秘密ロッカーのヒミツ大捜索
して最後に訪れたのは、秘密ロッカーがいつも飲んでいるという高円寺のガード下にある居酒屋「馬力」。気のいいおやっさんという言葉がピッタリの店長の押山さんは、様々な職種を経て飲食業にたどり着いたこの道27年の大ベテラン。高円寺という街柄もあり、お店に訪れたミュージシャンは数知れず。そんな押山さんの目から見た秘密ロッカーは?
押山さん、全然秘密ロッカーについてしゃべってくれない…。自分の話しばっかりやないかーい!でも、押山さんが“ニコ”の歌詞を見て驚いたと聞いて、改めてこの曲の歌詞を読み返してみると、彼らの歌がいかに秘密めいているかがよくわかる。「反吐が出る真実」、「許されない言葉」、「醜いほどの本当」などといった言葉の裏には、何か大きな傷が隠されていることは明らかだ。そしてその傷の内容を具体的に言わないのも意図的なものだろう。それは聞いた人それぞれに、過去の自分の傷を思いださせるために、あえて明言していないのではないか!?こうした要素は、“ニコ”に限らず、彼らの曲の至るところに隠されている。それにしても、なぜ彼らはこんなにも傷をえぐるようなことを歌うのだろうか。それは秘密ロッカーというバンドの根幹にも関わることなのだと思う。彼らのことをもっと知って行けば、いつか答えがわかる日が来るだろうか〜?
人への取材を通して、徐々に明らかになってきた秘密ロッカーについて。正直なところ、HIROKI氏の言葉に乗っかってはみたものの、取材前は何ひとつ得るものがないかもしれないという不安もあった。しかし、いざ取材を終えてみてわかったのは、彼らが世の中に対して、そして自分自身へ対しての激しい葛藤を音楽として表現していること。そして知れば知るほど新たな疑問が沸き起こり、気付けばもっと彼らのことを知りたいと思うようになっていたという事実! 連載はまだ始まったばかり。こうなったら徹底的に調べ上げてやるぞー!
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新たな発見や感動を得ることはできましたか?
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押山:あぁ、彼らはよく店に来て、名物の「馬力とうふ」を食べながら飲んでるよ。私も今年65才になるんだけどね、その昔は4畳半の音楽っていうのが流行って、フォークギターを弾いたもんだよ。それからベースも弾くようになってね、10年前まではバンド組んでたんだけどね。
ー 「馬力とうふ」を食べてる話以外には何か…? 秘密ロッカーは初期パンクのバンドみたいなんですが。
押山:私もパンクはね、セックス・ピストルズとザ・クラッシュ。好きだったなぁ。最初はビートルズだったんだけどね。その後はメタルを聴いて、プログレにハマり。よかったねぇ、ピンク・フロイド。プログレはドイツに発注してレコードを買ってたんですよ。向こうのレコードは、日本の塩ビのレコード盤よりも分厚くて。懐かしいなぁ…。
押山:あ、彼らのミニアルバム聴いたよ。あの“CRY the WORLD”って曲は忌野清志郎みたいな雰囲気があって、よかったねぇ。音楽がいいなぁっていうのは、その音楽を聴くと、聴いたときの時代が甦ってくるんですよ。あのとき彼女とああいうふうにしたなぁとか。人生のアルバムみたいな感じがするの。私も昔は新宿のクラブで働いててね、そこでいい娘さんと出会ったんだけど、彼女のおやっさんから「普通の仕事に就いてくんないか?」って反対されてねぇ…。
ー え、えぇ…。人に歴史ありですね。あの、他に秘密ロッカーについての情報を…。
押山:あとは“ニコ”っていう曲がオススメだね。これは直感なんだけどね、長年音楽に親しんできた私が言うんだから間違いないですよ。歌詞を見て「えっ!」と思ってね。やっぱり秘密ロッカーと名乗るだけあって、秘密が多い感じがいいね。その秘密は守り続けてほしいなぁ。