都内十数カ所にダンスや演劇などのプロアーティストを派遣し、ワークショップを行う「パフォーマンスキッズ・トーキョー」。自主性や創造性の向上を目的とし、アーティストと子供たちが一緒に舞台作品を創作し、発表する試みです。では、参加した子供たちは実際にはどのように感じていたのでしょうか? 参加者のひとりである小学校4年生の女の子に話を聞き、プロジェクトの意義と楽しさを探りました。
(インタビュー・テキスト:田島太陽 撮影:寺島由里佳)
子供たちが自主的に創作した、30分のダンス空間
学校ではジオラマなどを制作する手作りクラブに在籍し、放課後は習字の習い事に通う。そんな普通の小学生の女の子がワークショップに参加したのは「お父さんが勝手に応募してたから」というきっかけでした。本人は乗り気でなく、当初はイヤイヤながら通っていたそう。運動会でダンスを間違えて同級生に怒られた経験から、踊ることが嫌いになっていたことがワークショップに行きたくない理由だったようです。しかし3回ほど通ってから、心境に変化が生まれます。「休憩時間におしゃべりしたり一緒に踊っているうちに、みんなとも先生とも仲良くなったんです。そうしたら行くのが楽しみになりました」
このワークショップは、8回のレッスンののちにお客さんの前でダンス作品を発表するというスケジュールでした。30分間のステージ内容は、子供たち自身が考えたかっこいいと思う動きを講師の東野祥子さんに見せ、アドバイスをもらいながら振付を決めていく方法をとったそう。「レッスン」「練習」という雰囲気はなく、みんなで体を動かして遊ぶ感覚でダンスを作っていったことで子供同士の仲も自然と深まり、生き生きした発表となったのです。
吉祥寺シアター ワークショップ
学校では学べない、「間違ってもいい」自由なダンス表現
本番では緊張することなく舞台に立てたそう。一緒に踊る友達や、客席にいる両親の顔を見る余裕もあり、「とても楽しかった!」と振り返ります。その理由は、自由に踊ることができたから。「学芸会でセリフを間違えちゃったことがあって、その時すごく恥ずかしかったんです。でも今回は先生が『間違えてもいいから楽しくやろう』と言ってくれてたので、全然大丈夫でした」
また、発表を見たお父さんは感想をこう話してくれました。「本当に立派なステージで感動しました。私だけでなく、家族もみんなびっくりしていました」。まだ子供だと思っていた我が子が、ステージで堂々とパフォーマンスを披露する。その姿はかなり大きな驚きだったようです。「自信がついたのか、家での様子も少し変わった気がするんです」と、その後の変化も感じているそう。
吉祥寺シアター 発表公演 ©鹿島聖子
学校ではできない体験を経て、得たものはなんだったのでしょう? そう聞いても「分かりません」とはにかむだけ。そこで質問を変えて「ワークショップのことを学校の友達にも教えてあげたい?」と聞くと?「自由に踊るダンスは初めてで、学校ではやったことなかったんです。だから、それが楽しいよってみんなに言いたいです」。
その他、東京にはたくさんの文化プログラムがあります!
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