今や日本のスタンダードフォントとされるモリサワの文字。普段よく目にしている文字が、どのようにして作られているのか知っていますか? そこで、私たちCINRA編集部は、モリサワの文字を開発している“モリサワ文研(株)”におじゃましました。驚いたことに、ここでは、文字をデザインする“タイプフェイスデザイナー”が、1字1字、鉛筆でレタリングをしていたのです!
連載第3回目では、フォントが出来るまでの行程と、ベテランのフォント職人さんのインタビューをご紹介します。
モリサワ文研の代表取締役である森澤典久社長と、取締役の三浦誠之氏に教えていただきました。
モリサワ文研株式会社とは?
兵庫県明石市にある、モリサワフォントの開発や原図レタリング、デジタルフォントの製造開発などを専門に行う(株)モリサワのパートナー会社。ここで開発されたフォントが(株)モリサワを通して市場に展開される。
まずは、文字の市場調査します。文字がどのように使用されているのか、雑誌や広告などで見出しや本文に使われている文字などを隈無く調査していきます。
何度も協議と試作を繰り返して、ある程度意見がまとまった段階で見本を作ります。その後、モリサワの本社でも話し合い、そこで企画が通れば、外部の方に意見を聞きに行く場合もあります。この一連の調査とヒアリング、企画に1年以上はかかります。企画が完璧でないと、途中でやめることができないので、せっかく完成したのにお蔵入りということにもなりかねません。
全体の基礎となる原図を制作する最も重要な行程です。基礎となる「定型文字」として使用頻度の高い500文字をデザインします。手書きでレタリングするので、集中力が試されます。
まずは漢字。漢字は直線があって、「はらい」などの曲線がある。比較的デザインしやすいです。その後、その漢字に基づいて「かな」を作ります。直線がないから1番難しいです。最後は記号です。同時に文字の大きさや太さのバランスなどを調整していきます。かな、漢字、カタカナ、記号、欧文のすべてがマッチしないといけません。
鉛筆でレタリングされた原図をスキャナーでコンピュータに取り込み、デジタル化します。
取り込んだ文字をトレースし、アウトラインデータを作成。ここで、部首や、点や払いなど、文字をパーツに分けてバランスを細かく修正していきます。何ヶ月もかかる作業です。
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