Neat'sは次のステージに進むとき、必ず「プランを」設定するのだという。もの作りのコアな部分の自信を取り戻し、ようやく作品作りの土台を固めた彼女は今後どこへ向かうのか?
Neat's:さっきも話したように、音楽を作るときに、+αの映像やお話っていうのを包み隠さず見せていきたい。具体的には、毎月映像を作って、どんどんネットにアップして最終的にそれをパッケージしようと思ってます。あとは、音楽作りの核にメロディーがあることを見せるために、『MOA』のメロディーを残したまま、全く違うアレンジに差し替えたCDをもう1枚作ろうとしてて。さらに『MOA』の歌詞から絵本を書いて、より深みをもった『MOA』の世界観を追求しようかなと思っているんです。……あとはね、舞台。
—舞台……? それは壮大ですね。もうこうなったからにはどんどんいろんな人を巻き込んじゃうと面白そうですね。その楽しい感じも伝播していきそうな気もしますし。
Neat's:そうですね! 「こういう材料が面白くなる」っていう妄想の種には自信が出てきたし、その根本的なところは私が一番わかっていなきゃいけないと思うので、そのアンテナを大事にしてさっき言ったような同世代の女の子たちとまずはいろいろ膨らませていきたいですね。
—気持ちは女性に向いてるんですね。
Neat's:『Bedroom Orchestra』っていう、初めて私が全部プロデュースした女の子限定のライブをやったときに、チケットもすぐに完売して、とても評判が良くて。受付で手作りのブレスレットを渡して、「これは私の心の中に入れるチケットなんだ」って演出をしたりして、みんなをNeat'sの世界に染め上げるための心くばりをいつものライブの100倍やったんです。会場の中には星空みたいな装飾をつけたんですけど、そこで歌ったら、夜中に自分が星空を見てポカンとしているときの温度がそのまま伝わってるんじゃないかなっていうぐらい、お客さんにダイレクトに伝わった感じがしたんですよね。
—心を込めただけ、伝わったと。
Neat's:「コンセプトがBedroomだから男子禁制!」っていうことで、女の子ばっかり300人集めて、「女子だけだと来やすい?」って聞いたたら「うんうん」って(笑)。これからはもっと女の子にも来てほしいし、そこはアーティストとして牽引していかないといけないなと。でも、そういう心くばりをするようになってから、すごく充実してます。キャパオーバーしかけた時代から比べると、今のほうが妄想量も多いし、こだわってるし、考えることもやることも多いはずなんですけどね(笑)。「やりたいことをやる」っていうすごくシンプルなところに行き着いたら、自分のコンプレックスとか、もういいやってなったんですよ。「死ぬほど生きたい」って閃いたときがすべての始まりだった気がするし、ようやく成熟期に入ってきたかな。
「やりたいことをやる」。その答え自体はシンプルだけど、すぐに行動できるかと言われると、できない。特に新津の場合は、デビュー当時から強固な「パブリックイメージ」が始めにあり、それに気付き、解体し、あやふやだった自分らしさを見つける作業が必要だった。
素の自分を出せるようになった理由のひとつとして、毎晩欠かさず自室からアップロードし続けた『Neat'sTV』の影響は少なからずあるだろう。そのプライベートな生放送を、彼女は1000日も、続けたのだった。見ていて印象的だったのは、日を追うごとに彼女が自然体になっていったこと。つまり、人を楽しませるためのコミュニケーションツールというよりは、人との距離感を調整するためのセルフセラピー的な役割を果たしていたように思える。
Neat's:Neat'sっていうのは、28歳の女性としては一般的な生き方ではないと思うけれど、自分がここまでいろんな気持ちを込めてやることにはものすごい意義を感じているんです。もちろん、大衆的な作品作りを目指しているので、規模で言ったらまだまだ自分の思い描いているものにはたどり着いていないけれど、わくわくしているし、楽しいと感じているし、それを続けていくために不安と向き合ったりとか、努力したりというのはずっと拭えないんだろうなと思います。
『早く人間になりたい Neat's(26歳女子)』。一見、「人間」のくせに「人間になりたい」だなんて、ちょっと選民思想があるような気がしていた。私はあなたと違う、というような。だけど、それは誤りだったと今は思う。彼女はそう口にしてしまうほど、必死に「人間らしさ」に憧れていた。Neat'sプロジェクトを通して、ひたすら一途に、自分の心に正直になろうと突っ走った結果、ようやく本当に自分が好きなもの、生きてくために必要なことを見つけることができた。その紆余曲折の果てに生まれた『MOA』。彼女の心をそのままパッケージにしたようなアルバムが完成に近づくたびに、彼女は人間になっていったのだ。
人は、変わることができるだろうか? その回答を彼女に託すならば、「YES」だ。彼女は本気で変わろうとしたし、これからも変わり続けるだろう。その悩み、前進し、また悩む、という行為の繰り返しを彼女自身が忌々しく感じていた時期もあったが、私は、今後も彼女はそれを繰り返すと思う。なぜならこの混沌とした現実社会の中で、心のままに生きたいと願うもがきこそが、人間らしく生きることそのものだと思えるからだ。それで、だ。私たちも、人間らしく生きることができるだろうか? 答えを「YES」にするために、彼女から学んだこと。どんなに苦しくても、好きなことだけは見失わないように踏ん張ること。それが自分をいつも、助けてくれるだろう。
Neat's
『MOA』(CD)
2014年6月22日(日)発売
価格:3,000円(税込)
dada-10
※下記ウェブショップとライブ会場のみでの販売
Neat's SHOP
1. MOA
2. グレイの森
3. 夕暮れレコード
4. 黄昏れに雨
5. よるのいろ
6. 新世界
7. 海
8. 砂漠のスコルピオン
9. グレイテスト・エデン
10. wonderland
11. クライマーズ
12. よるのいろ~electro circus by 砂原良徳~(ボーナストラック)
※16Pブックレット付
『Neat's Dream Band Tour「MOA」』
2014年8月3日(日)
会場:宮城県 PARK SQUARE
2014年8月9日(土)
会場:愛知県 APOLLO BASE
2014年8月10日(日)
会場:大阪府 LIVE HOUSE Pangea
2014年8月30日(土)
会場:東京都 新代田FEVER
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