ひとりの女の子が「Neat's」と名付けたソロプロジェクトをスタートさせた。
彼女の名前は新津由衣。17歳の時にボーカルユニット「RYTHEM」としてデビューし、これまでにいくつもの華々しい経歴を残している(詳しくは前回参照)。CINRAでは、今年2月のRYTHEM解散後、間もなくスタートした「Neat's」としての活動をドキュメントするべく連載をスタートさせたのだが、取材を進めていくと、その華やかなイメージとは裏腹に、筆者(私)と、彼女自身の想像も越えた、「孤独」を恐れる彼女の不器用な一面が徐々に浮き彫りになっていった。
誰かと繋がりたいという欲求、しかし、人と関わったことで拒絶されてしまうことへの恐怖、葛藤のなかで無意識のうちに作り出していた「自分に都合のいい理屈を作り上げる」という処世術……。誰しもが身近に感じる、ゆえに根が深い悩みにずぶずぶとはまっていた彼女は、音楽活動を通して、なんとか本当の自分を曝け出そうとしている。涙も混ざった波乱のインタビューの末に、彼女の口からこぼれたのは「人間になりたい」という一言だった。
「Neat's」プロジェクトは、「1人でできることはすべてやってみよう」という発想から始まっている。そもそも、始めに私がこのプロジェクトの存在を知った時、一番ユニークだと感じたのも、それまでメジャーの世界で活動をしてきた彼女が、一切を投げ打って、何の後ろ盾もなく、新しい活動をスタートさせようとしているところだった。
ブログやUstream、Youtubeのアカウントを取得することから始まった「初めて」のアーティスト活動。動画をアップするのも初体験、オフィシャルサイトを更新する際も、データを全て消してしまい「わからないことは聞いてください!」とサイトの制作者に怒られたという。また、Ustreamで中継を行った時も、接続のことでパニック状態になった彼女は、最低限のことだけ伝えて「じゃ!」と突然中継を終えてしまったらしい。「Ustもライブですよね。自分の精神を統一するってだけで精一杯だったから、配信のことまで全部やるなんて本当に大変で…」。
友人から誘われ、大阪でのライブイベントに出演した際には、新幹線のチケットの取り方すら分らない状態で1人で現地へ向かい、生まれて初めて漫画喫茶に宿泊。居心地のいい環境とは言いづらかったものの、その時は「新しい価値観を見てみたい」「今までとは違う世界に自分を放り込んでみたい」と、新しいプロジェクトがスタートするワクワク感が何よりも強かったらしい。
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