京都ディープカルチャースポット案内。バンド『空間現代』がオススメする左京区エリア(アンダースロー・青おにぎり…etc)

ギター、ベース、ドラムがシンクロして奏でる、銃弾のような音が鮮烈なスリーピースバンド・空間現代。前回に続き、メンバー・野口順哉さん(guitar/vocal)、山田英晶さん(drums)、古谷野慶輔さん(bass)とともに、カルチャースポットが点在する左京区浄土寺エリア周辺を巡ります。

※本記事は『HereNow』にて過去に掲載された記事です。

アンダースロー

京都を拠点に活動している劇団・地点の拠点『アンダースロー』は、空間現代のライブハウス『外』から北へ徒歩15分ほどのところにあります。

かつて京都で愛されていたライブハウス『CBGB』がなくなった後、10年ほど放置されていたというこの場所に、2013年にオープンした『アンダースロー』。

本棚の奥にクロークがあったり、喫煙スペースを隔てる壁が全部窓でできていたりと、細部までこだわり抜かれた空間は一見の価値あり。「廃墟のような劇場と劇場のようなカフェ」という地点が考えたコンセプトを元に、舞台美術も手がける建築家の木津潤平さんが設計を手がけました。

なかでも、注目したいのは椅子の存在。木製で赤いベルベット生地が張られた、雰囲気たっぷりの古椅子が客席にぎっしりと並べられています。

三浦基(地点代表):椅子をはじめとする家具類は舞台でも置き道具として使うなど、演劇には重要なもの。こだわっているうちに、今ではすっかり詳しくなってしまって。椅子張りの専門店『村上椅子』や『葡萄ハウス家具工房』にはよくお世話になっていますね。

もともと『地点』と『空間現代』の接点を生んだのはベースの古谷野さんだったそう。

古谷野:『地点』の演劇が好きで、レコ発で対バンに呼べないかとお誘いしました。そのときはスケジュールが合わず断られてしまったのですが、音源を送ったら『京都メトロ』でのライブを観に来てくれて。

三浦:最初は『空間現代』の存在を知らなかったのですが、誘われてライブを見たら衝撃的で。それで、すぐにお願いして僕らの作品である「ファッツァー」の音楽を担当してもらうことになったんです。

古谷野:まさか出演することになるとは思っていなかったので嬉しかったです。

三浦:通常、音楽は譜面というルールに則って音を合わせていきますが、彼らは独自の作曲方法をしています。ボーカルの言葉の発し方も異質で、声すら楽器の一つのように扱う。一緒に面白いことをできそうな予感があったんですよね。

山田:最初、三浦さんは気難しい人だと思っていたのですが、「ファッツァー」の制作期間を通して、茶目っ気のある方なんだと気づきました(笑)。

野口:三浦さんは料理上手で、卵焼きとかスペアリブとか、クスクスを使った料理を振舞ってもらいましたね。

古谷野:三浦さんは、空間現代にとっては兄貴分的な存在ですかね。『外』の物件を探しているときも、三浦さんに相談にのってもらったりしていたんですよ。

今後も、面白いコラボレーションが生まれるであろう空間現代と地点。現在は「ファッツァー」「ミステリヤ・ブッフ」に続き3作目となる共作「ロミオとジュリエット」(2017年1月20日、21日に早稲田大学大隈記念講堂にて上演)に向けて準備中なので、お楽しみに。

合わせて立ち寄りたい左京区のスポット

この記事で紹介した『外』『ホホホ座』『アンダースロー』があるのは、広い左京区のなかでも南は錦林車庫、北は白川通と今出川通りが交差する辺りまでの一部のエリア。

引っ越してきたばかりの空間現代のメンバーも、お気に入りのお店が増えてきているようです。

錦林車庫裏の白川は、観光客にもあまり知られていない穴場の花見スポット。

また『アンダースロー』に向かって北へ歩いていくと、『ホホホ座』の山下賢二さんが「この辺りで最も注目の新店」というカフェ&ギャラリー『光兎舎』があります。自然光が差し込むスタイリッシュな建物で、1階はアーティスト・加藤智哉さんが運営するギャラリー、2階のカフェでは加藤さんのお兄さん・祐基さんが作る菜食ランチがいただけます。

その近所にある、老舗の喫茶店『喫茶 白河』は空間現代のメンバーもお気に入り。

野口:ここは休憩や打ち合わせの時によく利用します。『外』のフライヤーも丁寧に置いてくれていてありがたいです。

野口さんが以前利用して美味しかったという、デリカテッセン『ちょっとフランス』にも。ショーケースには煮込み料理や、サラダ、パイ類、お菓子など様々なものがならび、京都を拠点に活動するNPO法人「スウィング」の作品やグッズも展示されています。

野口:『ちょっとフランス』という店名がいいですよね。近所の『ヤマダベーカリー』のパンに、ここのパテを合わせるのもオススメですよ。

そして、隠れた名所となっている『青おにぎり』へ。炊きたて、握りたての美味しいおにぎりがいただける、小さなお店です。店主・青松さんは一見ぶっきらぼうに見えますが、本当はお客思いで誠実な方。お店に遊びに来た子供達が描いたという、鬼のイラストが青松さんの人柄を表しているようです。

ほかにも、『青おにぎり』の隣にある植物をテーマとしたカフェ『swiss coffee,plants』や、独自の企画運営を行う『甘夏ハウス』など、小粒で個性的なスポットが点在する左京区・浄土寺周辺。のんびりと散歩しながら、観光名所とはまた違う、ローカルな京都を堪能してみてはいかがでしょうか。

プロフィール
空間現代 (くうかんげんだい)

野口 順哉(guiter / vocal)、古谷野 慶輔(bass)、山田 英晶(drums)からなるスリーピースバンド。 編集・複製・反復・エラー的な発想で制作された楽曲を、スリーピースバンドの形態で演奏。これによるねじれ、 負荷が齎すユーモラスかつストイックなライブパフォーマンスを特徴とする。2016年9月、活動の拠点を東京から京都へ移し、自らの運営するスタジオ/ライブハウス「外」を左京区・錦林車庫前で開始する。



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