インタビュー・テキスト:金子厚武 撮影:柏井万作
それにしても、かつてのdipから連想されるヤマジのイメージと、現在のヤマジの差というのは、こちらがやや戸惑いを覚えるほどだ。アルバムのジャケットにデンと登場し、“サルとバナナ”のPVにも出てくるバンドのマスコットキャラクター「ウミネコくん」。彼の生みの親も、意外なことにヤマジなのである。むしろ、あっけらかんとした表情でジャケットを飾る、この「ウミネコくん」こそが、今のヤマジの軽やかなスタンスを表しているとさえ言ってもいいかもしれない。
ヤマジ
ネストのライブの待ち時間のときに、ウミネコくんの4コマ漫画を描いたんだよね、たまたま。そうしたら、「これウェブで連載しましょう」って話になっちゃって(笑)。
現在オフィシャルサイトにvol.19までアップされている「ウミネコくん」だが、今年に入ってdipの活動が忙しかったこともあり、更新の頻度が落ちている。渋谷O-nestで主催イベントが行われる12月12日までには、ぜひとも最新作が見れることを期待したい(ヤマジ画伯、よろしくお願いします)。
このように、かつての混沌とした時代を経て、ヤマジは今を思い切り謳歌しているようだ。もちろん、その混沌とした時代に作り上げてきたものが、今の活動の基盤となっていることは言うまでもなく、その時代があったからこそ、今のヤマジがある。プライベートが健全さを取り戻し、活動のスタンスが開放的になった今も、彼がサイケデリックなギターをかき鳴らし続けていることには変わりがない。そこからは、ヤマジの抱える圧倒的な業のようなものすら感じられる。そして、それがあるからこそヤマジカズヒデという男は今もカリスマであり続けているのであり、際立った表現者であり続けているのだろう。
「dipに影響を受けたバンドがいるとか、昔はそんなの全然思いもしなかった。俺の耳に届くようになったのは、ホントここ最近だよ」とヤマジは言うが、これはヤマジ自身が変わったことによって、若い世代の声が耳に届きやすくなったということだろう。そして、そんなときに巡り会ったuminecosoundsもまた、同じように様々な経験を経て、今を楽しもうとするメンバーの集まりだった。あまりに意外な組み合わせのように見える4人だが、この出会いは必然だったと、ここでは言い切らせてもらおう。なぜなら、最後に改めて聞いた「音楽を続けるモチベーションは?」という質問に対するヤマジの答えは、古里の考えと見事にリンクしていたのだから。
ヤマジ
楽しいからっていう……ホント、それぐらいしかないかな。自分が楽しめる環境とやり方で、そのとき出したい音を出せるのが一番いいよね。あとは、「それを気に入ってくれたら嬉しいよ」みたいな感じかな。
uminecosounds
1st Album
『uminecosounds』
発売中
価格:2,500円(税込)
CNRR-007 / CINRA RECORDS
CINRA.STOREで購入する(CD)
CINRA.STOREで購入する(MP3)
- 1. umineco
- 2. Garden
- 3. サルとバナナ
- 4. イエロームーン
- 5. ジリジリ
- 6. イトシオ
- 7. ネットサーファー
- 8. 25000マイル
- 9. まぶた
- 10. 雪アソビ
- 11. まちのあかり
uminecosounds
『まちのあかり』(12inchアナログ盤)
2012年12月17日発売
価格:1,575円(税込)
ROOM FULL OF RECORDS / RFOR004
- [SIDE-A]まちのあかり
- [SIDE-B]まちのあかり(Crystal Remix)
『第6回 ウミネコ集会』
2012年12月12日(水)OPEN 19:00 / START 19:30
出演:uminecosounds
ゲスト:百々和宏と見汐麻衣(デュオ)
フード:ウミネコカレー
料金:前売2,200円 当日2,500円(共にドリンク別)
dipワンマンライブ
『HOWLING TO 2013』
2012年12月7日(金)OPEN 18:00 / START 19:00
会場:東京都 渋谷 WWW
出演:dip(ワンマン)
ゲスト:豊田利晃(映像)、クジヒロコ(synth)
料金:前売3,500円(ドリンク別)
詳細はこちら
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