第2回
エリイ(Chim↑Pom)
Chim↑Pom内で、男女の考えがぶつかることは?
Chim↑Pomのメンバーは、五人が男で、エリイさん一人が女の人じゃないですか。一緒に仕事する中で、女であることを感じたりしますか?
エリイ:やっぱり男性と女性って全然違う生き方だと思うので、目のつけどころの違いはありますよね。だから私は、みんなと違う視点からアイデアや考えを提供できるんじゃないかと思いますね。
具体的にどのように視点が違うと感じますか?
エリイ:女の子のかわいさの基準ですら、男女で話が合わないじゃないですか。男子がかわいいと思う子と、私がかわいいと思う子ではまったく違う。だからこそ、一緒にやることでより広いものが作れるというか。逆に、五人が男子であるということも、私の中では新しい風であって、男性がいるからこそ考えられなかったことを考えたり、できなかったことができるようになったりする。
でも、5:1だと大変なこともあるんじゃないですか?
エリイ: 結成してから10年経っていますからね。Chim↑Pomは、男と女というのを超えて、アートを生み出すという上での組み合わせがいいと思うんですよ。性格も全然違うけど、面白いと思えるレベルは共有できてる気がする。
学校とかだと、絶対に仲よくならない組み合わせってあるじゃないですか。Chim↑Pomの六人ってどうなんですか??
エリイ: 絶対に仲よくならなかったと思う。今でも仲いいのかわからないけど。
例えばですけど、エリイさんがChim↑Pomじゃなくて、全員女子のユニットを組んでいたとしたら?
エリイ: 私はその場でできることを全力でやっていると思うんですよね。アートとして、そのユニットが非常にいいものであれば。
今や美大の学生は、7割が女の子です。でも、いわゆる「アーティスト」として活動し続けているのは男性が大半。歪なバランスです。
エリイ: 性別は関係ないんじゃないかな。才能と意志じゃないですか?
女性の「共感の文化」に苦言を申す
「共感って人のためにならない」
一般的に女性は、「共感の文化」の中で生きていると思います。「そうだよねえ」って、とりあえず友達が言ったことに共感してみたり。でも、エリイさんはそういうタイプじゃないですよね。
エリイ:共感ってその人のためにならないじゃないですか。本当にいいと思っていればいいけれど、それでも「果たしてそうなのかな?」って提示してあげないと、世の中がよくならない。そうしないと怠惰な精神が蔓延するっていうか。
「共感」より「疑う」ことが大事。
エリイ:そもそも私は、他者との関係なしに人が1人で考えることって大したことないと思っている。それがChim↑Pomをやっている理由でもある。まったく考え方の違うメンバーがいて「あ、そんな考えもあるんだな」っていうのが10年続いた感じですね。一人じゃ絶対にここまで辿り着かなかった。
それはChim↑Pomを結成する前からの考え方ですか?
エリイ:小学生の時にすごくウザイ女の子がいて、その子と理科の問題の解答について賭けをしたんですよ。私は100%自分の答えが合っていると思っていたんですけど、結果、私が間違ってた。で、そのクソみたいにウザイ子が当たってた。その経験が「私の考えていることがすべてではない」っていう思考に基づいている気がします。その経験もChim↑Pomが生まれた可能性のひとつですね。
アートのためだけに生きている
今後どんな風に生きたいと思いますか?
エリイ:アート以外にないんじゃないですか? 私のすべてがアートから発生していて、アート作品を作ることや、アートに関係することのみのために生きている感じがするんですよね。誰かに会ったり、話したり、体験したり、見てみたり、それらすべて「アートに昇華できるかもしれない」という可能性があるからやっていることで、それ以外の目的はない。私、アートの神様に生かされているんですよ。もしもアートの神がいるとしたら、間違いなく私のことを一番愛している。
言い切るのもすごいですけど、あながちそれが外れてない気がします(笑)。
エリイ:その自信はかなりある。
書籍情報
エリイ
『エリイはいつも気持ち悪い エリイ写真集 produced by Chim↑Pom』
2014年5月30日(金)発売
著者・監修・編集:Chim↑Pom
価格:3,024円(税込)
発行:朝日出版社
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この度、『iroha』と『iroha FIT』がドイツのノルトライン・ヴェストファーレン・デザインセンターが主催する『レッドドット・デザインアワード プロダクトデザイン2015』(Red Dot Award: Product Design 2015)を同時受賞いたしました。