ご当地うどんと言えば、真っ先に思い浮かぶのは何でしょうか? 讃岐うどん? 稲庭うどん? はたまた伊勢うどん? 全国各地にさまざまなご当地うどんがありますが、近年、熱い視線が送られているのが、福岡のうどんではないでしょうか? 福岡出身の芸能人たちによる“うどん愛”がテレビで語られ、雑誌などのメディアでも度々、福岡のうどんが取り上げられています。ただ、多くの場合、紹介されているのは、やわらかな麺が最大の特徴で、地元でしっかり根付く、福岡市博多区を中心に根付いている「博多うどん」。しかし、昨今では、うどん好きな福岡県民に支えられ、博多うどんばかりではなく、様々なうどんも同様に地域住民たちによって親しまれています。そこで、今現在の福岡におけるうどん文化を深〜く知るための手掛かりとなるような、多種多彩なうどん店を紹介したいと思います。お届けするのは、ヌードルライターとして福岡を拠点に活動する山田祐一郎です。それでは、どうぞ!
※本記事は『HereNow』にて過去に掲載された記事です。
新感覚のビシソワーズうどんに注目。大濠公園『茶ぶ釜』
今、食べてみてほしい、福岡のうどんの店。まず1軒目は、地下鉄大濠公園駅から徒歩5分ほどの場所にある『茶ぶ釜(ちゃぶがま)』です。店主は、福岡きっての創作うどん作りの名手としての呼び声が高く、ほかで食べられない名作うどんを定期的に発表し、それを求める熱烈なファンが増え続けています。
注目は、毎年、5月から9月にかけて登場する「ビシソワーズうどん(1,000円)」です。ビシソワーズとは冷製のジャガイモスープのこと。これにうどんの出汁を独自の比率で合わせてコシのあるうどんにマッチするスープに仕上げています。
レンゲでズズッと啜ってみれば、ジャガイモが備えた旨味の輪郭がしっかりと浮かび上がり、濃密なコクがありながらも、出汁の効果なのか、後味はとてもすっきり。スープもうどんに程よく絡み、一体感が楽しめます。
昨年は生のエビ、野菜の天ぷらがトッピングされていましたが、「毎年、少しずつ進化させています」という店主の言葉通り、今年はビシソワーズにパルミジャーノを合わせ、いっそう強いコクを訴求。
さらには広島の「高掛農園」から仕入れた「マイクロリーフ」が魅せます。その名の通り、「マイクロ=微小」な「リーフ=葉っぱ」ということで、とても小さな状態ですが、そのサイズゆえに野菜が本来備えている風味がギュッと詰まっているような印象。ビシソワーズとも相性抜群です。
ちなみに店は大濠公園のすぐ近く。阿蘇・阿部牧場による濃厚な味わいのソフトクリームも販売しているので、公園へのお散歩のお供にいかがでしょう?
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茶ぶ釜
住所:福岡県福岡市中央区大濠公園3-2
営業時間:11:00~14:30(ラストオーダー)、土日は17:00〜20:00も営業
定休日:火曜
電話番号:050-1008-4794
Webサイト:https://www.facebook.com/chabukama/
立ち飲みを取り入れた目新しいうどん酒場。赤坂『みのり』
次に紹介するのが、2017年にオープンしたばかりの、地下鉄赤坂駅から歩くこと約5分で到着する『みのり』。ここは今やすっかり福岡で浸透した、居酒屋でもあり、うどんの店でもある「うどん居酒屋」という業態に、さらに立ち飲みスタイルを取り入れたユニークのお店です。
『みのり』は、その日の鮮魚を使った刺身、看板メニューとなっているポテトサラダをはじめとした30種前後の一品料理を取り揃えているので、一軒目としてもしっかり利用できます。また、立ち飲みスタイルなので、軽く一杯飲むという使い方もOK。締めにうどんを食べれば、充実の時間になるでしょう。
うどんは、本場讃岐で学んだ自家製麺。店舗の入口側に置かれている製麺機を使い、当日分のうどんを打っています。しかもその麺は、福岡では珍しい平打ちタイプで、厚みは2mm、幅は8mm。啜るとフルフル、ピラピラと震えるような食感を唇に伝えてくれます。
うどんのメニューはあたたかいつゆのうどんからぶっかけまで幅広く揃っています。中でも店主のオススメは、国産の和牛100gを盛り付けた「肉うどん(780円)」。こちらにごぼう天の単品を添え、ごぼう天をつまみつつ、アルコールをグイッと飲めば、至福のひととき間違いなしです。
つゆは讃岐うどんの基本とされるイリコ(煮干し)を効かせつつも、昆布や鰹節、サバ節で深みのある味わいに仕上げています。そんな飲みにも締めにも使い勝手の良い、立ち飲みうどん居酒屋です。
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みのり
住所:福岡県福岡市中央区大名1-9-25
営業時間:18:00~OS2:30
定休日:なし
電話番号:092-715-0603
福岡で親しまれる街のうどん屋。薬院駅が最寄りの『うどん こまる』
3軒目は、西鉄、地下鉄薬院駅から徒歩10分ほどで辿り着く『うどん こまる』。こちらは讃岐うどん店で修業した店主が2017年にオープンしたお店。大通りから一歩入った路地にあり、店内にはカウンター席が5つ、そしてテーブルが2つというこじんまりしたうどん屋です。
店主がイメージしたのが「街のうどん屋」。讃岐うどんの本場・香川では、日常的にうどんが親しまれ、それこそ、白ご飯を食べるような感覚でうどんを食べるのだと聞きましたが、まさにそのようなあり方を目指しているとのこと。
讃岐うどんの製法によって仕上げられる純手打ちのうどんは、直径4ミリの細打ち。ただ、細さとコシの強さはイコールではなく、その第一印象を覆す程よいコシが堪能できます。つゆは、本場・讃岐で親しまれるイリコ主体の出汁が味わえます。
ここで食べておきたいのが、細打ちのうどんをキュッと締めてコシを強調した麺とイリコ主体の出汁の両方が楽しめる「ひやかけ(430円)」。麺が冷たく、つゆも冷たいこのうどんは夏場にぴったりな讃岐ならではの食べ方です。ちなみに平日限定で、おにぎりや天ぷらが付いた大変お得なセットもあります。
うどんは「ひやかけ」のほか、「ぶっかけ(480円)」、「しょうゆ(440円)」など全5種。夜は、うどんの天ぷら(100円〜)で軽く飲むのもアリですよ。
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うどん こまる
住所:福岡県福岡市中央区平尾1-12-19
営業時間:11:00〜15:00、17:00〜20:00
定休日:日曜、祝日
電話番号:092-531-2918
Webサイト:https://www.facebook.com/うどんこまる-171441093380501/
福岡市で筑後うどん文化に触れる。赤坂『麺工房 なか』
いよいよ残り2軒。4軒目は、地下鉄赤坂駅から徒歩2分と好アクセスな立地にある『麺工房 なか』です。ここで楽しめるのが、福岡が誇るご当地うどんの一つ、筑後(ちくご)うどん。筑後うどんとは、古くから小麦の栽培が盛んだった福岡県南部の筑後川流域で、うどんが各家庭で手打ちされていたという歴史によって育まれたうどん文化で、その特徴は「ふんわりねばりコシ」うどん。強さではなく、しなやかなコシこそ、筑後うどんの信条なのです。
こちらの店主はアパレル関係の仕事に従事した後、脱サラ。それから実家の近くで、大好きな店だったという筑後エリアのうどんの店で修業をし、ここ中央区大名の路地裏に店を構えました。
「ふんわりねばりコシ」によって仕上げられた自家製のうどんは、一般的なうどんに比べて、やや細め。この細さでありながら、ふんわりとコシがでるような麺に仕上げるのが店主の腕の見せどころ。しっかりと熟成させることで、箸で持ち上げてもプチンと切れず、とはいえ、咀嚼すれば、芯にほんのりとコシがあるふんわりとした食感が堪能できる不思議な質感に。一度食べると、この魅惑的な“やわコシ”にメロメロになること請け合いです。
オススメは肉うどんを好む筑後エリアの嗜好を抑えた肉ごぼう。ごぼうのさっくりとした食感がうどんとの絶妙なコントラストになります。
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麺工房 なか
住所:福岡県福岡市中央区大名2-11-10
営業時間:11:00〜15:00
定休日:日曜、月曜、祝日
電話番号:092-714-0210
四季折々のうどんに舌鼓を。福津市にある海辺のうどん店『こなみ』
ラストは、福岡市からちょっと離れて福津市へ。津屋崎という漁師町にある『こなみ』は、JR福間駅からタクシーで約10分、西鉄バスで約20分の場所に店を構えています。福津エリアに広がる遠浅の美しい海に程近く、店先から空とつながるオーシャンビューが眺められる、のどかなロケーションにあります。
開業は2016年。和食出身の店主の根底にあるのは、出汁を生かし、季節の食材を取り入れたうどん。ターゲットは0歳児から100歳まで。赤ちゃんにも安心して食べてもらえるよう、出汁、そして醤油などの調味料も無添加を徹底し、食材本来のうま味を生かしたつゆに仕上げています。
そんなつゆに合わせているのが、義父が営んでいる製麺工場で打つ特注の麺です。手もみにより、ほのかにウェーブした全国的にも珍しい形状のうどんで、啜った際につるりと心地よい食感をもたらし、なおかつ、つゆとの絡みも良好と良いこと尽くし。麺とつゆとの一体感に、思わず笑みがこぼれるでしょう。
メニューは、春夏秋冬で常に移り変わります。夏はひやかけ、ざる、秋になるとあんかけ、冬は鍋焼き、春になればサラダうどんというように、地元・福津の食材を取り入れ、季節感を表現。また、天ぷらやご飯ものにおいてもその時々の食材による一品が登場。海辺の開放感も手伝って、昼からプシュッとビールを傾けるお客さんも多いようです。
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こなみ
住所:福岡県福津市津屋崎4-10-13
営業時間:11:30〜15:00※売り切れ次第終了
定休日:水曜、日曜、第2・4木曜
電話番号:0940-52-4613
Webサイト:https://www.instagram.com/conami573/
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