曽我部 恵一
サニーデイ・サービスの空気感を作品に込めたい
リスナーとして音楽の楽しみ方を教えてくれた曽我部さん。作り手としてはどういった意図やこだわりを持って音楽制作をされているのでしょうか? サニーデイ・サービスとして4年ぶりにリリースしたアルバム『Sunny』は、1992年に結成してから解散と再結成も経て、メンバー全員が40代を迎えてから初めてのアルバムであり、最初の1音、最初の1声から、とてもナチュラルでやさしい空気感が伝わってくる作品となっています。
曽我部:食べ物でも、無添加食品ってあるじゃないですか。自分たちがやってる音楽はそれに近くて、ことさら狙ってエンターテイメントを作り出すわけではなく、できるだけ自然な描写で、日々感じたことを音楽にしていこうと思ってます。自分のソロはアナーキーなものでもいいんですけど、サニーデイの三人が寄り集まると、各自の性格や生き方もあって、「わりと普通だね」っていうものにしかならないんだけど、そこのよさを追求するのがサニーデイなのかなと思うので。
聴いているだけで、なんだか少しホッとする。実際、アルバムを作るにあたって、三人でどんな話をしたのかと質問すると、その理由がわかった気がしました。
曽我部:あんまり話さないですね(笑)。「最近どこでメシ食ったりしてるの?」とかくらいで、込み入った話は全然しない。親友という感じでもないし、もちろん他人じゃないし、強いて言うと家族かな。弟とかに込み入った話はしないじゃないですか。「元気?」「へぇ〜」みたいな。それがいいか悪いかは置いておいて、そういう空気感がそのまま作品に出てるとは思います。
2015年3月には、サニーデイ・サービスとしては15年ぶりとなる渋谷公会堂でのライブも決定。殺伐とした毎日を送っている人も、未来に希望が見えない人も、人生悪くないなと感じられる日になりそうです。
ヘッドホンによって、本当に音は変わるのか?
サニーデイ・サービスの『Sunny』は、アコーディオン、ピアノ、マンドリンなどの音が散りばめられた“星のレストラン”や、バイオリン、チェロ、ビオラでストリングスアレンジが施された“少年の日の夏”など、丁寧にミックスされたサウンドも聴きどころのひとつ。この秋、オーディオテクニカから発売された新型ヘッドホン「ATH-MSR7」で、曽我部さんに改めて『Sunny』を聴いてもらいました。
曽我部:(じっくり聴いて)いいね(笑)。正直、「こんなにいいの!?」と思いました。これまでもこれと同じ価格帯のオーディオテクニカのヘッドホンを愛用しているんですけど、こっちのほうが解像度が全然高いし、さっきケーブルの話をしたのと同様で、このヘッドホンは変に音にキャラクターが付かなくて好きです。他のヘッドホンだと、高音がちょっと歪んで団子になるようなところが、「ATH-MSR7」だとすごくきれいに聴こえる。全体的な音の質感もきれいで、原音に近い感じですね。
ヘッドホンだけでなく、オーディオテクニカのマイクもよく使っているという曽我部さん。プロの目線から、その理由についても語ってくれました。
曽我部:オーディオテクニカって、昔はローエンドユーザー向けのイメージが強かったけど、いまは世界レベルでプロが使う製品を作ってますよね。実際、僕もヘッドホンもマイクも使ってるし。小さいメーカーとして始まって、安かろう悪かろうでキープするところはいっぱいあるんですけど、オーディオテクニカの製品は素人でも買える値段で売られてて、それがプロのスタジオでも使われてる。価格も品質もさぼらずに製品のクオリティーを向上させる姿勢は本当にリスペクトするところで、このヘッドホンも腕一本で叩き上げたメーカーならではの仕上がりですよね。別に国粋主義者じゃないけど、せっかく国産でいいものがあるんだったら、国産のほうがいいなと思っちゃうタイプだから、ありがたい存在ですよね。
リスナーとしても、プレイヤーとしても、自分なりのこだわりで、自然体で音楽を楽しむスタンスが印象的だった曽我部さん。特に「いい音」に対する考え方には、ハッとさせられた人も多いのではないでしょうか。近年はさまざまなフォーマットで音楽が提供され、再生機器にも無数の選択肢がありますが、それをどう受け取るかは自分次第。音楽のよりよい楽しみ方を教えられた気がします。
商品情報
φ45mm "トゥルー・モーション" ハイレゾオーディオドライバー
駆動力を最大限に高め、あらゆる音源を高精細に描き出す新開発φ45mmドライバー。
- ・高駆動設計ダイヤフラム&ボビン巻きショートボイスコイル。
- ・各音域のバランスを調整するデュアル・アコースティックレジスター。
- ・音の歪みを抑えるトップマウントPCB方式。
デュアルレイヤー・エアコントロールテクノロジー
音響効果の高い強靭な積層構造と、音の空気経路を緻密に計算した独自技術により原音を忠実に再生。
- ・不要振動を徹底的に抑制するレイヤードメタル構造。
- ・低中高域の特性を向上させるトリプルベントシステム。
長時間リスニングでも疲れにくい低反発素材の立体縫製イヤパッド。
耳をしっかり包み込む立体形状のイヤフォーカスデザイン。
曽我部恵一
『bluest blues』(アナログ7inch+CD)
2014年12月10日(水)発売
価格:1,500円(税込)
ROSE-180
- [SIDE-A]
- 1. bluest blues
- [SIDE-B]
- 2. たまにはぼくの家に遊びに来ませんか
- ※CDにはアナログ盤と同内容を収録
『サニーデイ・サービス渋谷公会堂コンサート
2015』
2015年3月27日(金)
OPEN 17:45 / START 18:30
会場:東京都 渋谷公会堂
料金:前売4,500円
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サニーデイ・サービス
『Sunny』(CD)
2014年10月21日(火)発売
価格:2,700円(税込)
ROSE-176