スタジオに集められた
ライブを彩る機材たち
「monogram sounds」は、野崎さんが所属する事務所スタイリズムが所有するレコーディングスタジオ。もともと音楽プロデューサーの故・佐久間正英さんが使用していたこのスタジオは、Pro Toolsを中心に各種の豊富なアウトボードを組み上げた47平方メートルのコントロールルームとレコーディングブースを備え、ミキシングからレコーディングまで幅広く対応できる本格的な仕様となっています。数年前に野崎さんは自宅に音楽スタジオを作ろうと思い立ち、参考までにいくつかレコーディングスタジオを見て回っているときに、縁あって出会ったのがこのスタジオだったそう。現在は自宅スタジオでの作業に加えて、レコーディングやミキシングをこのスタジオで行っているようです。ここでは野崎さんが最近のライブ活動で重宝している機材を中心に紹介していきましょう。
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KORG「KAOSS PAD KP3+」「KAOSSILATOR PRO+」「kaossilator 2」
タッチパネル操作で感覚的にエフェクトを操れる「KAOSS PAD KP3+」、同じくタッチパネルで演奏できるシンセサイザー「KAOSSILATOR PRO+」、手のひらサイズの「kaossilator 2」。これらはDJプレイやライブにおける直感的な操作感で、特にダンスミュージック系のクリエイターに人気の高いモデルです。野崎さんも3台所有するだけあり、重宝している機材のようです。
野崎:KAOSS PADはDJ系ミュージシャンを想定した機材ですが、僕は音楽の制作や演奏中にも愛用しています。例えばキーボードを弾きながら、KAOSS PADを使ってリアルタイムでフィルターを開け閉めしたり、あとはレコードストップのエフェクトをボーカルにかけると面白い音になりますよ。KAOSS PADはもともとDJやライブ用に作られているので、いい意味でエフェクトのかかりが荒くて、そこがいい味を出してくれます。KAOSSILATORはループレコーディングできるので、ライブ中に演奏している音を録音して重ねたりするときに重宝しています。kaossilator 2は指で触れた位置によって様々にエフェクトがかったリズムパターンを演奏できるのですが、ライブなどでリズムボックスの代わりにして、途中から生のドラムに差し替えて雰囲気を変えるのに使っていますね。
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BOSS「RC-505」
足元で操作できるループマシンとして人気のあるRCシリーズにとって、初となるテーブルトップ型モデルがこのRC-505。手元で操作するように開発され、さまざまな楽器の演奏を即時にレコーディングしてループさせることで、多彩なパフォーマンスを可能とするライブ向けの機材です。
野崎:まだ導入して間もないので、試行錯誤中ですが、手元で操作しやすいので、キーボードで演奏したフレーズを重ねていったり、コンピューターで作った音をRC-505に読み込んで、ライブ中にテンポを合わせて再生したりしています。各ループセクションごとにフェーダーでレベルを設定できて使いやすいですね。
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ACE TONE「RHYTHM ACE」
見るからに風格のあるたたずまいを持つこちらは、1960年代後半に日本の電子機器メーカー、エース電子工業が製造したプリセットリズム付きのリズムマシン。昔のオルガンに付属していたリズムボックスをイメージさせるような、アナログ機材ならではの暖かいリズムの音色が特徴です。
野崎:これは通称「チャカポコマシーン」と呼ばれていたもので、10年くらい前に購入しました。僕はツマミが外に出ているとか、アナログな機材が好きで、オモチャのような楽器をたくさん集めているのですが、その中でもこれは実戦でも使っている機材です。一見内蔵リズムだけしか再生できなさそうですが、実は細かい設定もできてバスドラムの音だけを出せたりもします。ライブでもよく使いますが、とにかく太くていい音なので、レコーディングにもたびたび登場するアイテムです。
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littleBits「Synth Kit」
コルグとアメリカのlittleBits社が共同開発した「Synth Kit」は、シンセサイザーを構成する各要素がバラバラのモジュールになっており、それぞれのパーツを磁石でパチパチと組み替えることで、さまざまな電子音を奏でることができます。工作キットのように見えて、実はちゃんとしたモジュラーシンセでもあるガジェット楽器として注目されています。
野崎:僕はもともとモジュラーシンセが好きなのですが、これはシンセの回路の仕組みや構造を理解するための勉強にもなる道具ですよね。littleBitsのキットはよくできていて、間違った回路の組み合わせをしようとすると、端についている磁石が反発して接続できないようになっているんですよ。それにヘッドフォンで聴いてみると音質もいいので、今後ライブ中の1つのパフォーマンスとして使おうと思っています。
長年にわたりダンスミュージックシーンの第一線で活躍してきたJazztronik。洗練されたポップなダンスミュージックという枠を越え、幼少期からの憧れでもあった映画音楽をテーマにした『Cinematic』を経た今、Jazztronikは活動の第二章を迎えたのかもしれません。CDの売れゆきよりも、自分が本当にやりたい音楽ができているかが大事だと、熱い思いを語ってくれた野崎さんにとって、本当の音楽家人生はまだまだこれからのように感じました。
- コンピューター
- アップル「Mac Pro」
- DAWソフト
- ABLETON「Live」
- Avid「Pro Tools|HD」
- オーディオインターフェース
- Avid「192 I/O」
- モニタースピーカー
- AURATONE 5PSC
- GENELEC 8040A
- TANNOY Arden 2
- YAMAHA NS-10M
- 音源
- NATIVE INSTRUMENTS「Komplete」
- LENNAR DIGITAL「Sylenth 1」
- シンセ
- KORG「KAOSSILATOR PRO+」
- KORG「kaossilator 2」
- littleBits「Synth Kit」
- ALESIS「Andromeda」
- ARP「Odyssey」
- ARTURIA 「Minibrute」
- NORD 「Nord Lead」
- NOVATION「Bass Station II」
- SEQUENTIAL CIRCUITS「Prophet-5」
- キーボード / ワークステーション
- KORG「KROME-88」
- リズムマシン
- ACE TONE「RHYTHM ACE」
- ROLAND 「TR-808」「TR-909」
- エフェクター
- KORG「KAOSS PAD KP3+」
- コントローラー
- KORG「taktile-49」
- アウトボード
- EMPIRICAL LABS 「Distressor」
- MOOG 「Parametric EQ」
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JAZZTRONIK『Cinematic』(CD)
2014年4月9日発売
価格:1,994円(税込)
JKT-0003
[収録楽曲]
1. The Storyteller
2. Caravan
3. A Night In Venezia
4. Manon And Giorgia
5. Chromatic Suite - Boucher
6. Chromatic Suite - Decadanse
7. Chromatic Suite - Marquis
8. La Marea
『The Fields』Vol.2
日時:2014年5月6日(火・振休) OPEN 18:30 / START 19:00
会場:東京都 Musicasa
料金:前売3,500円、当日4,000円(ドリンク別)
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