックリしました。これはもう現実を遥かに超えた立体感ですね。人間の体では、これ以上の映像には耐えられないかも」。

上映後、今回我々をナビゲートしてくれた日本科学未来館・広報室の冨田さんに、タロウ氏がすかさず質問する。
タロウ「ダークマターって何なんですか?」
冨田「暗黒物質とも呼ばれるんですけど、簡単に言えば、重力を及ぼすけど見えない物質のことです。光も電波も出さない物質で、実際に確認することはできないのですが、宇宙の成り立ちを説明しようとすると、ダークマターの存在が欠かせないんです。また、宇宙の73%を占めるダークエネルギーの存在も確実とされてきています。いま我々が認識できている物質は全体の4%と言われていて、残りの96%は未知のダークマターやダークエネルギーなんです」
タロウ「えっ!? 人類はまだ4%の物質しか認識していないということですか?」
冨田「そうなんです」
タロウ「じゃあ、残りの96%次第では、いまの地球や宇宙を理論付けているものも、間違っている可能性もあるんですか?」
冨田「もしかしたらそうかもしれないですね」
なんと衝撃の事実! なお、11時から上映の回は、科学コミュニケーターがその場で解説していくライブ版で行われており、鑑賞後に質問することも可能だ。疑問に思ったことがあれば、ぜひ直接話しかけてみてほしい。

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