2013年に北欧で行われた「ノルディック・バリスタ・カップ」で、台北の『Fika Fika Cafe』がアジアで初めてチャンピオンに輝いたり、コーヒー豆の産地としても注目を集める台湾。台湾で美味しいコーヒーが楽しめるのは今や当たり前で、近年では、カフェのコンセプトデザイン、インテリア、そしてフードにこだわりを持つお店が増えてきました。 今回は、そんな台北で3月24日・3月25日に開催された『Culture & Coffee Festival in Taipei』に、インディーズバンドのMVやインデペンデント映画への出演で台湾のミレニアル世代から支持を集めるモデル・王 真琳(シンシン)と一緒に、「台湾のコーヒーカルチャーの今」をデザインの観点から探してみることに。今の台湾のコーヒーシーンはどんなものでしょう?
※本記事は『HereNow』にて過去に掲載された記事です。
1回分だけのコーヒー豆を売る!? 『CAFE SOLÉ 日出印象咖啡館』
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3月24日・3月25日の二日間、台北市のカルチャー発信スポット『松山文創園区』で、第2回『Culture & Coffee Festival in Taipei』が開催されました。60を超えるブースが、倉庫をリノベーションした展示会場に並びました。多くの人でにぎわう場内を一巡りして、シンシンが一番最初に向かったのは、台北市内の人気のカフェ『CAFE SOLÉ 日出印象咖啡館』のブース。
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ブース一面に並べられたのは20グラムずつに小分けされたコーヒー豆。この20グラムというのはちょうどコーヒーを1回淹れるときの分量なんだとか。台中や阿里山など、台湾の地名が付けられた小さなパッケージにシンシンの手が思わず伸びました。イベント初日には台湾産のコーヒー豆3種類と、その他地域の9種類のコーヒー豆があったそうですが、初日に飛ぶように売れ、私たちが会場に足を運んだ2日目には2種類しか残ってないほどの人気。
シンシン:この分量でコーヒー豆がパッケージされているの、初めて見ました。でも、この大きさはちょうどいいね。友達にちょっと何かあげたいときにピッタリのサイズ感。
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「コーヒーって本当に色んな風味があって、人によって好きなフレーバーが違いますよね。だから、いきなり200グラムのコーヒー豆を買って渡すのはちょっと危険。でも自分が飲んで感動したコーヒーの味は伝えたい。そんな自分が感じた“こんなのあればいいな”をもとに商品化しました」と話すのは、『CAFE SOLÉ 日出印象咖啡館』の店長さん。
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店主さんの贈り物に対する小さな心遣いに触れたというシンシン。そして次に目が止まったのは、森の中のお菓子屋さんのような『Bakki Handmade』のブースです。
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ブース空間をデザインするのは当たり前!? 『Bakki Handmade』&『佔空間Artqpie』
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台中からやってきた手作りお菓子のお店『Bakki Handmade』と、インデペンデント書店『佔空間Artqpie』の合同ブース。台中のクリエイティブシーンを牽引する彼らが作り上げるブースは、毎回どんなイベントの中でも注目を集めます。今回のイベントでもポスターや什器を配置しブースづくりをする出店者が多い中、植物を大胆に使った展開でひときわ目立っていました。
シンシン:屋内のイベントなのに、植物がたくさんブースの周りにある。コーヒー豆の茶色のブースが立ち並ぶ中で、ここはオアシスみたい。実は私も以前、台中の『佔空間Artqpie』には行ったことがあります。このブースは緑いっぱいの台中の『佔空間Artqpie』、そのままの雰囲気がしますね。
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「毎回イベントに出店するときは、ただ出てものを売るだけではなく、自分たちの色をどうやって出せるかなということを考えてブースづくりをしています。満足いくブースが作れたら、来てくれたお客さんが楽しいのはもちろんのこと、中にいる自分たちも楽しいですから」というのは、『佔空間Artqpie』の店主である張さん。
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台湾全土からやってきたカフェや菓子店のパッケージ・ブースのデザインを観察した後、せっかくだから美味しいコーヒーを飲んで、何か食べたいなと話すシンシン。何か新しい発見がないかとイベント会場をあちらこちらと見渡します。
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台中は、パン好き達のメッカ!? 『CHEESE LOVES CAKE』
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パンが焼ける香ばしい匂いに誘われ歩きだすシンシン。次にたどり着いたのは台中市からやってきた『CHEESE LOVES CAKE』。顔を近づけておしそうなパンをまじまじと眺めます。台中はパンの世界チャンピオン『吳寶春(ウーバオチュン)』など有名なパン屋さんが多く、シンシンもいつも遊びに出かけるたびにパン屋巡りをしているのだとか。
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どのパンにするか決めきれないシンシンに、店主さんがおすすめしてくれたのはヨーロッパ風キャラメルコーヒー味のパン。これはキャラメルコーヒーが練りこまれたパン生地の中に、特製のチーズクリームが入っている逸品。シンシンはさっそくパンを片手に会場の外に飛び出していきます。
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シンシン:ハードなパン生地をガシッと噛むと、キャラメルコーヒー味が口中に広がる。そしてパンの中には甘いクリームチーズ。口に入れる場所を変えれば、全く違うパンを食べているみたい。
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そして『CHEESE LOVES CAKE』のパンとともに私たちを連れ出したのが、イベント会場である『松山文創園区』のすぐ近くにあるカフェ『Drip Cafe 好滴』へ。
本格的なハンドドリップコーヒーが楽しめるカフェとして人気の『Drip Cafe 好滴』。2013年の開店以来、「新鮮でヘルシーでおいしいコーヒーを届ける」をコンセプトにしてきたこのお店の新作は、牛乳の中にコーヒーから作られた氷を入れたコーヒー牛乳だそう。ボトルの中で、コーヒー氷が少しずつ溶けて、白いミルクとマーブルのように混ざり合います。
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シンシン:見た目の変化も面白いけど、このコーヒー牛乳は、一口一口味が変わっていくのが楽しい。台湾の夏ってホントに暑いけど、暑いお天気じゃなきゃこのコーヒー牛乳は楽しめないもんね。
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お腹を満たし、のどを潤わせ、また会場に戻ったシンシンが訪れたのは、『山鳩舎』のブース。
シンシンがずっと欲しかったTシャツに出会えた『山鳩舎』
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『山鳩舎』は長野県松本市をベースとして活動をする、ウェブデザイナーとイラストレーターによるユニット。また彼らは夏限定でコーヒーの焙煎もしているそう。当日イベント内ではオリジナルコーヒーをモチーフにしたTシャツやバッグなども販売していました。
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もともとイラストレーター・ミヤギチカさんのファンだったシンシンは、「ずっと欲しかった!」との一言ともにTシャツをお買い上げ。さっそくそのTシャツに着替えて私たちを会場外に再び連れ出します。
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シンシン:ミヤギさんのイラストは日本の雑誌を見ているとよく目にします。シンプルなんだけど、くすっと笑えるようなテイストが大好き。台湾でもよく個展開催したり、アーティストとコラボレーションをされているそうですよ。次回は私もこのTシャツを着て、見に行きたい。
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最後に1日をかけて全てのブースを一緒に巡ったシンシンに『Culture & Coffee Festival in Taipei』の感想を聞いてみることに。
シンシン:今回は「コーヒーの味」だけではなく、商品のパッケージ、ブース、商品が産まれるまでのプロセスとか、違った角度で日台のコーヒーシーンを見れて楽しかった。カフェってコーヒーだけを楽しむ場所ではなくて、その周囲のカルチャーをまるごと楽しむ場所になってきているんだなと。これから、今日気になったブースのお店を、一店一店訪ねてみるつもり。
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今回2回目の開催となった『Culture & Coffee Festival in Taipei』。シンシンが話してくれた通り前回と比べると「コーヒー」だけを売るお店に加えて、コーヒー文化と関連が深い、陶器、お菓子やコーヒーをモチーフにしたファッションアイテムを販売するお店が多く増えた印象でした。次回はコーヒーカルチャーが台北でまたどんな広がり、そして違うカルチャーとのコラボレーションを見せるのか、今後ますます目が離せなくなって行くでしょう。
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- プロフィール
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- 王真琳
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日本のカフェ文化と古着を愛する、台湾のミレニアル世代が今一番注目する台湾人モデル、女優。25歳よりモデル活動を始め、ファッションブランドのイメージキャラクターなどのモデル活動の他に、近年ではインデペンデント映画やインディーズミュージシャンのMVに出演するなど女優としても活動中。今後の予定に、莊景燊監督作品『強大的我』の公開を控える。
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