アシスタントをあまり使わずスピード勝負
写真をデジタル処理した背景画像と手描きの原稿を組み合わせることで完成している浅野作品。この方法で制作するようになったのは『素晴らしい世界』の頃から。それまではなるべく実写風に手描きした背景をPCに取り込み、Photoshopで色を塗っていました。「スクリーントーンを手張りする作業ってすごい時間がかかるし、苦手だったんです。それでデビュー後すぐにデジタルを使うようになりました」。しかし思った通りの背景が描けないことがコンプレックスとなり、すぐに写真を使用する方法に移行しました。
連載を持っていると、仕事の全てはスピード勝負。特に浅野さんはアシスタントをあまり使っていないため、最低限の作業量でクオリティを上げることをいつも考えているそう。文房具などのアナログツールについても、「あまり色々なものを揃えると補充が大変なので、世界堂とコンビニで全て揃うようにしています」というこだわりも。
それではいよいよ、浅野さんの仕事を支えるヒミツ道具をご紹介します!
ペンタブレット
パソコンでの作業はマウスを一切使わず、すべてペンタブレットで操作している浅野さん。主に背景画像の加工や色塗り、劇中での時間や光源に合わせての影入れ、手描き原稿との合成などをPhotoshopとペンタブレットで行っています。特に背景に関しては「僕が描いている漫画はキャラがいなくても背景があればいいくらいに思っているので、そこは手を抜けないです」と強いこだわりが。
「買ったのはもう8年くらい前です。それまではマウスでやっていたんですが、ペンタブレットにしたら筆圧も感知してくれるので、手描きと変わらない感覚で使えるようになりました。比べ物にならないくらい仕事が早くなりましたね」
デジカメで撮った写真を線画に加工して大量にストックしてあり、場面に応じてセレクトして使っていくそう。1話ごとに10枚以上使用していて、『おやすみプンプン』だけでも計1000枚以上! その全てを生み出したのがこのペンタブレットであり、今では浅野さんの作品にはなくてはならないパートナーです。
「Intuos4からはタッチホイールがついたので、筆の太さの変更や画像の拡大縮小も劇的に早くなりました。あと個人的に感動したのは、ペン立ての中に替え芯をしまえる仕様になってること。それまではすぐ無くしちゃってたんで、すごく助かってます」
Gペン(タチカワペン)
各種のペンを試した結果、いちばん細い線が描けるという理由で使い続けているGペン。デビュー当時から同じものを使い続け、他の種類は使ったことがないそう。かなり細い線で構成されている浅野さんの作品を支える、重要な道具です。
「ペン先って金属なので、質が結構バラバラなんです。僕の場合、描きづらいものだと細い線を描けるからアタリ。普通にサーっと描けるものはハズレなんです。毎朝10本くらい試してアタリを探し、見つかったらそれを1日中使います。忙しい時期だと、数時間で交換したりもしますね」
水色のシャーペン芯
下書きでいつも使っているのは、水色の芯を入れたシャープペン。これで描いた線はスキャナーが読み取らないため、PCに取り込むと下書きが勝手に消えてくれるのだそう。「下書きを消しゴムで消すのって結構時間かかるんですよ。これは普通に文房具屋で売っているし、ずっと昔から使ってますね」
パワーショットG10
背景用写真の撮影にいつも使っている1300万画素のデジカメ。昔からこのシリーズを使い続けており、これで3台目。カメラに詳しいと思われることも多いそうですが、実は全くの素人で、撮影はいつもオートモードで撮っているそうです。
「選んだ理由は…見た目ですかね(笑)。本当にカメラには詳しくないんですよ」と浅野さん。他に選んだポイントはなかったんですか? 「単純に、画像サイズが大きいことが重要なんです。背景用に加工する時にかなり拡大して作業したりするので、小さい画像だと汚くなったりしちゃう。だから昔の写真データってもう使う気にならないんですよ。700万画素くらいのカメラで撮ったものは、もう小さくて使えないですね」
ギター
気分転換をしたい時によく弾いているというギター。楽譜を覚えるのが苦手なため、なにも考えずに適当に弾くことが多いそう。時間がある時はミキサーに接続して録音することも! 学生時代はバンドをやっていたこともあり、その腕前もなかなかのもの。
「iPadの中に楽器ソフトを大量に入れて遊んだりもしてたんですけど、やっぱりギターのほうが楽しいですよね。全然手入れしてないので、あまりお見せするのは恥ずかしいんですけど…」ちなみに「ギターを持った写真を撮らせてください」とスタッフがお願いしたところ、「それだけは恥ずかしいので勘弁して下さい(笑)」と断られてしまいました。
猫(スコティッシュフォールド)
2年前に衝動的に飼い始めたという猫。名前はリモコン。取材中もスタッフの足にすり寄ってくる、人懐っこい子でした。仕事の合間にはリモコンと戯れて息抜きをすることも。
「実家で犬を飼っていて、世話が結構大変だったのでもう動物はムリだなって思ってたんです。でも猫はなにもしなくていいので、本当にラクですよ。作業台の上が好きらしくて、よくここにいるんです。描いてる時もフラっときたりするんで、本当に忙しい時は部屋のドア締めちゃうんですけどね(笑)」
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