美しい線を描くため、使い続けるペン
世田谷区太子堂にあるビル5階の見渡しが良いオフィス。近くに世田谷公園や昭和女子大があり、窓を開けるとたくさんの緑が目に飛び込んできます。ライターやカメラマンとオフィスをシェアしていて、黒田さんが作業する1室にはこだわりの「ヒミツ道具」がぎっしり。今回は、そのなかでも特に黒田さんのクリエイティブを支えるうえで重要なヒミツ道具を4つ紹介してもらいました。
植物
生き物をモチーフにイラストを描き続けている黒田さんにとって、手の届く範囲に植物があるかどうかはとても重要なこと。最寄り駅の三軒茶屋で必ず花を購入してきて、オフィスに置くようにしているそうです。
黒田:常に植物が目に入るようにして、脳にその感覚をインプットするように心掛けています。資料だけで描いたイラストではなく、やはり本物からインスパイアを受けた作品の方が、観る者に訴えかける力がありますから。
ステッドラーとユニの鉛筆
ステッドラーは線をシャープに描くとき、ユニは柔らかいタッチにしたいときに使用するそう。線の美しさにこだわりを持っている黒田さんは、鉛筆削りは使わずに、カッターで芯の太さを微調整していきます。その作業を拝見させていただいたのですが、まるで伝統工芸品を作る職人のような手さばきでした。
黒田:いつもそうなんですけど、鉛筆は余分に多く買っておいて、机の上に重ねて置いておきます。そうすることで、「これが無くなるまで描け!」という自分へのプレッシャーになるんです(笑)。
呉竹の「筆ごこち」
墨、書道用具メーカーの呉竹が販売する筆風サインペン。2003年の独立時から同じ商品を使い続けていて、「生産停止になったらどうしよう」と心配するほど愛用しているのだとか。もともとは、面相筆を使用していたそうですが、「筆ごこち」の方が安定した太さの線を描けることが魅力。また、水性なのですぐに乾いて手が汚れないことも、この商品を愛用している理由の1つなんだそうです。
ペンタブレット
黒田さんは以前から、パス抜きの作業でワコムのペンタブレットを使用されているそうです。
黒田:もともとペンタブレットはデザイナーの友人から勧められて2004年くらいから使い始めました。マウスより筆に近い感覚で作業できるので重宝しています。
軽い力での描画が可能になり、より精度の高い作業が行えるようになったIntuos5には黒田さんも「以前使っていたものより、スムーズに線を描くことができます」とその性能に満足していました。さらに、約10メートル離れた場所からでもワイヤレスで操作できることについても、「普段の作業が快適になるだけでなく、ライブペイントなんかにも使えそうですね」と可能性を感じているようでした。
鉛筆や筆風サインペンなど、一度手に馴染んだ商品を使い続ける黒田さんの姿勢には、道具への並々ならぬ愛着が感じられます。植物やペンタブレットも含め、黒田さんが描く独特な線を支えている「ヒミツ道具」たち。これだけ大切に使ってもらえれば、きっと彼らも幸せに感じているはずです。あなたも一生を添い遂げる「ヒミツ道具」を見つけてみては?
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