稲葉さんのヒミツ道具をご紹介!
基本を押さえ、長く大事に使われてきたヒミツ道具たち
東京・恵比寿の高台にある、とても大きなROBOTのオフィス。受付にはさまざまな会社の人たちが、入れ替わり立ち替わり制作の打ち合わせに訪れているようでした。そんなオシャレなROBOTのビルの、とある階が「ROBOT CAGE」のスペースです。他のオフィスとは一風変わった「部室」のような雰囲気。その一角に稲葉さんの仕事場がありました。まるで部室のようなヒミツ基地で、稲葉さんの創作を支えるヒミツ道具をご紹介いただきましょう。
『藤子不二雄まんがスクール』
藤子不二雄による、子どもに向けて書かれた漫画教則本。400ページ近いボリュームで、漫画やアニメーションの作り方、コツ、心構えを伝授。仕事部屋や机の上の道具配置といった、漫画家という仕事の隅々までを多くのイラストを使用して紹介しています。
稲葉:これは兄と一緒に漫画家を目指していた小学生の頃から『まんが道』と一緒にずっと身近に持っていて、この仕事場でも手の届くところに必ず置いています。投稿の方法まで詳しく書いてあるのですが、僕らは結局投稿には至りませんでした。でも、僕にとっては今でもバイブルです。
タップ
アニメーションを描く際に、誰もが最初に手にする道具、動画用紙とタップ。動画用紙の穴を重ねて固定し、束ねた用紙にコマを描いていくことで、僅かな描線の差が動きとなって見えるのです。
稲葉:アニメーション作家の道具と言えばこれ、ということで選びました。『ゴールデンタイム』では20,000枚の動画用紙を使いました。京都のアパートで『ハルちゃん』を作っていた頃から、ずっと変わっていないツールです。
カランダッシュ社のオイルパステル
スイスの文房具メーカーによる一品。色鉛筆ほど薄くなく、クレヨンほどベタつかず、さらには水でボカすと、水彩のタッチまで表現できる万能ツールです。
稲葉:すごく描き味が良くて、4月に表参道のPinpoint Galleryで行なう原画展でもたくさん使っています。力の入れ具合で表現の幅を自由に変えられるのと、色を塗り重ねても彩度が落ちないので気に入っています。とは言っても、よく使うのは暗い色が多いのですが(笑)。
液晶ペンタブレット「Cintiq 13HD」
ROBOTに入社してからデジタル制作に目覚め、使い始めたというペンタブレット。今や稲葉さんのアニメーション制作には絶対に欠かすことのできない相棒です。
稲葉:ペンタブレットを使い始めて10年以上、Cintiq 13HDは半年くらい使っています。それまでは板型ペンタブレットを使っていたのですが、やはり液晶ペンタブレットを使えば、作画は紙のように直感的に描けるし、動画編集の細かい作業もペン先で直接行なえるので、想像以上に便利です。また、デュアルモニター機能をつかえば、動画編集の際にプレビューとして使えたり、画面も圧倒的に広く使えます。スタッフもみんなペンタブレットを使っていますね。
アナログ / デジタルに関わらず、気に入ったものを長く使い、手の届く範囲に置かれているのが印象的だった稲葉さんの作業スペース。「ROBOT CAGE」フロアの奥には、大先輩の野村辰寿さんが自作したというコマ撮り撮影用の線画台もあって、「秘密基地」感にあふれる仕事場でした。
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