旅先では、グルメやショップ巡りもいいけれど、もう少し踏み込んだ「体験」こそが一番の思い出になるかもしれません。ソウルでの一人旅をもっと楽しくするための隠れ人気スポットを紹介するこのコーナー「SEOUL HIDDEN PLACE SERIES」。第6回となる今回は、ソウルでしかない体験を提供するスポットを紹介します。
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※本記事は『HereNow』にて過去に掲載された記事です。
五味料理研究所
「受講者たちと一緒に在来市場で買い物をした後、購入した食材で韓国料理を一緒に作る」というアイデアのもと、キム・ミンソン代表が運営する料理教室が『五味料理研究所』。2015年の春に東大門(トンデムン)の『ソウル薬令(ヤンニョン)市場』の路地にある、こじんまりとした韓屋からスタートしました。韓国の家庭料理から、薬膳料理、宮中料理など、様々なプログラムを用意しており、一人はもちろん、友達とも、ファミリーでも、様々なスタイルで参加することが可能となっています。
受講者は、まず東大門区の祭基洞(チェギドン)駅2番出口の前で集合。そこでキム代表は、様々な国からやって来た受講者を英語で出迎えます。韓方薬の匂いが立ち込める『ソウル薬令市場』では、無料で韓方茶を試飲し、市場の説明を聞きながら、ツアーはスタートします。
そしてその近くにある韓国最大の食材市場である『京東(キョンドン)市場』で、旬の食材を見ながら料理に必要な材料を購入します。取材当日には、本日のメニューのひとつ、テンジャンチゲに入れるタルレ(春の山菜)と、チャプチェに入れるキノコを購入。約30〜40分の市場見学を終えて料理教室へと移動します。
『五味料理研究所』のメニューは基本、月曜日はサムゲタン、火曜日と土曜日はプルゴギ、ヘムルパジョン(海鮮とねぎのチヂミ)、チャプチェ、水曜日はキムパプ、トッポッキ、木曜日はキムチとスユク(茹で肉)、金曜日はビビンバなどの人気料理を中心に構成。さらに旬の食材を使った料理や予約者の希望に沿って、1〜2種類のおかずが決まります。
取材日のメニューは、スユク(茹で肉)とキムチ、テンジャンチゲ、チャプチェ、ヘムルパジョン(海鮮とねぎのチヂミ)でした。参加者も多種多様で、香港、台湾、日本から来た8人がエプロンをつけ、先生の説明(英語)に耳を傾けます。そして食材の説明を聞き、デモンストレーションを拝見しながら各自料理に使う食材を調理していきます。
ねかせておいた豚肉を オムナム(ハリギリ)とほか数種の材料と一緒に入れてじっくり煮込みながらスユクを仕込んでいる間に、すぐにテンジャンチゲに取りかかります。「日本の味噌汁はダシと味噌だけを入れて作りますが、韓国のテンジャンチゲはニンニクとコチュカル(唐辛子粉)を加えます」といったような食文化の違いを説明するなど、日本、香港、台湾の参加者も興味深く耳を傾けます。
次に、ヘムルパジョン(海鮮とねぎのチヂミ)のタネを準備した後、油をひきながらキム代表の料理にまつわる話が続きます。「韓国では雨の日にチヂミをよく食べます。油で焼く音が雨音に似ているので、雨が降ると自然とチヂミが頭に浮かぶんです。マッコリと一緒に食べるとさらにおいしいですよ」
続いてチャプチェを炒めた後、最後の仕上げ。漬けておいた白菜の状態をみて、受講生が調味料を混ぜてキムチを器に盛ります。たった約2時間の間に、5つの韓国料理があっという間に完成。完成した料理を一皿づつ、隣のテーブルにセッティングすれば、素敵なランチの出来上がりです。
様々な国籍の人たちと一緒に手作りした料理は、きっと忘れられない思い出になるでしょう。キム代表は、これからも今のような小規模(最大8人)で、外国人観光客が韓国料理を楽しんで体験していくことができるように運営していこうと考えていると言います。一緒に話をしながら料理できるこの規模がちょうどよいのだそうです。食を通じて、韓国の文化も知ることができる料理教室、ぜひ旅程に組み込んでみてはいかがでしょうか?
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五味料理研究所
住所:ソウル市ト東大門区ヤンニョンジュンアンロ37-6 五味料理研究所
(または、ソウル韓方振興センター3階、薬膳料理体験場にて)
授業時間:午前授業10:00~13:00、午後授業14:00~17:00(1日、2回の授業)
月~土は料理教室、日曜日はデザート教室
電話番号:+82-2-742-1933
最寄駅:チェギドン駅2番出口
instagram: @ome_korean_cooking
ウェブサイト:https://www.5-tastes.com/(英語) 予約フォームで申し込み、予約完了のEメールを受信すると、予約完了。英語、中国語対応可能。支払いは現地決済 KRW60,000
薬草院
望遠洞(マンウォンドン)の閑静な路地裏にある『薬草院(ヤクチョウォン)』は、他のカフェとは一線を画しているお店で、こちらでは、健康的な伝統茶を美しくモダンにアレンジして提供しています。店内には実際に使用される薬草が所々に飾られていて、夕方以降には、一日の癒やしを求め、会社帰りの人々が多く集います。
何を隠そう、ここ『薬草院』は、カフェであり本物の漢方(韓方)を扱う薬局でとしても機能するお店。悪寒が走るときは、フルーツがたっぷり入った伝統茶を飲みながら薬剤師に体の状態の相談もできるなど、自分に合った韓方薬やビタミン、または体調管理法を教えてもらえます。また鎮痛剤、風邪薬、消化剤、絆創膏、アレルギー薬など救急薬も備えているので、薬が必要な時の薬局としても機能しています。実際に水曜日はカフェを閉めて、予約の訪問者のために、相談・処方・調剤を行う薬局として運営しているので、旅行中もし体調が崩れたり、風邪気味などの時にはここを訪ねるのも良いかもしれません。
「五臓六腑と心の健康状態は、皮膚と顔、体の美しさに現れる。薬草院の美しい空間で、体に良いお茶を楽しみながら、心と体が一緒に美しくなる真のインナービューティーを体験してもらいたい」と話すのは、店主でありのン漢方(韓方)薬剤師のキム・ナヒョンさん。メニューを考案する時も、お客さんの健康状態や、ドリンクの飲み心地にこだわっていると言います。
一番人気のメニュー「星を数える夜(KRW8,000)」は、不眠に悩む人たちのためのお茶で、柔らかい穀物の香りとほのかな甘味が心と身体を癒やしてくれます。カフェの店主が好きでメニューに取り入れたキョンギ餅屋のカレトックイ(餅の焼き)(KRW3,000)は、秋と冬のおやつとしてグッド。こんがり焼きあがった餅に油蜜と蜂蜜をつけて食べる逸品メニューです。
その他にも「サンファヴァンショー(KRW10,000)」は、双和湯(サンファタン)に使われる9つの漢方薬と旬の果物を一緒に煮出したお茶で、体のバランスを整え疲労回復に効果があるといわれる飲み物。旅行期間中、コンディションを整えるために必要な分を購入して、毎朝または夜に飲むのもオススメです。カフェとしての休息所として訪れるのもよし、調子が悪くなったときに薬局として使うのもよし。そんな誰もの憩いの場として機能するお店が『薬草院』です。
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薬草院
住所:ソウル市麻浦区トンギョロ9ギル28
営業時間:平日 12:00~22:00、水曜日 予約訪問(相談・漢方薬調剤)
電話番号:+82-2-322-9955
最寄駅:マンウォン駅2番出口
休日:木曜日
instagram: @a_herbary
PROUST
週末には若い人たちで溢れかえるソウルのホットプレイス・鍾路(チョンノ)区の 益善洞(イクソンドン)で、自分だけの香水を作ることができるショップ兼紅茶専門カフェが『PROUST』。ブランド名とコンセプトは、フランスの小説家マルセル・プルーストの作品『失われた時を求めて』内の一小節からインスピレーションを受けたのだそう。紅茶と香りをテーマにしたショップには、香水やディフューザー、キャンドル、などが陳列されおり、試香も可能です。
是非『PROUST』で体験して欲しいのは、事前予約が必要な自分だけの香りが作れるワンデイクラス体験。クラスは韓国語のみですが、最近は携帯アプリでの翻訳機能を利用しながら参加する外国人も多いんだとか。所要時間は約1時間30分で、調香師とじっくり相談をしながら、香りとその割合を決め、それぞれ好きな香りをブレンドしていきます。
はじめに、香りの基礎となるベースの選択し、7つの香りを試香後、好みのベースを選択します。この時、イメージやどんな感じにしたいのかを伝えれば調香師がオススメを教えてくれます。
次に、香りのミドルとトップの香りのセレクト。こちらは、いろいろな種類から重複して選択が可能で、天井の棚いっぱいに置かれた様々な香りのボトルのうちからを選びます。取材日には、4番のベースを含む6種類の香りをセレクトしました。
そして選択された香りを再び嗅ぎ、各香りの合計が20mlになるよう調合した後、1次ボトルに入れます。自分がイメージした香りかどうかを確かめた後、さらに再び残りの20mlを加えます。各香りの分量を再調整して1mlも誤差がないように慎重に一滴ずつ瓶に入れていきます。
この香水、できたばかりの香りだけではなく、時間の経過で熟成される香りの二種類が楽しめるとのこと。最後に香水の名前を決め、ラベル紙に名前を書いて瓶に貼れば自分だけのオリジナル香水が完成。なお今回作ったレシピを持って来ると、いつでも同じ香水が作ってもらうことも可能です。
香水作りが終わったら、中庭のカフェスペースでお茶を楽しむのがオススメ。紅茶専門のカフェだけあり、毎朝、カフェで直接煎れたミルクティーは、砂糖の代わりに天然のアガペシロップを使用し風味を加えています。そして人気のマドレーヌと一緒に食べれば、至福のひとときを過ごせることでしょう。
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PROUST
住所:ソウル市鍾路区スピョロ28ギル17-26
営業時間:月・火・水・木・日 11:00~21:00 金・土 11:00~21:30
休日:正月、お盆、1月1日
電話番号:+82-2-742-3552
最寄駅:チョンノサムガ駅4番出口
instagram: @proustscent
予約:電話予約または現場にて予約。ワンデイクラス価格:KRW50,000
三清閣
ソウルの北に位置する『三清閣(サムチョンガク)』は、美しい景観を誇る韓屋庭園の1つで、現在は、文化施設として運営しています。山も水も澄み、人の心も清らかになるという意味の『三清閣』では、自然を始め、韓屋建築や韓国料理、文化芸術を体験することができます。その中でも、韓国の文化と食を一緒に楽しむことができるランチコンサート『慈味(ジャミ)』は、1人旅の人には特にオススメしたい体験の1つです。
2010年からスタートした『慈味』は、シーズンごとに異なる公演が開催され、2017年の秋・冬シーズンには「フュージョン公演」にリニューアル。毎週、水曜日と金曜日に行われています。取材時のランチコンサートは、ソウル市青少年楽団のソリストアンサンブル「Another Dream」との共演で作られました。公演内容は日常生活の中で使う道具が「楽器」となり、そして「音楽」になるというコンセプトで、洗練された美しい旋律と、様々なパフォーマンスを披露してくれました。
『慈味』ランチコンサートの公演観覧前には、必ず伝統茶がサービスされます。そして公演終了後には、韓国料理の伝統と歴史を持つ『三清閣』の特選ランチが用意されます。アワビ、ナツメ、ミサム(高麗人蔘の根の細い部分)などが入った栄養満点の「カルビタン」や、季節のナムルがのせられたビビンバ(ビビンパプ)のメインメニューのほか、簡単なコース料理が加わり味に彩りを添えます。
食事を終えた後は、周辺の一和堂(イルファダン)、聴泉堂(チョンチョンダン)、幽霞亭(ユハジョン)などを回って、自然の中にある韓屋の趣を感じながら写真撮影も楽しむのもいいでしょう。ソウル市内とはまた違う、静寂に包まれた雰囲気の中で、ソウルのまた新たな一面を発見できるはずです。
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三清閣
住所:ソウル市城北区テサグァンロ3
公演時間:3月~12月のランチコンサート『慈味(ジャミ)』12:00〜14:00(公演1時間+ランチ1時間 KRW45,000)
電話番号:+82-2-765-3700
最寄駅:アングク駅にてタクシー利用、または無料シャトルバス利用。
シャトルバス運行 10:00~21:00 三清閣(サムチョンガク)- 景福宮(キョンボックン)東門 - 曹渓寺(チョゲサ)入口 - チョンガク駅 - ウルチロイプク駅 - シチョン駅(プレスセンター)- 光化門(クァンファムン)駅(教保ビル)- 現代ギャラリー - 三清閣(サムチョンガク)
Facebook: @samcheonggak
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