防音マンションにしつらえた
音楽制作の中核を担う機材たち
都内某駅より徒歩数分。和菓子屋などが並ぶ昔ながらの雰囲気を漂わせる商店街を抜けて歩いていったところに、たむらぱんさんが主に歌録りに使っているスタジオがありました。ドアノブに取り付けられた「へ音記号」が印象的なこの建物は、遮音設計が施されたミュージシャン向けマンションとのこと。3年くらい前から、デモ音源をブラッシュアップさせるためのスペースとしてこの部屋を使っているそうです。
大きな窓とベランダが開放的な雰囲気を醸し出す一室には、Pro Toolsによるレコーディングシステムに加えてマイクやキーボードなどを配置してあります。スピーカーにはGENELEC 1032AとYAMAHA MSP5Aを備え、ダビングやミキシングといった制作作業に集中できそうな空間。たむらぱんさんの制作に欠かせない長年の愛用モデルや、最近気に入っている機材を伺ってみました。
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ZOOM「MRS-1608」
たむらぱんさんの音楽活動を黎明期から支えてきたのが、ZOOMのマルチトラックレコーダー・MRS-1608です。レコーダーとしてはもちろん、リズムマシンやエフェクターも内蔵したオールインワンタイプで、見るからに使い込んでいる様子が伝わってきますが、実はこのモデルは歴代3代目とのこと。
たむら:YAMAHAのシンセサイザー・QS300の次に買ったのがこのレコーダーで、分かりやすそうなボタン配置が購入の決め手でした。今ではPro Toolsを使って録音していますが、デモ作りの段階では、このレコーダーに入っているリズムマシンやエフェクターをけっこう使っていて、自分のサウンドに欠かせないものになっています。ライブでも使っていたので、どこにどの音が入ってあるのか分かりやすくするためにいろんな場所にテープを貼っています。
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KORG 「TONEWORKS AX1500G」
幼少期にピアノを習っていたたむらぱんさんは、鍵盤を用いて曲を作ることが多いと聞いていたので、ギター用マルチエフェクターのKORG TONEWORKS AX1500Gというのはちょっと意外でした。長年重宝しているというこのアイテム、果たしてどんな風に使っているのでしょう?
たむら:ボーカル用のエフェクターとして7、8年前に購入しましたが、それ以外にもギターっぽい音色が欲しいとき、ピアノにAX1500Gのエフェクトをかけることが多いですね。ペダルも付いているので、ワウの効果を足したり、あとはシューゲイザーバンドのギターみたいにわざとノイズっぽくしたり。AX1500Gを使うときは、最終的にはピアノで弾いたことが分からないくらいに音を加工することが多いです。ピアノをつないでAX1500Gのエフェクトをいじくりまわしているうちに、アイデアを思いつくこともあります。ピアノなんだけどこれをつなぐことでギターが弾ける、私にとっては作曲に欠かせないツールの1つです。
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KORG「KROSS-88」
最近手に入れたばかりというKORG KROSS-88は、本格的なピアノタッチを再現した88鍵モデルながら、扱いやすさを追求した軽量タイプのオールインワンシンセサイザー。ピアノやシンセ、オルガン、SEなどの豊富なサウンドや、リズムマシン機能を内蔵しつつ、乾電池でも使えるので野外を始めとしたさまざまなシチュエーションでキーボードとして威力を発揮します。
たむら:こういうオールインワンタイプのキーボードは、使い始めに操作を覚えるのが辛かったりするのですが、KROSS-88は最初に触ってみてすぐに、何かしら曲を作れそうだなって感じるキーボードでした。16個のボタンをオン / オフするだけで、リアルタイムにリズムが組める16ステップシーケンサーは、ライブにも使えそうですし、ボコーダーとして使える機能も面白いですね。まだ使ってみて間もないですが、自分の表現方法を広げてくれそうなキーボードだと思っています。
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KORG「WAVEDRUM Global Edition」
パーカッションシンセサイザーであるKORG WAVEDRUMは、叩くポイントや強さで音色が劇的に変化するという革新的な構造で、パーカッション系のプレイヤーはもちろん、ミュージシャン全般から今注目を集めている人気の機材です。たむらぱんさんは、パーカッショニストのASA-CHANGにその魅力を伝授され一目惚れ。最近ようやく手に入れることができたとのこと。
たむら:曲作りの前に、WAVEDRUMを叩くだけでテンションが上がります(笑)。もともと200種類くらいの音のプログラムが入っているのですが、1つのプログラムだけでも、叩く位置や強さによって音が全く変わるので飽きないし、延々と叩いてしまいます(笑)。演奏していると、あるポイントを叩いたときに思いもよらない音が出たりもするので、それぞれが全然別の楽器みたいで、同じような使い方ができないというか、使う人の個性がすごく反映される楽器だと思います。早くライブでも使ってみたいですね。
取材当日は天候にも恵まれたこともあり、インタビューはスタジオに併設されたバルコニーで行ないました。郊外の大自然に囲まれたスタジオも魅力的ですが、都内の閑静な住宅街にひっそりとたたずむ隠れ家的なスタジオもまた一興。たむらぱんさんは持ち前のユニークな感性を武器に、大都市に氾濫する情報に流されずに自分のペースを保ちながら、さまざまな要素を吸収してアウトプットしています。そんな彼女にとって都心のスタジオというのは、まさに最適な環境なのだろうと感じました。この先に彼女がこの部屋から創り出す音楽を想像するだけでも、期待に胸が高鳴ってしまいます。
- コンピューター
- APPLE「Mac Pro」
- DAWソフト
- AVID「Pro Tools 10」
- オーディオインターフェース
- RME「Fireface800」
- MIDIキーボード
- KORG「microKEY-37」
- 音源
- KORG「microKORG」
- KORG「KROSS-88」
- KORG「WAVEDRUM Global Edition」
- ZOOM「MRS-1608」
- YAMAHA 「CP」
- エフェクター
- KORG「TONEWORKS AX1500G」
- アウトボード
- MANLEY「Dual Mono Microphone Pre Amplifier」
- DRAWMER「1960」
- UNIVERSAL AUDIO「1176LN」
- マイク
- NEUMANN「U87Ai」
- SEIDE「PC-ME」
- MXL 「V67」
- その他
- GENELEC「1032A」
- YAMAHA「MSP5A」
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たむらぱん『ココ』初回限定盤(2CD)
2013年10月23日発売
価格:1,575円(税込)
COCC-16794/5
[DISC1]
1. ココ
2. 自分を
[DISC2]
・京騒戯画特典ラジオCD(釘宮理恵、鈴村健一ら出演) -
たむらぱん『ココ』通常盤(CD)
2013年10月23日発売
価格:1,050円(税込)
COCC-16793
1. ココ
2. 自分を
『たむらぱん ワンマンライブ 2014』
2014年2月12日(水)OPEN 18:30 / START 19:30
会場:大阪府 心斎橋 Shinsaibashi BIGCAT
2014年2月21日(金)OPEN 18:30 / START 19:30
会場:東京都 お台場 Zepp Tokyo
料金:前売5,000円(ドリンク別)
※4歳以上有料、詳細はオフィシャルウェブサイトまで
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