2000年代後半から火がついた台湾の若手写真家のアートシーン。この連載では、各回一人ずつ、今台湾で注目の写真家を紹介。写真作品はもちろん、今回の企画のために各々がスマートフォンで撮影してくれた一枚も掲載しているので、ともに楽しんでいただきたい。
※本記事は『HereNow』にて過去に掲載された記事です。
第5回:登曼波(Manbo Key)
映画美術の仕事にも携わっている登曼波の写真作品は、非常に実験性が高い。画面の持つテンションが高く、時に血だらけな詩のようでもあり、時にエンドレスの演劇のようでもある。次はどんな作品が出てくるのかと、期待が高まる作家だ。
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《棄,時間的聲音並不哀傷》Visual of theater 2014
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series of《Sleep Lesson》2008
2008年、彼は中古のyashica GSNを手に入れた。初めての撮影後、フィルムをプリントしてみたら、光漏れの影響で、予想もしなかったファンタスティックな写真がプリントされたという。そのランダムで、予測不能な画像に彼はすぐ夢中になった。《裸:naked_a.m. p.m》という作品シリーズで、彼は女優の李維維とコラボレーションし、透明なシートで美しい身体を包むようにしながら、フラワーアーティストの李霽によるドライフラワーを絡めて、時や空間が止まったかのようなエモーショナルな世界観を作りあげた。彼の作品は詩や物語のように想像を掻き立てるパワーがある。
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李維維《裸:naked am. pm.》 Photo Book 2015
これまで歩んできた道には、引っかかる人、事、物があるけれど、生活を通し、ごく自然に作品を積み上げていくことで、自分らしいスタイルが構築できるのではないかと登曼波は言う。彼が大学時代から撮り続けてきたという、自分のお婆ちゃんを追ったドキュメンタリーも興味深い。故郷の台中に戻り、過去の自分と対峙しながら、家族と過ごした思い出を拾った作品だ。今後は、2014年にインドで撮り下ろした作品を発表する予定もあるそうで、多岐にわたる彼の作品から目が離せない。
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series of《im/permanence_site_india》2014
Q1.携帯で撮った写真について教えてください。
2日前に何人かの友達と海に行きました。ある友達は本を持ってきました。 僕たちは「海辺で本を読む」という行為をからかい、それに対して彼が取ったポーズがこれです。
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Q2.写真とは何か、を一言で言うと?
文字とは違う感触をもった表現。
Q3.台北でおすすめのスポットはどこですか?
「新店溪」という台北近郊の川を跨ぐ橋の下。
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series of《im/permanence》2015
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劉以豪《犬貓人 Ryu travel in Kyoto 》Photo Book 2015
- プロフィール
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- 登曼波
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1986年台中生まれ。2008年に大葉大学グラフィックデザイン学科卒業。映画美術をはじめたことから、写真への興味を持ち、写真家としても活躍。アーティストとのコラボレーションも活発だ。これまでの写真集に、「series of《im/permanence_site_india》」、「李維維《裸:naked am. pm.》」、「劉以豪《犬貓人 Ryu travel in Kyoto 》」など。
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