シンガーソングライター・コトリンゴと行く『ドガ展』

シンガーソングライター・コトリンゴと行く『ドガ展』

踊り子の輝きをとらえた傑作『エトワール』初来日! 注目のシンガーソングライターと巡る印象派の巨匠展

シンガーソングライター・コトリンゴと行く『ドガ展』

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  • テキスト:内田伸一
  • 撮影:菱沼勇夫
  • (2010/10/13)

3 ドガならではの自然体な裸婦像が次々に登場

第3章『綜合とさらなる展開』では、転換のときを迎えたドガ後期の作品を見ることができます。中でも目を引くのは、入浴中の女性たちを描いた裸婦像の数々。パステルで描かれたこの『草上の2人の浴女』も、まるで観る者の視線に気付いていないかのようなナチュラルな女性たちの姿をとらえています。

すごく自然体な裸婦像ですね
エドガー・ドガ《草上の二人の浴女》1896年 オルセー美術館

「ドガの描く裸婦像は、何ていうか…すごく自然体ですね。一緒に暮らしている女性を描いたような、そんな印象も受けます」

しかし、会場を進むとその印象を吹き飛ばすような手強い1枚も。

と思いきや、すごく大胆なポーズも
エドガー・ドガ《浴後(身体を拭く裸婦)》1896年頃 フィラデルフィア美術館
Purchased with funds from the estate of George D.Widener,1980

「こ、これは大胆なポーズで体を拭いていますね(笑)」

実はこの『浴後(身体を拭く裸婦)』は、当時普及し始めたカメラで写真にとらえた女性の動きをもとに描かれたもの。その写真も隣に展示されていて、ドガのあくなき探究心が垣間みられます。

当時発売されたコダック製小型カメラを手に入れたドガは、知人達のポートレートも残しています。

コトリンゴさんと作品

「同じ19世紀でも、写真で見るとなぜか絵よりも現代に近いような感覚を受けますね」

実は詩人でもあったドガの十四行詩(ソネット)をちりばめた壁面も会場の一角に。

詩人としてのドガの横顔も

「詩にもやっぱり踊り子が出てくるんですね。私の場合は音楽で表現をしていますが、自分ではそれほど意識せずに、よく使っているコードがあったりします。それにしても何というか……ドガのモヤ〜っとした気持ちがよく現れている詩ですね(笑)」

最後の部屋では、ドガの生前は未発表のままだったろう製の塑像を元にしたブロンズの数々や、作品の参考にしたと思われるバレエシューズ、アトリエにあったメガネやスカーフなどの遺品を展示しています。

生涯、踊り子と馬を愛した画家

「ドガはこの銅像たちを、いわばスケッチを描くように作っていたんですかね…」

ガラスケースの間を歩き回ると、ドガの気配がそこかしこに漂うよう。晩年は視力の衰えが激しかった彼は、最後に創造への情熱を、触覚を活かした彫刻づくりに向けたのでしょうか。そしてここにもやはり、踊り子や駿馬の姿が多く見られます。

以上のように、油彩、パステル、版画、彫刻などさまざまな技法を用いて近代都市文化を描いたドガ。その魅力を全方位で伝えるドガ展ですが、コトリンゴさんはいかがでしたか?

「絵画にしてもパステルや油絵だったり、描き方もさまざまで驚きますね。私は油彩画や、それから版画にも惹かれました。この時代の衣装や文化に興味がある人は、そのあたりもすごく楽しめるのでは。あと…馬と踊り子が好きな人はぜひ(笑)」

古典に敬意を払いつつ、進取の気性も持ち合わせ、ひたすら絵画の可能性を切り拓く。そのあたりは、時代こそ違えど現代の表現者にも通じる実験精神の持ち主だったのかもしれません。

作品のみならずそんな部分に共感するのか、同展はすでに世代を超えたたくさんの来場者を数えているとのこと。自分の中の「ドガ魂」を確かめに、美術館を訪ねてみてはいかがでしょうか。

コトリンゴさんとドガ展のエントランス

『ドガ展』

2010年9月18日(土)〜12月31日(金)
会場:神奈川県 横浜美術館
時間:10:00〜18:00(金曜日は20:00まで開館、入館は閉館の30分前まで)
休館日:木曜日(ただし、12月23日、12月30日は開館)
料金:一般1,500円 大学・高校生1,200円 中学生600円 小学生以下無料
毎週土曜日は高校生以下無料(要学生証、生徒手帳)
障がい者手帳をお持ちの方と介護者1名は無料

ドガ展公式ホームページ

横浜美術館

CINRA.NET コトリンゴ インタビュー

コトリンゴさんのおもなライブ情報はこちら

詳細はオフィシャルウェブサイトにて

『Chelsea Market & TOWER RECORDS presents AFTER HOURS vol.20』
2010年10月15日(金)19:00〜21:00
会場:大阪府 チェルシーマーケット
料金:無料

『ATOMIC MONSTER FESTIVAL 2010』
2010年11月3日(水・祝) OPEN 18:30 / START 19:00
会場:大阪府 心斎橋 JANUS
料金:前売4,000円(ドリンク代別)

『Atomic Monster Festival Vol.5』
2010年11月6日(土) OPEN 17:30 / START 18:00
会場:東京都 渋谷 7th floor
料金:前売4,000円 当日未定

『コトリンゴ〜picnic album 1 release party〜』
2010年11月19日(金) OPEN 18:00 / START 19:00
会場:東京都 原宿VACANT
料金:3,500円(ドリンク別・全自由席)
※ 3才以上は入場料必要、200名限定

内田伸一

1971年生まれ。ライター、編集者。『キャプテン翼』命なのに卓球部の中学生、The Clashに心酔するも事なかれ主義の高校生、心理学専攻のモラトリアム大学生として成長し、初対面が苦手な編集者として『A』、『Dazed & Confused Japan』、『REALTOKYO』、『ART iT』などに参加。矛盾こそが人生哉。



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