日本人にとっても、また外国人旅行者にとっても、和菓子の代表として絶大な人気を誇る「あんこ」。今回は、あんこを様々なスタイルで組み合わせて提供する、人気の和菓子店を紹介します。
※本記事は『HereNow』にて過去に掲載された記事です。
「あんペースト」の楽しみ方を提案するお店『TORAYA CAFÉ・AN STAND』
長い歴史を誇る和菓子屋『とらや』が展開するカフェとして、2016年4月に新宿駅直結の大型複合施設『NEWoMan』の2階にオープンしたのが『TORAYA CAFÉ・AN STAND』。ここは「あんペースト」の手軽な楽しみ方を提案するお店として、スイーツからドリンクメニューまで、豊富なメニューを取り揃えています。
絹のようななめらかさと、まろやかで上品な味わいが特徴的な「あんペースト」。『TORAYA CAFÉ・AN STAND』では、その「あんペースト」を使ったトーストやサンドイッチなどのスイーツと、コーヒーやあずき茶などのドリンクメニューを提供しています。中でもオススメは、細身のコッペパンに「あんペースト」とクリームチーズが挟まった「あんコッペ」。軽く温めてから提供される「あんコッペ」は、あずきのほんのりした甘さとクリームチーズが混ざりあい、コッペパンとの相性も抜群! いつも忙しく新宿駅を行き交う人々にぴったりの、甘くて元気が出るスイーツです。
イートインメニュー以外にも、とらやの「あんペースト」は、こしあん、白ごまときな粉、バニラとレモンなど、様々なバリエーション展開もしていて、あんボーロやグラノーラといった持ち帰り用のお菓子も販売。夏の期間には「あんペーストかき氷」も展開しています。
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TORAYA CAFÉ・AN STAND
住所:渋谷区千駄ヶ谷5-24-55 NEWoMan新宿2階
営業時間:9:00~22:00
菓子職人の技を目の前で堪能する『鶴屋吉信TOKYO MISE』
2014年に日本橋三越の向かいにオープンしたのが、200年以上の歴史を誇る京都の老舗和菓子店、『鶴屋吉信 TOKYO MISE』。販売スペースと茶房からなるこのお店では、伝統的な和菓子作りへの妥協なき姿勢を垣間見ることができます。
入り口の紺色の暖簾をくぐると、長いディスプレイケースが並んでおり、その奥には菓子職人が待つカウンターに辿り着きます。このカウンターで、お客さんにふるまう生菓子が作られています。生菓子は、四季折々様々なものが提供され、例えば6月には、梅雨と初夏に花開く3つの花(アジサイ、バラ、てっせん)を基にした意匠が展開されていました。
カウンターに座れば、生菓子が作られていく過程を目の前で楽しむことができます。素早く、エレガントな職人の巧みな技は、日本人にも外国人旅行者にも新鮮に映るはず。白あんでいっぱいのピンクが美しい花のような「長春」や、質感豊かな粒あんが入っている紫色の「初むらさき」など、『鶴屋吉信 TOKYO MISE』は訪れた人々に、視覚にも味覚にも訴える甘美な和菓子の世界を体験させてくれます。
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鶴屋吉信TOKYO MISE
住所:中央区日本橋室町1-5-5
営業時間:10:00~21:00(茶房・菓遊茶屋 10:30~20:00)
100年変わらない「小倉アイス」が食べられる甘味処『みつばち本店』
100年変わらない「小倉アイス」が食べられる湯島の甘味処『みつばち本店』は、不忍池と上野公園からも近い、春日通りの喧騒を少し離れたところにあります。歩道に面した持ち帰り用の窓口と、店内にはイートインができる茶房もある『みつばち本店』は、さまざまな和菓子を提供しており、世代を問わない常連客で賑わっています。
もともと氷業を営んでいた『みつばち』が、店の人気メニューであるかき氷の残り物だった小豆(あんこの原料)を使ってアイスの試作を試みた結果、それがあまりにも美味しく、その後1915年に「小倉アイス」の誕生につながりました。北海道産の小豆と水、塩で仕上げた乳脂肪分ゼロの「小倉アイス」は、百年の間ほぼその製法を変えずに提供しています。貝の形にも似ているモナカに挟んで食べたり、各種フルーツやゼリーと共にあんみつとして楽しむのもおすすめ。「あんこ」の素材である小豆の美味しさが充分に感じられる逸品です。
小倉あんみつはそのまま食べても、自家製の濃厚黒蜜をかけても、どちらもオススメ。ゆっくり溶けてきた「小倉アイス」と一緒に食べるあんみつは絶品です。
中目黒で贅沢な京風の麩団子を味わう『青家のとなり』
料理家・青山有紀さんがオーナーをつとめる中目黒のレストラン『青家』の隣りにある『青家のとなり』は、京都発の作りたての和菓子とスイーツを提供する小さなお店です。青葉台にひっそりと佇む、リノベーションされた一軒家『青家のとなり』では、品質の高い素材と共に、保存料、添加物、白砂糖などは、一切使用していません。
京都生まれの青山さんが開発した様々なメニューの中に、「五穀生麩団子(小麦グルテンのお団子)」があります。これは3年に渡って、京都の菓子製造業者と試行錯誤の上、完成したもので、京都の錦市場にレシピを渡し製造を委託している黒糖こしあんを、よもぎ入りの生麩(小麦グルテン)でくるんだ一品。青山さん曰く、京都の「水」と「職人技術」がなくては、生み出せなかったお菓子だそうです。
ナチュラルな素材だけで作られた「五穀生麩団子」は、黒糖こしあんのかすかな甘味も感じられ、温かいお茶と相性ぴったり。持ち帰りでも、オンラインでも購入することができるので、贅沢なおやつとしても、特別な贈り物にも最適です。
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青家のとなり
住所:目黒区青葉台1-15-9
営業時間:11:30~18:00 (もしくは完売するまで)
定休日:月曜日
世田谷線沿いの『まほろ堂蒼月』で、涼しげな和菓子「葛ざくら」をいただく
世田谷線沿いの宮坂にある『まほろ堂 蒼月』は、とても落ち着いてこじんまりとした雰囲気のお店で、たくさんの手作りの和菓子やお菓子を提供しています。2015年のオープン以降、地元でのファンを増やしています。
店の人気商品である「青豆大福」を始め、いろいろなお菓子にあんこが使われていますが、段々と暑くってくる夏の季節には、『まほろ堂 蒼月』の初夏の一品、「葛ざくら」がオススメ。この「葛ざくら」は、オーナーの山岸史門さん自ら葛ゼリーを、一回分ごと慎重に手作りし、一握りの量で「こしあん」の周りを包み、塩漬けの桜の葉の上に載せて提供されます。透明な液体のようで、見た目にもとてもユニークな一品です。
この「葛ざくら」は、冷たいお茶と一緒に楽しむのが一番。店内奥で作られるこしあんのなめらかさが、もちもちの葛ゼリーの甘さで一層引き立ち、塩漬けの桜の葉がくどさを消して、爽やかな味わいにしてくれます。軒先では路面電車がゆっくりと走っていて、可愛らしい招き猫の置き物と一緒に窓のそばで静かなひとときを過ごすことができます。
- プロフィール
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- ベン・デイビス
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オーストラリア出身の編集者。2010年より東京を拠点に活動。ローカルな視点から都市を紹介するオンラインマガジン「The Thousands」東京版の編集者としての経験をした後、2015年にCINRAに入社。ANAの訪日外国人向けサイト「Is Japan Cool?」にコラムを寄せるなど、地域の魅力を伝えている。
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