音楽、ファッション、アートなど、新しいカルチャーが常に生まれ続ける都市・ソウル。アパレルを中心に、個性的なセレクトショップもたくさん生まれています。
今回紹介するのは、それぞれ違ったこだわりとカラーを持つ4つのセレクトショップ。そのお店でしか買えないアイテムの販売はもちろん、ラジオ収録やラッパーのポップアップストアを展開するなど、独自のカルチャーを発信しています。
いまのソウルのセレクトショップから発信される、最新カルチャーを感じてみてください。
※本記事は『HereNow』にて過去に掲載された記事です。
ソウルのアンダーグラウンドカルチャーを感じられる『WARPED. 』
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クラブやバーが点在する梨泰院(イテウォン)エリアにある『WARPED.』は、韓国のストリートカルチャーを牽引するショップのひとつ。2013年にECサイトとしてスタートし、2016年に実店舗をオープンしました。
取り扱っているのは、韓国のバンドやミュージシャンのTシャツを展開する若いサブカルチャー系のブランドが中心。
ロサンゼルスの「Brain Dead」や、ニューヨークの「The Good Company」など、海外の新しいブランドのアイテムも豊富で、日本やアメリカで品切れになったレアなアイテムが並んでいることも多いとか。国内外問わず、新しいブランドのアイテムを数多く扱っています。
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『WARPED.』では、洋服以外にレコードや雑誌なども販売。オーナーと交友のあるインディーズアーティストのミックステープや、ファッションブランドが制作したコンピレーションアルバムなども取り扱っています。
また、韓国の雑誌専門のオンラインショップとコラボレーションし、ローカルなZINEや若手フォトグラファーの写真集など、ほかでは見ることのできない豊富なラインナップの書籍も取り扱っています。
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そのほか、お店ではさまざまなカルチャーイベントを開催。毎週火曜日22時からは、ローカルで人気のDJ、DJ Maalibが進行を務めるラジオ番組『PUPPY RADIO』の公開収録&生放送も実施しています。
『PUPPY RADIO』は、ソウルの人気DJや文化人がゲスト出演し、インターネットでもストリーミングが可能。ソウルのアンダーグラウンドカルチャーが気になる人は、ショップとあわせてぜひチェックしてみてください。
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WARPED.
新住所:ソウル特別市龍山区梨泰院路42キル26 1F
旧住所:ソウル特別市龍山区漢南洞683-94 1F
営業時間:13:00〜21:00
定休日:年中無休
電話番号:070-7808-0852
最寄駅:梨泰院駅、漢江鎮駅
URL:http://www.warped.co.kr/shop/board/view.php?id=notice&no=5
Instagram:https://www.instagram.com/warpedshop/
見たことないインディペンデントブランドに出会う超個性派セレクトショップ『CYTOKININ SHOP』
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次に紹介するのは、2018年5月にオープンした『CYTOKININ(シトキニン)SHOP』。
梨泰院エリアの緑莎坪(ノッサピョン)駅の近くにあり、韓国の今の若い世代を風靡したファッションブランド「DRINKSCANCODE(ドリンクスキャンコード)」のメンバーが手がけるショップです。
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韓国のセレクトショップは、ストリートカルチャーの流れを汲んだお店が主流ですが、『CYTOKININ SHOP』はまったく別の流れを感じるショップ。
セレクトの基準は、オーナーの言葉を借りれば「ダーティー」な服たち。「音楽でたとえるなら、アンダーグラウンドでファンキーなヒップホップ。あえて荒削りでローファイな感じっていうのかな。完璧なものより、崩れた曖昧なものが好きなんです」とのこと。
「韓国で見たことのないブランドを揃えよう」とはじめたショップだけに、2010年代以降のイギリスのサブカルチャーの影響を受けた「Claire Barrow(クレアバロー)」や、独特のグラフィックが描かれたアメリカの「Stacy.House(ステイシーハウス)」など、個性的なインディペンデントブランドを多数取り扱っています。
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オリジナルアイテムは、パンツやアクセサリーを中心に販売。Tシャツやフードパーカーに合わせやすいアイテムをデザインから手がけています。ときにはアーティストから注文を受け、カスタムアイテムを制作することもあるのだとか。
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青いネオンで照らされた店内が印象的ですが、このブルーは「夜明けにクラブから外に出たときの、薄暗く人気のない街の色」をイメージしたそう。
CYTOKININ SHOP:ファッションブランドを運営していたときは人に会う機会も少なく、わりと閉鎖的だったんです。そのマインドを変えたくてお店をオープンしました。いまは自分がつくった服をお客さんが着ているところを見れて嬉しいし、それをきっかけに会話が生まれることもあります。店で流した音楽をお客さんが気に入ってくれたり、音楽活動をしている人が遊びに来て音楽の話をしてくれるのも楽しいですね。
韓国は試着ができない店も多いですが、うちはすべて試着OKです。服はいろいろ試してみてこそ自分の気に入ったものに出会えると思うので。私たちとおしゃべりするのもいいですし、気軽にお店に来てくれたら嬉しいです。
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CYTOKININ SHOP
新住所:ソウル特別市龍山区緑莎坪大路40ナキル37 地下1F
旧住所:ソウル特別市龍山区梨泰院洞403-3 地下1F
営業時間:13:00〜20:00
定休日:月曜
電話番号:070-8628-0357
最寄駅:緑莎坪駅
韓国ローカルブランドを数多く扱う『HEIGHTS STORE』
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センスの良いセレクトショップが点在する若者のトレンドの中心地・弘大(ホンデ)。『HEIGHTS STORE(ハイツストア)』は、そのなかでもローカルカルチャーとの結びつきが深いショップです。
もともとは、海外ブランドのアイテムを韓国に輸入してオンラインで販売する流通会社でしたが、取り扱っていた日本発ブランド「Have a Good Time」が人気を得たことをきっかけに、ショールーム形式でオフラインストアをオープンしました。
HEIGHTS STORE:「Have a Good Time」の問い合わせのためにわざわざオフィスまで訪ねてくる方も多かったので、ショップをつくってみました。ただ、もともとアンダーグラウンドやサブカルチャーを応援したかったので、だんだん空間的にオフィスだけだと物足りなさを感じるようになってきて…….。
「やりたいことを思いつくままやってみよう!」と2019年12月にオープンしたのが現在のショップです。
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現在、取り扱っているラインナップは「Mischief(ミスチーフ)」「thisisneverthat(ディスイズネバーザット)」など、韓国の人気ストリートブランドが中心。
HEIGHTS STORE:韓国には海外に劣らない素晴らしいブランドがたくさんあります。だけど国内のセレクトショップではあまり紹介されていない。そこに違和感があって。
韓国の小さなローカルブランドでも、そのカラーや方向性に共感できれば、お店として紹介したい。ブランドと一緒に試行錯誤していくことで、お互いより良く成長していけるのではと思っています。
なかには『HEIGHTS STORE』のみで販売されているローカルブランドもあるそうで、「Joegush」のプライベートコレクションもそのひとつ。ディレクターが手作業でつくっているため大規模な販売が難しく、同店のみで取り扱うことになったそうです。
HEIGHTS STORE:「Joegush」はブランドの持つカラーが強烈すぎるので、『HEIGHTS STORE』のカラーとは合わないのでは、と最初は正直ためらいました。
だけどお互いに少しずつ世界観をすり合わせていくなかで、『HEIGHTS STORE』のテイストともマッチして、売れるようになってきたんです。
「WELCOME TO ACID HOUSE」のグラフィックで知られる韓国のストリートブランド「the internatiiional」も同様のケースで、いまではすごくファンが多いですね。
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洋服以外にも、アクセサリーやカップなどのライフスタイル雑貨、ブックセレクションも豊富。
ミュージシャンのグッズなどを企画することも多く、人気バンドHYUKOH(ヒョゴ)や、ニューヨークに拠点を置く韓国系アメリカ人アーティストYeajiのツアーグッズなども制作。2019年7月には、韓国のラッパーE-Sensのアルバム発売に合わせたポップアップストアも開催し、話題になりました。
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HEIGHTS STORE:ただ単におしゃれなストリートブランドを集めただけではなく、ショップ内は私たちらしさが出る空間づくりを心がけています。ラッパー E-Sensのポップアップストアを開催したときも、ヒップホップに引っ張られすぎないようにスッキリとした空間を展開するようにしました。
今後も特定のスタイルに偏ることなく、『HEIGHTS STORE』らしさを打ち出していければと思っています。
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HEIGHTS STORE
新住所:ソウル特別市麻浦区楊花路12キル16-8 地下1F
旧住所:ソウル特別市麻浦区西橋洞395-142 地下1F
営業時間:12:00〜21:00
定休日:年中無休
電話番号:02-3144-0432
最寄駅:合井駅
URL:http://heights-store.com
Instagram:https://www.instagram.com/heightsseoul_store/
「売りたくないもの」を集めたユニークなセレクトショップ『宇宙萬物』
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ソウルの主要観光地・明洞(ミョンドン)と東大門(トンデムン)の間に位置する乙支路(ウルチロ)は、若者向けの洗練されたカフェやショップと古い雑居ビルが混在するディープな街。近年はヒップなエリアとしてローカルに注目されています。
個性派店が集まる乙支路ですが、なかでも一際ユニークなショップが『宇宙萬物』。文字どおり「萬(よろず)のもの」を売るセレクトショップで、5人のクリエイターが共同運営し、レコード、服、雑貨、おもちゃまで、本当にありとあらゆるものを取り扱っています。
宇宙萬物:家に溜まっていたガラクタを売るために友達同士で集まって、2014年からお店を始めました。ものを集めるのが好きな人間が、集めたものを売っている空間なんですが、5人で運営しているので、おもちゃが多い人、レコードが多い人、服が多い人……というように自然とそれぞれの得意分野が生まれました。
なんだかよくわからないヘンなものも多いし、まさにここにあるものが「宇宙の万物(=宇宙萬物)」を表していると思います。
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特にレコードは「宇宙萬物でしか手に入らない」と自信を持って言えるほど特異なセレクションを誇り、現地のディープなカルチャーを体感できること間違いナシ。
ただし店は雑居ビル内にあり、外には看板がまったくないので、訪問するときは見逃さないようご注意を。
宇宙萬物:木でつくった札があるにはあるんですが、置いていてもあまり意味がないんですよね。結局、通りがかりの人には見つからなくても、店に来たいお客さんはちゃんと見つけてきてくれるんです。以前から看板をつくろうという話はしていたんですが未だにつくっていないし、いまとなっては特に必要ない気もしています。
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そのほか、オーナーの友人たちのローカルアーティストによる作品の委託販売も。大半はCDなどですが、フォトグラファーによる写真集、しおり、Tシャツ、キーホルダーなども取り扱っています。
ここでしか購入できないものについてオーナーに尋ねると「並んでいるものほとんど全部です」という回答が。
宇宙萬物:店にはできる限り、ここでしか買えないものを置くようにしています。ポータルサイトでうちを検索すると表示される店の紹介文に「売りたくないものだけを売ります」とだけ書いておいたんですが、これはときどきリアルに感じることなんですよ。売りながら「ああ、手放すのがもったいないな」と思うようなものたちを売っていますね。
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宇宙萬物
新住所:ソウル特別市中区乙支路11キル29 2F
旧住所:ソウル特別市中区水標洞11-3 2F
営業時間:14:00〜20:00
定休日:火・水曜
最寄駅:乙支路3街駅
URL:https://cosmoswholesale.tumblr.com
Instagram:https://www.instagram.com/cosmoswholesale/
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