世界的に認められるほど成熟したK-POPがふたたび熱い盛り上がりを見せています。最近の人気アーティストの特徴は、歌唱力は大前提。そこにプラスして、社会と呼応したメッセージ性や独自の世界観など「表現者」としての魅力を持つアーティストが増えています。 今回は、次世代K-POPを牽引する韓国の女性シンガーソングライター、ソヌ・ジョンア、SUMIN(スミン)、So!YoON!(ファン・ソユン)、CIFIKA(シフィカ)、Stella Jang(ステラ・チャン)の5人に注目。華やかなパフォーマンスを武器とするアイドルとはひと味違う、オリジナリティーと高い音楽性で異彩を放つ彼女たちは、一体どんなK-POPの未来を見せてくれるのでしょうか。
※本記事は『HereNow』にて過去に掲載された記事です。
抜群のセンスでシームレスにジャンルを横断するシンガーソングライター、ソヌ・ジョンア
ソヌ・ジョンアは韓国のインディーズレーベルMAGIC STRAWBERRY SOUNDに所属しているシンガーソングライター。2006年にデビュー、10年以上のキャリアを持つ彼女ですが、知名度は決して高いほうではありませんでした。
しかし、ミュージシャンの間ではその実力が高く評価されており、2010年前後から2NE1、GD&TOP、LEE HIらの楽曲を手掛けるなど、ソングライターとして着実に力をつけてきました。
転機が訪れたのは2013年。同年リリースしたアルバム『It's Okay, Dear』が話題を呼び、韓国でもっとも権威のある韓国大衆音楽賞で「今年の音楽人」「最優秀ポップアルバム」の2部門を受賞。彼女の音楽がより広く知られるようになりました。
以降も、ジャズをベースにポップス的なタッチを加えた楽曲から、センチメンタルなアコースティックポップまで、幅広いスタイルの楽曲をリリース。
IU、Heize、イ・ムンセといったポップアーティストから、Colde、G.SoulといったR&Bアーティストまで、多岐にわたるジャンルのミュージシャンとコラボレーションしてきたことからも彼女の多彩な才能が伺えます。
2019年8月にリリースしたEP『Stunning』ではまた新たなスタイルを提示し、いま波に乗っているソヌジョンア、今後の展開から目が離せません。
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SunwooJung-A(ソヌ・ジョンア / 선우정아)
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BTS、EXOらへの楽曲提供でも話題の実力派、SUMIN(スミン)
SUMINは2015年から現名義での活動をスタート。ピアノ教師だった母親の影響を受け、幼いころから声楽などボーカルの勉強をはじめたという。
2016年8月にリリースした1stアルバム『Your Home』は、R&Bをベースに多様なジャンルを融合した最先端のサウンドと感性的な歌声が重なり合う、完成度の高い名盤。2019年には「Korean Hiphop Awards 2019」で「今年のR&Bトラック賞」を、韓国大衆音楽賞で「最優秀R&B・ソウルアルバム賞」を獲得しています。
SUMINの音楽はR&Bをベースとしながらも、シンセポップ、ヒップホップ、EDMなどの幅広いジャンルを自在に行き来するのが特徴。まさに「シームレスにジャンルを横断するアーティスト」といえるでしょう。
自身の活動の傍らプロデューサーとしても活躍の幅を広げるSUMIN。BTS、Red Velvet、BoA、EXOといったK-POPスターの楽曲を作詞作曲、プロデュースしたほか、Dok2、BewhY、Locoら人気ラッパーたちともコラボレーションを果たしています。
2019年7月には「ネオK-POP」というコンセプトを掲げたニューEP『OO DA DA』をリリースし、多様なジャンルをミックスした実験的なサウンドを披露。さらなる進化を成し遂げました。全収録曲をつなげた7分間のミュージックビデオでは、各トラックのテーマを抜群のセンスでビジュアル化し表現しています。
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SUMIN(スミン)
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ニュートラルな歌声と才能を武器にソロとしても注目が集まる、So!YoON!(ファン・ソユン)
坂本龍一もファンを公言する話題のバンド、SE SO NEON(セソニョン)のフロントウーマンとしても知られる、So!YoON!(ファン・ソユン)。
2016年に結成したSE SO NEONはブルース、サイケデリック・ロック、オルタナティヴ、シンセポップなどの要素が感じられるユニークな楽曲とファン・ソユンの中性的な音色で絶賛を浴び、2017年リリースのデビューシングル『긴 꿈(長い夢)』『파도(波)』で韓国インディーロック・シーンにおけるトップルーキーとなりました。
2018年の韓国大衆音楽賞では「今年の新人賞」「最優秀ロック楽曲賞」の2部門を受賞。さらには、日本でYogee New Waveとのコラボレーションライブを開催。
しかし人気の勢いが加速するなかで、バンドのメンバー2名が兵役のために脱退し、So!YoON!はソロとして音楽活動をスタートさせます。
2019年5月にリリースしたデビューアルバム『So!YoON!』にはSUMIN、Jvcki Wai、Sam Kim、空中泥棒といった豪華なゲストが揃って参加。
バンドサウンドに縛られない多様な音楽性を披露し、新たなアイデンティティーである「So!YoON!」の存在感を見せつけました。
現在SE SO NEONはドラムとベースに新メンバーを迎えて活動を再開。『SUMMER SONIC 2019』にも初出演を果たしました。バンドとしても、ソロアーティストとしてもパワーアップした彼女の活動に期待が集まっています。
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So!YoON!(ファン・ソユン / 황소윤)
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世界中が熱い視線を注ぐエレクトロニックアーティストCIFIKA(シフィカ)
エレクトロニックアーティストとしては珍しく、プロデュースとボーカルの両方を担う、CIFIKA(シフィカ)。
中学時代にアメリカに渡り、10年以上ロサンゼルスで過ごした彼女が音楽と出会ったのは、大学時代。100ドルのCASIOのキーボードを買って音楽をつくりはじめると、SoundCloudにアップしたトラックが瞬く間に注目を浴び、2016年に韓国へと帰国。そのエクスペリメンタルな音楽性が認められ、韓国の気鋭レーベルThird Culture Kidsの一員となりました。
1stオフィシャルシングル『OOZOO』で幻想的でミステリアスなサウンドを披露すると、意外にも韓国より海外での反響が大きかったそう。
イギリスの音楽チャンネル「Eton Messy」やBBCラジオなどで紹介されたほか、Blood OrangeやSBTRKTが韓国でライブを行った際にはゲストアーティストとしてステージに立ったことも。
韓国でも2018年に1st EPのリード曲『My Ego』が韓国大衆音楽賞の「最優秀ダンス&エレクトロニック楽曲」を獲得。
その後もHYUKOHのボーカルOh Hyukとのコラボシングル『MOMMOM』や2nd EP『PRISM』をリリースするなど、精力的に活動を続けているほか、2019年3月にはCrushとウ・ウォンジェをゲストに迎えたシングル『Now Or Never (feat. Crush & Woo)』をリリース。次作への期待が高まっています。
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CIFIKA(シフィカ)
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独自の音楽性でミレニアム世代を魅了、Stella Jang(ステラ・チャン)
Stella Jangは2014年にシングル『Dumped Yesterday』でデビューしたシンガーソングライター。
愛らしいルックスと反して、所属レーベルのGRDL(グランドラインエンターテイメント)は彼女以外全員がヒップホップアーティスト。かくいう彼女もヒップホップとも縁が深く、音楽をはじめた当初はラッパー志望だったといいます。
過去にはZICOやBTSのRMらがデビュー前に活動していたインターネット上のラッパーコミュニティー「ジャングルラジオ」で活動していたことも。自身の楽曲でも時々ラップを披露しており、Verbal Jint、Olltiiといったヒップホップアーティストとも数多くコラボを果たしています。
Stella Jangは、そのユニークな経歴も注目されています。中学時代からフランスに留学し、フランス独自の高等教育機関・グランゼコールのひとつであり、農業・商業系に特化したアグロ・パリ・テック校を卒業しています。
長い間フランスで過ごしていたためフランス語を流暢に話すほか、英語、スペイン語、中国語、ドイツ語、と6か国語を自在に操るという才女。Stellaという活動名もフランスへの留学時代についた呼び名だったとのこと。
同世代からの共感を得る歌詞と、フォークからヒップホップまで幅広いジャンルを横断した音楽性、そして独特の音色で多くのリスナーに愛されるStella Jang。
2019年夏には、女性ソロ・インディーズアーティストのCheese、LOVEY、そしてPARKMOONCHIとともに1990年代韓国のガールズグループをオマージュしたプロジェクト「CSVC」として楽曲を発表するなど、面白い取り組みも行っています。
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Stella Jang (ステラ・チャン / 스텔라장)
Instagram:https://www.instagram.com/interstellajang/
Facebook:https://www.facebook.com/stellajang.official/
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