
「休憩中はいつも外で過ごしているんです。煮詰まったときは2、3時間くらい出ていますね」と、急な坂スタジオを後にして、藤田さんの足は公園を抜け、住宅街の中へと向かって行きます。「ここです」という、その視線の先にあったのは、今はもう使われなくなってしまった廃団地。では、その魅力とは何なのでしょうか?「この場所が『歴史』になっているのがいいんですね。人が住んでいたら、その場所は住んでいる人のものですが、誰も住んでいなければ、みんなに共有される記憶になります」。ここでも、藤田さんの重要なテーマである「記憶」が浮かび上がってきます。
「ここから見るランドマークタワーの眺めが最高なんです」という藤田さんの案内を受けたどりついた場所からは、団地と団地の間にひょっこりとそびえるランドマークタワーが見えました。廃団地とランドマークタワーという、相反する2つの横浜の姿が溶け合った不思議な空間が、そこには広がっていました。




続いて、桜木町駅をまたぎ「ヨコハマ創造都市センター(YCC)」へと足を向けます。1929年に建築された旧第一銀行横浜支店の建物を移転改築したこの建物。近代の雰囲気を今に伝えるこのオシャレな施設では、アートイベントや、雑誌・CMなどの撮影も行われています。
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しかし、そんなYCCで藤田さんが行ったのは、なんと「エア・バレーボール」という聞き慣れない競技。いったいどのようなものなんでしょうか?「ボールを使わないで行うバレーボールです。フェスティバル/トーキョーで発表した『ハロースクール、バイバイ』の劇中に、バレーボールをするシーンがあったんですが、このエア・バレーボールを競技として、白神ももこさん率いるモモンガ・コンプレックスっていうダンスカンパニーのチームと対決したんです」と熱弁する藤田さん。しかし、いくら話を聞いてもその内容がよく理解できません…。YCCの池尻美紀さんも、初めて「エア・バレーボールをやりたい」という話を藤田さんから持ちかけられた当時を振り返り「全然意味がわからなかったんですよ」と笑います。けれどもその熱意に押され、とりあえずやってみようということになったエア・バレーボール対決。ユニフォームも揃え、USTREAMでの配信も行ったこの戦いは、意外にも(?)アーティストや街行く人々などがその真剣なバレーボール姿に引きつけられ、大盛況のうちに幕を閉じたといいます。ちなみにその勝敗は「一応、ウチが勝ったみたいですね」…勝敗の基準は、いまもって謎に包まれたままです。
また、横浜にちなんだ様々なアートグッズの販売も行っているYCC。書籍や雑貨などの他に、急な坂スタジオのレジデンスアーティスト矢内原美邦さんが率いるクリエイター集団ニブロールメンバーで、ファッションデザイナーの矢内原充志さんが手がける「ニブロールアバウトストリート」のトートバッグや障がい者と共同製作したファブリック製品なども販売しています。ここで藤田さんの触手が動いたのは、点字新聞を再利用してつくられたノートと、縫製用紙を使ったノート。「気に入ったノートを見つけると、つい買っちゃうんです」という藤田さん。この2冊のノートから生まれてくる新しい物語を楽しみにしたいところです。



お気に入りのノートを見つけ、大満足の藤田さんがこの日最後に訪れたのは桜木町駅近くにある「缶詰BAR キンコンカン」。缶詰製品を取り扱うという一風変わったコンセプトのこのバーは、昨年のオープン以来、横浜で働くサラリーマンや、近所の人々、観光客などの憩いの場所となっています。
取り扱う缶詰は80種類以上。数百円の手軽な缶詰から5,000円の「フカヒレ姿煮の缶詰」まで、幅広い世界を楽しめるこのお店。数ある缶詰の中でもSPAMがいちばんのお気に入りという藤田さんですが、本日はオイルサーディーンをセレクト。缶詰の上に盛りつけられたタマネギとのハーモニーはとても缶詰の味とは思えません。もちろんBARの名前に恥じることなく、日本酒、焼酎など計100種以上の幅広いお酒を取り揃えるキンコンカン。全国各地から集めた缶詰とも相性抜群のレアなお酒がグイグイ進み、藤田さんはほろ酔い気分で店を後にしていました。



200を超えるイベントを網羅した特設公式ホームページには、エリア別や、ジャンルと期間を自由に組み合わせてのイベント検索機能が備わっているほか、1000人を超える横浜ゆかりの人々から寄せられた横浜の『おすすめ』情報が掲載された手書きの「横浜からの招待状」を閲覧可能。ホームページには、モバイルサイトが併設されており、携帯電話からも閲覧可能です。
http://www.invitation-yokohama.jp/
8/6(土)〜11/6(日)
時間:11:00 - 18:00 ※入場は17:30まで
休場日:8・9月の毎週木曜日、10月13日(木)、10月27日(木)
会場:横浜美術館、日本郵船海岸通倉庫(BankART Studio NYK)、その他周辺地域
料金・その他:詳細はHPで
http://www.yokohamatriennale.jp/
8/19(金)〜8/21(日)
会場:シネマ・ジャック&ベティ
料金:一般 1,500円、小中高・シニア 1,000円
音楽が素敵な映画、音楽ドキュメンタリー映画など厳選された音楽映画を上映する映画祭。横浜最大のゴスペルイベント【横濱ゴスペル祭】(8/27 神奈川県民ホール)との連動のほか、周辺地域との連動イベント・音楽 LIVE などを展開。 奇跡の歌声を持つ盲目のピアノシンガー木下航志のドキュメンタリー「キシタコウシ」から、ハートウォーミングな音楽映画までを上映する。
http://www.ft-kids.jp/happy/
9/9(金)〜9/10(土)
会場:創造空間万国橋SOKO及び周辺
料金:無料 ※ただし、内容によっては一部有料もしくは材料費など実費
創造空間万国橋 SOKO の入居者が開催する、万国博覧会ならぬ万国橋覧会。恒例、外壁へのプロジェクションも行われる。
http://ameblo.jp/bankokuhashirankai/
8/14(日)〜8/16(火) ※8/14(日) 16:00、8/15(月)、8/16(火) 13:00/17:00
会場:KAAT神奈川芸術劇場
料金:SS12,000 円、S9,000 円、A6,000 円、B3,000 円、イス付立見席 2,000 円
現代美術作家の杉本博司が、構成、演出、舞台美術、映像を手掛ける文楽公演『杉本文楽 曾根崎心中』。近年伝統芸能に意欲的に取り組んできた杉本博司が、近松門左衛門の代表作『曾根崎心中付り観音廻り』 に独自の解釈を加えて上演する。
http://sugimoto-bunraku.com/
8/6(土)、8/20(土) 16:00 - 21:00 雨天中止
会場:吉田町メイン通り
料金:無料
吉田町の各お店が、自慢料理やビール、カクテルで迎える。
8/6は盆踊りと和太鼓、縁台将棋や金魚すくい、ヨーヨー、ベーゴマなどの縁日を、8/20はジャズの生演奏と国内外で活躍しているファイヤーパフォーマンス集団「火付盗賊」の炎の迫力ある演出が楽しめる。
http://www.yoshidamachi.org/
8/6(土)18:30
会場:横浜市内(公演会場は参加者のみに通知)
料金:無料 ※参加事前申込必要 詳細は、STスポットHPへ
http://www.stspot.jp/index2.html
英国のアーティストユニットのサーカムスタンスによる、街を舞台にした観客参加型のパフォーマンス『サトルモブ:これが最後であるかのように』が、横浜トリエンナーレのオープニングにあわせて開催される。参加者は、事前に指定されたウェブサイトから、MP3のサウンドトラックを携帯やiPodなど各自の端末にダウンロード。イベント当日、地図に示された場所に集合し、サウンドトラックを再生してストーリーをスタートさせる。都市を舞台に参加者それぞれが役者にも観客にもなり、他の参加者と同じ時間を共有できる体験として、世界各地で話題を呼んでいる演劇が体験できる。
http://subtlemob.com/
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