「映像の世紀」と言われた20世紀を越え、現在では誰もがあらゆるシーンで映像表現に触れ、気軽に映像を作ることが可能な日々がやってきました。しかし、用意された環境に満足しない挑戦者たちは、この時代にも絶えることはありません。彼らの視線は今、どんな映像世界を見据えているのでしょうか?
そこで、映画、MV、CF制作から、3Dプロジェクションマッピングまで多彩な映像表現を手がけるネイキッドの村松亮太郎代表と、視覚表現の最前線で活躍するゲストとの対談シリーズを始めます。第1回のゲストは、メディアアーティストの真鍋大度さん。話題は、昨年末に東京駅を変貌させた村松さんたちの3Dプロジェクションマッピングから、真鍋さんの最新プロジェクトやPerfumeらミュージシャンとの協働、さらにお互いのルーツや今後の展望にまで広がりました。二人の視線の先を追いかけると、私たちの知覚をポッと変える何かが見えてくるかもしれません。
プロジェクションマッピングは、映像表現をモニターから解放した。(村松)
村松:はじめまして。お会いできるのを楽しみにしていました。
真鍋:僕は村松さんのことは、東京駅で去年開催された『東京ミチテラス2012』での3Dプロジェクションマッピング『TOKYO HIKARI VISION』で知りました。あれはかなり話題になりましたね。
村松:はい。あれだけ注目してもらえたのはすごく嬉しいです。ただ、あまりの人手に会期途中で中止になってしまって……。僕はちょうど、子供たちに親の仕事を見せてやろうと車で現地に向かう途中でその連絡を受けて、一緒にラーメン食べて帰りました(笑)。
真鍋:それは残念(苦笑)。東京駅では、その前の9月にもプロジェクションマッピングがありましたね。モーショングラフィックを担当したTAKCOM君は僕もPerfumeの案件でよく協働する縁があり、観に行きました。
村松:あれは投影エリアもすごく広くて圧巻でしたね。僕らはその種の迫力より、繊細さでいかに魅せるか勝負しました。
真鍋:東京駅は、投射場所としてもすごく良いですよね。
村松:技術的には色々厳しい場所なんですけどね。周囲が明るいし、建物は茶色いし、交通量も多い。ただ、シチュエーションとして良いし、クリスマスシーズンというのもやりやすかった。でも僕が言うのもなんですが、10分の映像イベントに、なぜ10万人もの人が押し寄せてくれたのか不思議で。
真鍋:村松さんは、プロジェクションマッピングのどこに惹かれるんですか?
村松:これまで僕はMVやテレビドラマのオープニング制作、さらに映画監督という形で映像表現をしてきたんです。プロジェクションマッピングがそれらと大きく違ったのは、映像がスクリーンやモニターから解放されることですね。メディアアートでは当たり前かもしれないけれど。
真鍋:逆に僕は、決まった尺のある映像を作るっていうのがかなり稀ですね。センサーの値を使って映像をリアルタイムでジェネレートする方が多いです。
村松:そうなんだ! メディアアートって……そもそも何なんですかね?(笑)
真鍋:何でしょうね(笑)。僕自身は、色々勝手に試しているものはアート作品というより実験という感覚で、それが後から作品化される場合もあるという感じ。
左から:村松亮太郎、真鍋大度
村松:映像制作のスキルはもともと広く持っていたんですか?
真鍋:いや、実はミュージックビデオの仕事が来て初めてレンダリングをやってみたとか、そういう感じです。普段はインスタレーションやライブが多いので。いわゆる映像の基礎を身に付けていたわけではないですね。入力、解析、生成という一連の作業をプログラミングを使って行うのですが、出力は映像に限らず、レーザーだったり、モーターだったり何でもありです(笑)。
村松:僕もかなり幅広くやってるつもりだけど、突き詰めれば映像に行き着きます。真鍋さんにとってそれにあたるのが、プログラム?
真鍋:そうですね。あとは音作りもやっています。ダンス公演のために作曲して、さらにダンサーの腕の力の入れ方と音響や照明を連動させる、というようなことも。
村松:それをするには、ダンサーの動きをかなり瞬時に読み取らないと……。
真鍋:はい。そのときは筋電位センサーを使いました。筋肉が収縮するときの微弱電流を感知してくれるんですね。だからダンサーが「左手を動かそう」と思ったら、腕が曲がる前に音を鳴らせる。音と身体にズレがないことは、ダンサーにとっても新鮮だったようです。
村松:面白いですね。真鍋さんの試みを突き動かすのは、どういう欲求なんでしょう?
真鍋:「人間の体を知りたい欲求」かな(笑)。「これやったらどうなるんだろ?」みたいな。
村松:表現欲というよりエンジニア的?
真鍋:そうかもしれません。新種のカメラが出たら、何を撮りたいかより、そのカメラでしかできないことは何かを考えたいので、まずは細かいスペックを知りたい(笑)。リアルタイムでデータを取得できるのか、できるとしたら遅延はどのくらいになるのか、データの解像度やサンプリングレートはいくつかということが重要だったりしますね。
村松:研究者にも近いですね。
真鍋:研究者の方と話していて、感覚的に近いと思うことはよくあります。ちょうど今、東大の石川奥研究室のアルバロ・カシネリさんと協働でプロジェクトを進めているのですが、それもお客さんが体験する最終的なアウトプットの話はまだ全然なくて、ベースになる仕組み作りをしています。ヘリコプターを使ったものなどは映像に使えるかもしれません。
村松:おお〜。それは面白そう!
真鍋:あとは『scoreLight』という作品で、彼が研究で開発していたレーザートラッキング技術を用いて音を生成するソフトを書くというようなこともやりました。
村松:例えば音楽に感動するのはわかりやすいけれど、真鍋さんはプログラムにグッとくる瞬間がある?
真鍋:音楽の場合は、好き嫌いの基準が全てだと思うんですよね。良いとか悪いっていうのは作り手側の目線でしかないので。でも、プログラミングというかシステムに関していえば、良い、悪いで判断できるものが多いんです。「フレームレートが出てないけどこっちの方が味があるなぁ……」ということはほとんどない(笑)。プログラミングの作業って、理論的には合っているはずだけど、実際にやってみると精度が足りなかったり、単純なミスで期待通りの結果を得られないということが結構多いんですね。それが、一度試しただけで全てうまく行ったりするとこれはかなり……。
村松:グッとくる?(笑)
真鍋:みんなでハイタッチしますね(笑)。「あ〜計算通りだ」って。一人でやることは少ないので、みんなで持ち寄ったものを合わせて奇跡的に一発で動いたりすることがあってそれも無茶苦茶嬉しい。そういう共同作業の楽しみもあります。
リアルタイムとリッチ。一見逆の方向性に見える2つを混在させるのが鍵かもしれない。(村松)
村松:僕は、プロジェクションマッピングで映像がモニターから解放されたことは、モノクロ映像のカラー化レベルの革命にもなり得ると思うんです。ホログラムなども、インタラクティブ性を加えれば、渋谷の真ん中でグラスをつけて『バイオハザード』をプレイするなんていう奇想も現実に近付く。
真鍋:うんうん。
村松:舞台でもSF映画並みの世界観を持つ表現が可能になったり。でもそうなると、これは一体どういう表現者の主戦場になるのかな? とも思う。
真鍋:『TOKYO HIKARI VISION』のプロジェクトは村松さんのネイキッド中心で動かしたんですか?
村松:はい。ウチもスタッフが色々いて、バンドみたいなものです。サックスできる人がいればジャズもやれるねっていう風に、そのほうが会社として面白いから。でも今、プログラミングは足りてない部分なので考えていきたくて。MVで手作業で作り込んでいるCGを、自動生成でできないかとかね。真鍋さんたちはそれに近いことをやってるんでしょう?
真鍋:そうですね。僕らの会社ライゾマティクスではデバイスに強い人や、映像の生成表示プログラムを書く人がいます。リアルタイムで何かやるっていうことに関しては、スペシャリストが集まっていますね。でも逆に、尺のある映像を得意とする人はなぜかいなくて。
村松:じゃあぜひ一緒に(笑)。でも、映像体験における時間軸の扱い方って、今のテーマだとも思うんです。映画を早回しで観る人もいるし、ある意味、映像のストーリー性は崩壊している時代ですよね。
真鍋:体験側がアクションできる環境が増えてきたことも理由かもしれませんね。一方通行でないものは増えていて、そこはもっと追求したいです。
村松:映像もビデオからもっと飛び出せばいい。でも意外と、人は既存メディアに捉われてしまうんですよね。
真鍋:リッチな映像って格好いいですからね(笑)。例えばモーショングラフィックスやCG専門の人が作るディテールの凄さや表現力は、自分にはない部分なので憧れもあります。
村松:「リッチな映像」の最たるものは映画ですよね。それが僕も映画に惹かれていたところで。でも、単に高解像度とか臨場感の点だけでいえば、どんなに美しいハワイの映像を撮ってきても、現地で潮風を浴びながら眺める景色の方が上だとも思う(笑)。今のみんなの気分として、リアルタイム性がある映像を求めている気がする。
真鍋:リアルタイム性のある映像だと、今のところゲームが最もリッチでしょうね。多くはまだモニターの中だけれど、1、2年でその状況も変わるかも。リアリティーがある場所で、プロジェクションマッピングのようなスケール感でリッチな表現をするのは面白いかもしれません。
村松:リアルタイムとリッチ。一見逆の方向性に見える2つの要素を混在させるのが鍵かもしれないですね。真鍋さんの作品では、Nosaj ThingのPV“Eclipse/Blue”もリアルタイムな映像生成が面白いです。
真鍋:これはダンサーの位置を解析して、その身体に投影しています。いわゆるプロジェクションマッピングとは違って、動く物に追従してマッピングできます。
村松:実際の作業はどう進むのでしょう?
真鍋:日食がキーワードの曲なので、そこから連想することから始めました。ダンサーがいて、プロジェクターがあって、スクリーンの表裏でダンサーが踊るのですが、それらが重なる中で光が漏れる様子が日食的だなと。その着想をPerfumeの演出振付家のMIKIKO先生に伝えて、振りができてから映像作りのスケッチをしました。これもTAKCOMとの仕事なのですが、彼は僕がアレコレ言わなくても、予想以上のものを作ってくれるんです。
村松:スクリーンに流れる映像は、リアルタイムの生成映像と、作成済み映像のミックス?
真鍋:そうです。システム的には、スクリーンの後ろから赤外線をスクリーン一面に投光しています。赤、青、緑のセロハンを貼ったハロゲンライトを赤外線投光器代わりにしています。スクリーンのダンサーが立つと、赤外線を遮断してシルエットができるので、それを赤外線フィルタを取付けたハイスピードカメラ2台で200フレーム / 秒でダンサーの動きを解析しています。
村松:今こういうことやる人は、結構多いのかな?
真鍋:赤外線投光器を使ってシルエットを検出するのは、Kinectが出てからはあまりやらなくなりましたね。ただ、同じようなリアルタイム系のコンテンツは、オリンピックの大型イベントなどでよく出てきます。Chunky MoveやKlaus Obermaierなど、コンテンポラリーダンスの世界でも結構見ます。ダンサー側がプロジェクションに合わせて動いて、あたかも映像の方が反応してるように見せる「練習系」の方がリッチな表現ができるのですが、それだけだと物足りなくなってきたのかもしれません。
村松:ほかに、真鍋さんの最新のリアルタイム系の映像でいうと?
真鍋:Perfumeのライブイベントでの仕事ですかね。彼女たちの目の前に映像が出て来る様な仕組みをスピンさんという会社にお手伝いをして頂いて作って『マイノリティ・リポート』的な演出を行いました。企画は電通のクリエイティブチームで、演出はMIKIKO先生、モーショングラフィックはTAKCOMです。指先に取付けた小さなマーカーの位置を解析して、映像はリアルタイムで生成しています。解像度は3840×1080です。展示とは違ってライブは一発物なので、どれだけ安定したシステムを組んで、バックアップを作っていても、本番時は無茶苦茶緊張しますね。その緊張感を観てる側も現場で共有できるのがライブの良いところだと思います。
村松:つまり魅力を感じるものは、生で起きている感覚がするもの?
真鍋:そうとも言えますね。まあ僕は、CGのモーショングラフィックが音とバキバキに合ってるだけっていうのも好きですけどね(笑)。
まだ誰もやっていないことに挑戦するのが一番大事ですね。(真鍋)
村松:自分の作るもの以外では、どういうものに感動しますか? 海外の映画祭に参加するときに「タッチ・マイ・ハート」という表現をよく使うんですね。観客の心に触れる表現という意味ですが、映画はそれが大事だし、今の僕の仕事もそのためにやってるところがある。でも真鍋さんの場合は、少し欲求の方向が違う気がして。
真鍋:まだ誰もやってないことに挑戦するのが一番大事ですね。ちょうどYCAMで来週から滞在制作があって、これもそういう気持ちで臨んでいます。
村松:新しい構造や視点を考えるのは、僕自身も好きな思考法です。
真鍋:ちなみに村松さんはコンピューターとの出会いは?
村松:小5のときに当時でいうマイコンが欲しかったけど買ってもらえなかったから、ノートにBASICのプログラム書いたりしてました(笑)。
真鍋:あ、僕も小学生のときBASIC書いてましたよ。
村松:いいなあ〜。コンピューターは何? PC-6601?
真鍋:8801でした。
村松:ずるい! 88か……。性能いいほうのやつだ(笑)。
真鍋:といってもベーマガ(『マイコンBASICマガジン』)に載ってるプログラムを打ち込んで、値だけちょっと変えてみたり、その程度です。
村松:そのあたりにもルーツはあるんですかね。
真鍋:結構色々なことやって、うまくいかなかったり飽きたりして変えて……ということを繰り返して、30歳位までは全てが趣味の延長みたいな感じでしたね。だからインタラクティブやリアルタイムというようなことが、これだけ広告やエンターテインメント界にまで浸透するとは予想してませんでした。もちろん、石橋(素)さんを始めとしたIAMASの卒業生たちが道を作ってくれていたからこそできたことですが。
村松:3D関連の技術や表現も熱いですよね。
真鍋:スキャンに関して言えば、Kinectは40cm以上離れた3Dスキャンがメインですけど、intelのカメラやleapmotionは数cmの近距離でそれが出来るので、使う側の表現も変わるはずです。ロボットアームや3Dプリンタなども含めて、こういうテクノロジーを使う世界は進化が早いせいで、2、3年後に見ると恥ずかしい表現もあるけど、僕は古くなることもまあいいと思うんです。
村松:それはなぜ?
真鍋:3Dスキャナ、プリンタは特にそうですが、それを使うだけでなんだか良い感じになってしまうんですよ。僕らも3Dスキャナやプリンタが出たときには色々実験して作品も作りました。今では制作ツールでしかなくなってしまったので、わざわざ使うという感じではないですが。その辺にあるペンを手に取ってメモを書く感覚と変わらないですね。触り始めの新鮮な気持ちは、もう全くない。テクノロジーを手に入れてすぐに制作した作品は古くさいし、色々と甘いと思う反面、そのときに何を面白いと思ったのかがかなり分かりやすく伝わって来て、その感じが面白いと思います。
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最近、中高生からメールが来るんです。(真鍋)
最近、中高生からメールが来るんです。(真鍋)
真鍋:村松さんは、映画から映像の世界に入ったんですか?
村松:僕はもともと音楽がやりたかったんです。でも兄貴のほうが才能あって諦めた。自分で言うのも何ですが、割と何でもできたタイプで、でも何か自分だけのものが欲しいと思って、そのとっかかりが映画だったのかな。
真鍋:やっぱり、大きく影響された作品とかも?
村松:遡ると、小さい頃に親父に全シリーズ見せられた『ゴッドファーザー』ですかね。だからアイドルはマーロン・ブランドというところから始まっちゃって(笑)。役者をやったのも、まず映画を通して触れたのが俳優だから、そこに飛び込んでみた。実際はすごく大勢の人が関わる世界でしたけれど。
真鍋:僕らがやっていることは、まだ映画ほど役割分担がない世界だとも言えます。だからクレジットの問題もよく起きる。映画みたいに規模も大きくないので、同じ人が照明も映像もソフトも企画も作るということはよくありますね。僕らの会社では、ハードもソフトも一通り人材が揃っています。でもこれを1から揃えるのはすごく大変。IAMASやアートプロジェクトを通じてコラボして、ライゾマティクスで一緒にやるケースが多いんです。
村松:そこはウチもまったく同じです。チーム作りが難しいのも、半ボーダレスなのも。だからこそ東京駅の仕事が実現できたとも言えて。もちろん、あれだけの規模なので外部スタッフにも協力してもらいましたが、やはり息の合うチームの大切さは感じますね。
真鍋:わかります。良いチーム作りも難しいですよね。
村松:さらに下の世代って、自分との違いを感じますか?
真鍋:最近、中高生からメールが来るんです。Perfumeのファンや、自分でiPhoneアプリを作ってるような子たちで、「こういうことやってみたい」という質問ですね。「これをダウンロードしたらできると思うよ」みたいに返すこともあるんですが、そうすると割とすぐやってのける。だから、自分のころに比べるとただただ羨ましいですね(笑)。環境や早熟さも含めて。
村松:僕、プログラミングは今もう全然わからないんですが、あれがもっと感覚的な人間にも使えるようになるといいのに……。
真鍋:openFrameworksは、開発者もそこに重点を置いて環境作りをしていますし、全体的にそういう方向には進んでいると思います。逆に、そういう何でもできる環境だからこそ、面白いものを生み出すのは、今難しいと言えるかもしれません。
村松:マッピングもあっという間にメジャーになって、いま代理店とかがウワーッと動いています。きっと今年すごく出てくると思うけれど、だからこそ次の試みが必要だと思う。
真鍋:僕らも2009年頃からいくつかやっていて、対象に投影する精度を試行錯誤して上げてく段階はすごく面白かったです。コンテンツというよりはシステムを構築するのが楽しかったのですが、今は専用ソフトも普及して、そうなると予算や機材も含めた総合力勝負になるんですよね。そこに燃える人は、また別にいるわけですけど。
村松:僕がこれからマッピングでやりたいと思っているのは、普通に建物に投影するのとは違うんです。例えば閉じた空間でエンターテインメント性の高いものをやってみたい。
真鍋:マッピングでインタラクティブ性もあるっていうのは、世界的にもまだ少ないですよね。僕も自分で関わったのは『night lights』くらいですね。
night lights from zach lieberman on Vimeo.
村松:ウォータースクリーンとか、別技術も合わせた複合的なものもやりたいと思う。それが自分の動きに反応したらさらに面白い。やはり生の空間で起こる魅力でしょう。『東京ミチテラス2012』も、現場で見た人がYouTubeに上げたり、Ustしたり、みんながある意味「加工」した。仮に100万人が撮ったら、1人が見た景色とは違うものができ上がる。
真鍋:そうですね。オープンで参加可能な場所から新しいものが生まれる、そういう可能性も感じます。ただ、スケールが大きくなると観客と映像とのインタラクションがまた難しくなって来ますよね。自分が参加したのかどうかよく分からなくなってしまうので。課題はまだまだあるので、その分チャンスもありそうです。
村松:真鍋さん、今日会うまでは「難しい人だったらどうしよう」と思ったけど、パソコンの思い出話あたりから親近感がグッと増して嬉しかったです。僕らにとってのパソコンもそうだったし、Kinectもマッピングも、人間の感覚をポッと変えてくれる何かがある。そういう存在に惹かれるし、そそられます。
真鍋:僕は『東京ミチテラス』のお仕事を知って、こういう形でインタラクティブなのもやらないのかな? って、遠くから思っていました。だから村松さんが実際そういうことを考えてると聞いて嬉しかったです。
村松:ワクワクできればいいんですよね、究極的には。
真鍋:僕のやってることは、エンタメ系を除くと実はそんなにイリュージョン感はないですけどね(苦笑)。電気で顔の筋肉動かしたり、眼球の動きを解析したり。でもまあ、それはそれで本人は面白いんです。
村松:真鍋さん、今度ぜひ僕のプロジェクトで何か動かしてください。
真鍋:ん……筋肉を?
村松:いや、プロジェクションでお願いします(笑)。
- イベント情報
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- 『scopic measure #15 ライゾマティクス新作インスタレーション「pulse 3.0」』
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2013年1月27日(日)〜3月24日(日)10:00〜19:00
会場:山口県 山口情報芸術センター[YCAM]スタジオB
出展作家:Rhizomatiks
料金:無料
- リリース情報
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- 『SWITCH』VOL.31 NO.2
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2013年1月20日発売
価格:882円(税込)
発行:スイッチ・パブリッシング
- イベント情報
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- 『MEDIA AMBITION TOKYO(MAT)』
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2013年2月15日(金)〜2月17日(日)
『ライブイベント「MAT LIVE」』
2013年2月15日(金)20:00〜
会場:東京都 六本木ヒルズ マドラウンジ、スカイギャラリー3(森タワー52F東京シティビュー)
出演:
原田大三郎
高木正勝
Open Reel Ensemble
DJ:
TOWA TEI
ピエール瀧(電気グルーヴ)
MOODMAN
鈴木哲也
HICO
RUBY
VJ:Enlightenment
料金:前売4,000円 当日5,000円(共に東京シティービュー入場料込み)
※18歳未満入場不可『アリーナイベント「MAT ARENA」』
2013年2月15日(金)〜2月17日(日)
会場:東京都 六本木ヒルズアリーナ
参加アーティスト:Rhizomatiks
料金:無料『ギャラリーイベント「MAT GALLERY」』
2013年2月15日(金)〜2月17日(日)
会場:東京都 六本木ヒルズ スカイギャラリー1(森タワー52F東京シティビュー)
参加アーティスト:チームラボ
料金:無料(東京シティービュー入場料が別途必要)
- プロフィール
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- 村松亮太郎
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映画監督、映像クリエイター。クリエイティブカンパニーNAKED inc.代表。TV、広告、MVなどジャンルを問わず活動を続ける。2006年から立て続けに長編映画4作品を劇場公開した。自身の作品がワールドフェストヒューストングランプリ受賞など、国際映画祭で48ノミネート&受賞中。近年は3Dプロジェクションマッピングに着目し、昨年末話題となった東京駅の3Dプロジェクションマッピング『TOKYO HIKARI VISION』の演出を手掛けた。
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- 真鍋大度
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1976年生まれ。株式会社Rhizomatiks取締役。東京理科大学理学部数学科卒業、国際情報科学芸術アカデミー (IAMAS) DSPコース卒業。ジャンルやフィールドを問わずプログラミングを駆使して様々なプロジェクトに参加。2011年度Prix Ars Electronica、インタラクティブ部門準グランプリ受賞。第16回文化庁メディア芸術祭エンターテイメント部門で『Perfume “Global Site Project”』が大賞を受賞。2013年には『SWITCH』で自身が監修した『テクノロジー+カルチャーネ申100』が発売。2013年1月27日(日)〜3月24日(日)まで、YCAMで『scopic measure #15 来ゾマティクス新作インスタレーション3.0』を行う。
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